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以前、当サイトではキューバ人選手が合法的にメジャーリーグ(以下、MLB)への移籍する新たな合意について、それを快く思わないトランプ政権が否定的な立場を取っているという特集をしました。(参考:『「赤い稲妻」はいつ還ってくるのか?』)これまで多くのキューバ人選手が、命の危険を冒しながらも、MLBでプレイすることを目指し亡命してきました。特に2010~2015年代辺りに亡命した選手の中には実力者が揃っていました。例えば、MLBデビュー年に新人王とシルバースラッガー賞を獲得し5年連続HR20本以上のホゼ・アブレイユ(1B/シカゴ・ホワイトソックス)、『暴れ馬』の異名を持ち6年連続二桁HRのヤシエル・プイグ(OF/シンシナティ・レッズ)、メジャー通算163HRのヨエニス・セスペデス(OF/ニューヨーク・メッツ)など、いずれもメジャーを代表するバッターたちです。キューバ側からすると、キューバの将来を担うはずだった才能ある選手たちが、揃ってアメリカに亡命してしまったため、キューバ代表チームも完全にスケールが小さくなってしまい、国際大会での成績は明らかな下降線を辿ることになります。また、これまで亡命してきたのは、アブレイユやセスペデスなどのベテラン選手であって、キューバ国内リーグ『セリエ・ナシオナル・デ・ベイスボル(以下、Serie)』でも記録的な活躍をした後に失踪するケースが目立ちましたが、最近ではSerieで活躍する前の若い段階でアメリカに渡ってしまうことも普通になっています。ここが日本と違う所で、日本の場合プロ野球での活躍を経てメジャーに移籍するケースが一般的で、基本的に若手選手は国内に留まってくれるため、国内リーグや代表チームのレベルが極端に落ちることはありませんが、キューバの場合は若手の有望株が国内(もしくは国際大会)で活躍する前に海を渡ってしまうため、キューバの国内リーグ“Serie“自体が空洞化しやすいのです。


Serieの成績とメジャー成績との関係

Serieでの成績はメジャーでどれだけ活躍できるかを予想する上で、貴重な情報源となります。アブレイユやセスペデスなど7選手を例に、アメリカに渡る前の3年間のSerie成績とメジャーデビュー後の3年間の成績をグラフにし、その関係を見てみました。

※尚、Serieでの成績はメジャー移籍前3年分のK%に対し、重み付け(前年×100%、2年前×50%、3年前×25%)をしています。対してMLB移籍後3年の成績は3年間の累計値で、重み付けは無しです。


例えば、三振の多さを示す指標『K%』。三振数を打席数で割った数値ですが、SerieでK%が低い選手は、メジャーに行っても低いK%を示す傾向があります。K%の値自体は、キューバ時代よりも平均して9%程悪化しますが、「三振が少ない選手の方が、メジャーでも三振が少ない」という関係性は言えるようです。

長打力にも同じことが言えます。長打力を測る指標として、『IsoP』と言う指標があります。

IsoPは、長打率から打率を引いたもので、打者の純粋な長打力を示す数値です。SerieでIsoPが高かった選手はIsoPが低かった選手よりも、メジャーで高いIsoPをマークする傾向にあります。(もちろん、メジャー成績の方が数値自体は悪くなります。)

ただし、K%やIsoPのように、全てのキューバ時代の成績指標がメジャー成績と関係する訳ではありません。例えば、選球眼を示す『IsoD』という指標。

IsoDは、出塁率から打率を引いた数値ですが、先ほどのK%やIsoPと比べると、キューバ時代とメジャー移籍後の成績にはっきりした関係性が見られません。微妙に比例関係に見えなくもないですが、・・・難しい所です。

また、四球の多さを示す『BB%』に至っては、キューバ時代とメジャー移籍後の成績はほぼ関係無いように見えます。

ストライクゾーンや球種の違いなど、様々な要因があるのだと思いますが、キューバ時代のBB%は参考にはならない、と言うことです。


このように、成績指標によってSerieの成績が参考になるのか差はありますが、Serieの成績からメジャーでプレイした場合にどの位活躍できるか、およその成績を予想することも出来ます。


デスパイネがメジャーに移籍していたらどうなったか?

日本のプロ野球には、現在キューバを代表する選手が所属しています。アルフレド・デスパイネ(DH/福岡ソフトバンク)です。アブレイユやセスペデスなどメジャーを代表する選手と共に、キューバ代表で活躍してきた大物キューバ人選手です。代表のチームメイトが次々に亡命していく中、彼は今でもキューバ代表に残り続けています。そのデスパイネは、2014年シーズンから千葉ロッテマリーンズでプレイすることになったのですが、もしプロ野球でなくメジャーでプレイしていたらどのような成績になったのでしょうか?Serieでは“グランマ”というチームで活躍していて、その時期の打撃成績から予測してみますと、結果はこのようになりました。

デスパイネと比較的体格の近いヨエニス・セスペデス(セスペデス兄)の成績と比べてみます。パワーでは若干セスペデスに劣るものの、出塁率や打率の確実性の面でセスペデスを少し上回るという結果になりました。OPSは.819と立派な成績です。この成績ならば、十分メジャーでもやっていけると思います。つまり、日本に派遣されるキューバ人の中には、デスパイネのようにメジャー級のポテンシャルを秘めた選手がいるかもしれないのです。


今のキューバに大物はいるのか?

それでは今のSerie所属選手の中に、メジャーで活躍できるほどのポテンシャルを持った選手はいるのでしょうか?今回は、メジャーに亡命されてしまう前に日本の球団が是非獲得して欲しい選手を、当サイトの独断でベスト5をチョイス致しました。メジャーに渡った場合の予想成績と共に紹介していきます。(因みに、生まれた日が分からない選手がいるので、仮に1月1日の日付にしています。)


Serieでの成績からすると、次に紹介するヨスバニ・アラルコンの方が活躍できそうなのですが、アラルコンの方が年齢的にピークを迎えた感があるので若さを考慮して、このビニャーレスをNo.1としました。ポジション的にはキャッチャーですが最近はファーストでの出場が多く、キューバ代表のキャッチャー枠には他の選手もいるので、NPBの球団がファーストやDHで起用することにも問題は無さそうです。


アラルコンはキャッチャーながら、Serieトップクラスの打撃成績をマークしています。課題は、年齢的に既に34歳とベテランの域に達しているのと、キューバ代表では主にキャッチャーを務めているので、日本の球団がDHなどキャッチャー以外で起用することに対しキューバ野球連盟FCBが難色を示すのではないかと予想されます。それでも、グランマで活躍していた時期のA・デスパイネに近い成績をマークしていることから、即戦力として1年でも日本で契約する姿を見てみたい所です。キューバ人選手にしては三振(K%)が少ないのも、日本向きだと思います。中途半端に3Aクラスのマイナーリーガーを呼ぶよりは、アラルコンの方が確実に活躍してくれそうです。


パウミエルも年齢的には30歳を超えているのですが、助っ人外国人として見れば、まだまだ活躍できる年齢です。助っ人外国人に求められるパワーと言う面では、他の選手より劣るかもしれませんが、内野を守れるユーティリティーで使い勝手は良さそう。三振が少ないのもプラスポイント。


ノレル・ゴンザレスは何より25歳という若さ。四球(BB%)の少なさは気になるものの、いかにもパワーがありそうな体系で、今後の伸びしろ含め期待。既にでバットを握る所が、キューバ時代のホゼ・アブレイユにちょっと似ている。左の大砲。


アビレスは以前も当サイトで取り上げた選手です。26歳の若さと左のスラッガーという点で期待は高いのですが、右膝を負傷したため最近は露出少なめ。Premier12や第4回WBCにも選ばれていることから、キューバ野球連盟からの期待も見て取れます。MLB志向が強いので、早くNPBからオファーが届かないとアメリカに行ってしまいそうです。


特に、若いビニャーレス、アビレス、ゴンザレス辺りはメジャーで活躍できそうな匂いがするので、今の内に日本の球団が獲得してくれるのを期待したい所です。


以上、今回も当サイトをご覧頂きありがとうございました。

前回に続き、MLB開幕ロースターから見る国別得意ポジション特集です。


5)プエルトリコ

プエルトリコと言えば名捕手を何人も輩出するキャッチャー育成王国です。過去にはイバン・ロドリゲス(C/元テキサス・レンジャース)、ホルヘ・ポサダ(C/NYヤンキース)などがいます。また、現役最強キャッチャーとの呼び声高いヤディア・モリーナ(C/セントルイス・カージナルス)は現役メジャーリーガーながらU-23プエルトリコ代表の監督も務めています。プエルトリコ出身者にこれだけキャッチャーのメジャーリーガーが多い理由の1つとして言語能力があげられています。アメリカ領であるプエルトリコは基本スペイン語がしゃべられているのですが、第二公用語が英語となっています。投手とのコミュニケーションが重要なキャッチャーというポジションにおいて、言語能力が1つのアドバンテージになっていると言われています。キャッチャーのスター選手を輩出してきた同国において、キャッチャーは花形でしょうからどんどん次のキャッチャーが生まれているのだと思います。

キャッチャー以外では、ベネズエラと同様にショートやセカンドの二遊間にタレントが揃っています。一方で、外野やファーストといったパワーヒッターの多いポジションが少なく、ドミニカ共和国やキューバと比べると、やや小粒な感が否めません。偶然だと思いますが、今シーズンのプロ野球にはプエルトリコ出身の野手が集まっています。ネフタリ・ソト(RF/横浜DeNA)、ケニス・バルガス(DH/千葉ロッテ)、スティーブン・モヤ(LF/中日)などは、ちょうどプエルトリコ出身のメジャーリーガーが手薄なポジションですが、MLBでの競争が厳しいため日本プロ野球へ移籍してきたのだと思います。

カルロス・コレア(SS/ヒューストン・アストロズ)やフランシスコ・リンドーア(SS/クリーブランド・インディアンズ)のように身体能力の高い選手もいます。


6)メキシコ

メキシコ出身のメジャーリーガーは全員ピッチャーです。メキシコ人で体格が大きい選手はあまり多くないため、パワーヒッターがうじゃうじゃいるMLBでは打者よりも投手の方が活躍できる余地があるようです。メキシコ出身ピッチャーは、日本と特徴が似ていて変化球を駆使するタイプが多いと言われています。その傾向がメジャーリーガーのポジションにもそのまま出ていると思います。

通常ピッチャーが豊富なチームの方が、試合をロースコアに持ち込める分、強豪にも勝てる確率が高まるはずなのですが、地元メキシコの球場で戦ってしまうと標高の高さの影響で、打球が簡単に飛んでしまい打撃戦になってしまいます。メキシコ代表が国際試合で勝つには、低地の球場を選ぶ必要がありますが、知ってか知らずか今のところ高地の球場で開催されるケースが多いです。


7)オランダ

今回はオランダ王国の構成国も含めて“オランダ”としてカウントしました。実質的にはオランダ本国よりも、キュラソーやアルバなどベネズエラに近いカリブ海の島々が出身の選手がメインとなります。ポジション別の内訳をみると、数少ないメジャーリーガーなのに二遊間に人材が偏っていることが分かります。全体的に中南米周辺の国からは、近年二遊間のタレントが多く輩出されています。キュラソーなども、他のラテン系の国に違わず、セカンドやショートに人材が集まっています。プエルトリコ同様、機敏な動きができる選手が多いようです。

ただし、投手に人材が不足していてWBCなど国際大会で強豪国と戦うには、大きなウィークポイントになっています。


8)カナダ

カナダはメジャーリーガーの数自体少ないですが、ファーストやレフトなどパワーヒッターの多いポジションでコンスタントにメジャーリーガーを輩出し続けています。過去にはジェイソン・ベイ(LF/元ピッツバーグ・パイレーツ)、ジャスティン・モルノー(DH/元ミネソタ・ツインズ)、現役ではジョーイ・ボット―(1B/シンシナティ・レッズ)などがいます。一方で、中南米諸国とは逆にセカンドやショートといった内野のポジションからカナダ出身のメジャーリーガーが出てくることがありません。カナダ人は体格の大きな選手が多い分、アジリティよりもパワーが求められるポジションで競争した方が、自分たちの能力を活かすことが出来るのでしょう。


9)コロンビア

ベネズエラの隣国であるコロンビアも、特徴的に他の中南米諸国と似ていています。今季の開幕ロースターには含まれていませんが、ジオバニー・ウルシェラ(3B/NYヤンキース)、ディルソン・ヘレーラ(IF/NYメッツ)など、メジャー予備軍の多くが内野(セカンド、サード、ショート)を守れる選手です。この傾向は、コロンビアの隣国パナマも同様に見えます。


10)韓国

数年前に多くの韓国プロ野球出身野手がMLBに挑戦しましたが、現在当時の選手のほとんどが国内リーグKBOに戻ってしまいました。日本人メジャーリーガーのほとんどが先発ピッチャーであるのに対し、韓国出身のメジャーリーガーは投手に限らず野手にも通用している選手がいます。傾向としては、技巧派ピッチャーや好打者というよりも、パワーのある選手が多い印象ですが、ドミニカ共和国やキューバなどと特徴が重なるので、中々自分たちの得意分野がメジャーでは優位に働きにくいようです。


他にも、オーストラリア出身や台湾出身のメジャーリーガーはピッチャーが多いなど、MLBで生き残るため優位な分野での活躍が見られますが、この辺りで終わりにしたいと思います。


以上、今回も当サイトをご覧頂きありがとうございました。

2019年メジャーリーグの開幕メンバー(25人枠+DL)の内、251名がアメリカ以外出身でMLB全体の28.5%が“外国人“という結果となりました。日本のプロ野球と違い、メジャーリーグにはいわゆる”外国人枠“がありません。ルール上の制約が無い分、外国人選手でも自らの能力や活躍がそのまま出場機会に反映されます。なので、日本や韓国など外国人枠のあるプロ野球リーグよりもMLBの方が、各選手の強み/弱みが分かり易くなっています。

また、野球という守備ポジションによって求められる能力がかなりはっきり分かれています。(最近は特に複数のポジションが守れるユーティリティプレイヤーの評価が高まってきていますが、各ポジションで求められる能力自体は明確に分かれており、だからこそ様々な要求に答えられるユーティリティーに価値があるのだと思います。)つまり、守備位置にはその選手の能力が表れている訳で、ある国出身のメジャーリーガーが特定のポジションに集中しているような場合は、その国の選手の強みや得意分野がどこか分析することができます。今回は2019年のMLB開幕ロースターの守備ポジションから、各国の能力的な強みや弱みを分析していきたいと思います。

1)日本

※選手のポジションは当サイト独自の判断です。

※UT(IF):内野を中心にしたユーティリティプレイヤー

UT(OF):外野中心のユーティリティプレイヤー

UTのみ:内外野両方守れるユーティリティプレイヤー


まずは日本出身のメジャーリーガーを見ていきましょう。最近の日本出身メジャーリーガーは、ほぼ100%投手です。少し前まではイチロー、松井秀喜など多くの日本人野手が海を渡りMLBで活躍しましたが、青木宣親(OF/東京ヤクルト)が国内復帰してから日本人野手は出てきていません。特に内野は鬼門で、中島宏之(IF/読売ジャイアンツ)、西岡剛(UT/BCL栃木ゴールデンブレーブス)がメジャーに定着できずに国内復帰した辺りから、日本人内野手のメジャー挑戦は途切れています。その背景にはイレギュラーバウンドの多い天然芝への対応が難しかったこともありますが、身体能力の高いドミニカ共和国やベネズエラ出身のラテン系選手の厚い壁に阻まれた、というのが一番の理由でしょう。また、日本では甲子園などトーナメントが多い影響で才能のある選手が先発投手に集中する傾向があります。

結果、打撃力こそ他の強豪国に劣るものの、相手打線を抑え込める投手陣がアドバンテージになっており、強豪国相手でもロースコアに持ち込むことが出来ています。


2)ドミニカ共和国

世界で最も外国人メジャーリーガーが多い国がドミニカ共和国です。ドミニカ共和国の人口が1,078万人で日本の10分の1以下なのにも関わらず、メジャーリーガーの数は約17倍と圧倒的な差があります。これだけ多くのメジャーリーガーを輩出しているのには、身体能力の高さがあってのことだと思います。(人種による体格差についてはこちらの記事もご参考)

まず野手を見ると、どのポジションにも多くのドミニカンメジャーリーガーがいるのですが、特にショートやサード、キャッチャー、ライトなど肩の強さが求められるポジションに選手が集まっているようです。パワーヒッターの多いイメージですが、意外とファーストやセカンド、レフトなどのパワーヒッターの多いポジションは、若干少な目です。

投手の方は、先発投手よりもリリーフピッチャーの方が多めです。リリーフピッチャーは投球回が短い分球速が求められます。スピードピッチャーの多いドミニカ共和国の投手には、適正としてリリーフの方が向いているケースが多いのだろうと思います。


3)ベネズエラ

ドミニカ共和国に続いてメジャーリーガーの多い国がベネズエラです。伝統的に名ショートを輩出してきた同国ですが、現在はセカンドやサードなど他の内野の人材も豊富です。特に内野を守れるユーティリティプレイヤーが多く、現代のメジャー野球では欠かせない存在になっています。昔はオマー・ビスケール(SS/元クリーブランド・インディアンズ)、今ならばホゼ・アルチューベ(2B/ヒューストン・アストロズ)など、体格は小柄ながらも運動能力の高い選手が多いようです。また、キャッチャーの多さが目立ちます。有名所では、サルバドール・ペレス(C/カンザスシティ・ロイヤルズ)、ウィルソン・コントレラス(C/シカゴ・カブス)、ウィルソン・ラモス(C/NYメッツ)などがいます。

投手の方は、先発投手もリリーフ投手もバランス良く人材がいます。先発ローテーションの1番手2番手クラスの投手は、カルロス・カラスコ(SP/クリーブランド・インディアンズ)やフェリックス・ヘルナンデス(SP/シアトル・マリナーズ)などあまり多くありませんが、ローテを支えられる実力者が多いようです。WBCの度に言われていますが、ベネズエラ代表にはバランスの良さを感じます。


4)キューバ

MLBにはキューバから亡命した野球選手が集まっています。キューバのメジャーリーガーは野手の方にタレントが集まっています。ホゼ・アブレイユ(1B/シカゴ・ホワイトソックス)、ヨエニス・セスペデス(LF/NYメッツ)、ヤシエル・プイグ(RF/シンシナティ・レッズ)など、強打のパワーヒッターが揃っています。

一方で、ピッチャーは人材が不足気味、特に先発投手が少ないです。国際大会でのキューバ代表の典型的なピッチャーは、スライダーピッチャーが多く、ボールを動かしゴロを打たせ、のらりくらりとイニングを消化するタイプが多いです。平均球速160kmのアロルディス・チャップマン(RP/NYヤンキース)のようなスピードピッチャーは、キューバ出身の投手としては例外的な存在です。野手に人材が偏っているせいなのか、育成の問題なのか定かではありませんが、キューバ代表のウィークポイントの1つとなっています。

長くなったので、続きは次回をご覧ください。


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今年11月2日~17日にかけて開催される第2回Premier12 (日本/韓国/台湾/メキシコ共催)。アジアやラテンアメリカの各国にとって東京オリンピックへの出場権のかかった重要な大会です。前回第1回Premier12と比較して、オリンピックへの出場権が付与されたことで大会のプレゼンスが高まったため、参加国は前回以上にチーム編成に力を入れるだろうと予想されます。特に、自国のウィンターリーグとシーズンが重なってしまい前回大会では選手集めに苦労したカリブの強豪チームは、今大会ではまるで違うレベルのチームで挑んでくるだろう、と考えられます。


今までにないドミニカ共和国代表

Premier12にはメジャーリーガーは参加できません。代わりに日本プロ野球NPBやマイナーリーグ3Aクラスからトップ選手をどれだけ召集できるかが、代表チーム編成上のポイントとなります。日本代表“侍ジャパン”以外の代表チームからすればNPBで活躍している外国人が多い程、選手層を厚くすることが出来ますし、同時に侍ジャパンにとっても警戒すべきライバルとなります。そこで浮上してくるのが“ドミニカ共和国代表”です。

プロ野球に所属しているドミニカ共和国出身選手を見てみましょう。

近年NPBでは、単に海外から外国人選手を獲得するだけでなく、広島カープアカデミーや読売の外国人選手の育成契約選手のように、安く契約して球団内で育てるケースが増えています。NPB所属のドミニカ共和国出身選手が多くなっているのは、球団の外国人補強の変化も関係しています。身体能力の高いドミニカ共和国の選手ですから、上記リストに載っている選手以外にも各球団には育成契約含めたくさんいます。今シーズンが終わった後に大化けしている選手も出てくるかもしれません。

そして、これにマイナーリーグやドミニカウィンターリーグ所属の選手が加わることになります。いや、むしろマイナーリーガーやウィンターリーガー中心のチームにNPB勢が加わる、と言った表現の方が正しいでしょう。球団によっては、高額な外国人選手をPremier12への参加させることに消極的なチームもあるかもしれません。なので、代表チームの編成を考える際に、ウィンターリーガーをベースに考えそこにNPBのレギュラークラスをどれだけ呼べるか?という発想になると思われます。

さて、今季は実に102人ものドミニカ共和国出身選手が、メジャーリーグの開幕ロースターに名前を連ねましたが、彼らの後ろには更に多くのマイナーリーガーが控えている訳です。

彼らマイナーリーガーの中には、メジャー昇格が期待されるプロスペクト(若手有望株)や、メジャーで活躍できる実力を持ちながらも球団の育成方針の故にマイナー契約を甘んじて受けているような選手もいるでしょう。彼らがPremier12に積極的に参加するようであれば、間違いなく本大会の優勝候補として一気に浮上してきます。WBCで結成されたようなバリバリのメジャーリーガーだらけのドミニカ共和国代表ではないものの、選手層の厚い国ですから、メジャーリーガー不在でも国際大会で充分優勝を狙えるような、今までにないドミニカ共和国代表が見られるかもしれません。


鬼門は乱打戦の予想される1次ラウンド

そのドミニカ共和国代表は、Premier12の1次ラウンドでアメリカ合衆国、メキシコ、オランダと総当たりで対戦します。1次ラウンドの球場は、メキシコ・ハリスコにあるEstadio de Béisbol Charros de Jaliscoです。この球場は第4回WBCの1次ラウンドでも使われたのですが、標高の高い空気抵抗が少ない場所にあるため、本塁打が飛び交う乱打戦となりました。外野フライと思われた打球が簡単にホームランになってしまうので、選手の実力以上に得点が入ってしまい点の取り合いになります。強豪国チームからすると、何が起こるか分からない怖さがあります。点を取られないようにするにはフライを打たれないようにするのが一番のポイントですが、球場では空気抵抗が少ないため、変化球が曲がり難いという問題も留意する必要があります。つまり、ゴロを打たせる2シーム系の動くボールも変化が少ないため、変化球ピッチャーはとっては少し不利になります。なので、ゴロを打たせるには投球の高低や緩急などの配球も駆使して考える必要があります。この1次ラウンドさえ無事に通過できれば、2次ラウンド以降の会場は日本ですから、ハリスコよりは実力が試合結果に反映されやすい環境になると思います。侍ジャパンも2次ラウンド進出すれば、千葉ZOZOマリンスタジアムでドミニカ共和国代表と対戦することになりますが、これまで国際大会で侍ジャパンとドミニカ共和国の対戦はほとんどありませんでした。メジャー抜きでも十分手強いドミニカ共和国代表が編成されることと、侍ジャパンがその相手とガチンコの試合が実現されることを期待したいと思います。


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2018年12月19日、MLBとMLB選手会、キューバ野球連盟(以下、FCB)の三者が亡命無しにメジャーリーグ各球団と契約できる歴史的な制度に合意しました。これまでキューバの野球選手たちがメジャーリーグでプレイするには、命の危険を冒してまでアメリカに亡命するしか手段がありませんでした。キューバ代表チームの選手も例外ではなく、将来キューバの中核を担うだったはずの選手も、今ではメジャーリーグやマイナーリーグなどでプレイしています。

※当サイトでの調査結果です。


上のグラフは、各WBC大会後に参加したキューバ代表選手の大会後のキャリアを表したものです。第2回や第3回 WBCに参加したキューバ代表チームからは多くのメジャーリーガーが輩出されています。ヨエニス・セスペデス(OF/NY・メッツ)、ホセ・アブレイユ(1B/シカゴ・ホワイトソックス)、ギジェルモ・エレディア(OF/シアトル・マリナーズ)、アロルディス・チャップマン(RP/NY・ヤンキース)など、この頃の才能はアメリカに流出してしまったと言えます。その結果、第4回WBC2次ラウンドでキューバ代表は1勝も出来ず、更にオランダ代表にはコールド負け(14対1)を喫してしまいました。

このようにキューバ代表が相次ぐ亡命によって弱体化してきたのですが、昨年12月の合意によって、亡命したキューバ人メジャーリーガーが祖国に戻り、そしてキューバ代表チームに召集されることで、“キューバ代表ドリームチーム”が結成されることを期待する声も上がっています。


立ちはだかるトランプ政権

しかし、2019年4月8日、トランプ政権がこのMLBとFCBが締結した合意を却下したのです。この合意はキューバの野球界にとって長年苦しまされていた深刻な問題を解決する大きな改革だっただけに、トランプ政権によって許可が下りなかったことはキューバ球界に大きな失望を与えました。そもそもMLBとFCBが結んだ合意の背景には、オバマ大統領時代の「FCBがキューバ政府の一部ではない」との解釈のもと、FCBに契約金の一部が譲渡金として渡されることになっています。詳細は以下の通りです。

① 年齢が25歳以上且つキューバ国内リーグ“セリエ”で6年以上の経験がある選手(=日本で言うFA権取得のような場合)は15~20%をFCBが取得。

② 18~25歳未満の選手でもFCBが許可した場合(=ポスティングシステムのような場合)は25%をFCBが取得できます。(今年4月4日に公表されたキューバ人選手の移籍可能リストには、34名の選手が記載されており、その中にはイバン・モイネロ(RP/福岡ソフトバンク)、ライデル・マルティネス(RP/中日)など現役プロ野球選手も含まれています。)


就任以来、保護主義的な政策を推し進めるトランプ大統領はアメリカへの移民に対し厳しい態度を取っており、今回の合意却下も中南米諸国への批判的な姿勢がそのまま表れた形となります。トランプ大統領の任期は2021年1月まであり、彼が任期途中で自ら大統領職を辞することはまず無いでしょうから、それまでこの合意が認められる可能性は低いと考えられます。次回World Baseball Classic(=WBC)は2021年3月開催の予定ですから、大統領選2か月後に事態が進展することは考え難く、次回WBCでのドリームチーム結成の見通しは厳しいものとなりました。


キューバリーグに初めて復帰したメジャーリーガー

一方で、キューバの野球連盟もただ事態を黙って見ていた訳ではありません。2013年にキューバ代表選手のミチェル・エンリケスのメキシカンリーグ(LMB)派遣を皮切りに、キューバ国内選手の国外リーグ派遣が積極的に推進されてきました。そして、2014年にはフレデリック・セペダ(元読売)など、日本プロ野球球団との契約も始まりました。派遣先は日本、メキシコ、カナダ、イタリア、コロンビア、パナマなど、アメリカ以外の球団が中心となっています。このキューバ国内選手の海外派遣によって、これまで閉ざされたキューバ球界に、国外での経験や情報を持ち返ることに繋げています。留まることを知らない亡命によってキューバ代表の戦力低下が続く中で、FCBは“育成”により力を入れることで、何とか国際大会での競争力を維持しようとしている訳です。


そして、今年さらに大きな出来事がありました。2003年にキューバをボートで抜け出しアメリカに亡命したユニエスキー・ベタンコート選手が、今年3月に国内リーグ“セリエ”のナランハス・デ・ビジャ・クララに復帰したのです。Y・ベタンコートは、メジャーで9年間(出場1,156試合)に渡って活躍した正真正銘のメジャーリーグ経験者です。2014年にはプロ野球オリックスに入団。1年で解雇となりますが、その後は元々の亡命先だったメキシカンリーグで3シーズンプレイしています。メジャーの一線級でプレイしていた選手が、その経験をキューバ国内の選手達に伝承していく。これまでのキューバ選手の国外派遣では得られ難かったメジャー経験者本人による情報やスキルが、キューバ国内にもたらされることが可能になりました。


亡命した選手の代表復帰の可能性

今後も、メジャー経験のあるキューバ選手の国内復帰の流れは増加していくと思われますが、更にその先には、国内復帰した選手が代表チームに復帰することも考えられます。そうなると、日本やメキシコなどアメリカ以外でプレイしている一度亡命した選手が、キューバ代表に加わることもあり得るかもしれません。例えばプロ野球の場合、‘17年本塁打王のアレックス・ゲレーロ(読売)、’18年首位打者のダヤン・ビシエド(中日)、’18年13勝9敗のオネルキ・ガルシア(阪神)、‘18年6勝1敗のアリエル・ミランダ(福岡ソフトバンク)といった、プロ野球でも活躍している選手が、今のキューバ代表チームに加わることになります。(この4人で予想年俸総額が約10億円です・・・。)

これまでのキューバ代表の打線は、国外派遣を通してプロ野球でプレイしているアルフレッド・デスパイネ(福岡ソフトバンク)が主軸でしたが、これにビシエドやゲレーロが加わる訳ですから、十分強力な打線が形成されることになります。予想スタメンはこんな感じ(下表)でしょうか?

元々課題だった投手陣も、アメリカ以外の亡命組が加われば大きくテコ入れに繋がると思います。これがいつ実現するか分かりませんが、2020年の東京オリンピックにしても2021年のWBCにしても、ドリームチームの一つ手前のキューバ代表チームは現役メジャーリーガーはおらずとも対戦国にとって相当な脅威です。今後のキューバ野球の動向には要注意です。


以上、今回も当サイトをご覧頂きありがとうございました。

2020年東京オリンピックで3大会ぶりに復活する野球競技。しかし、その次の2024年パリオリンピックでは、再び競技種目から除外されることが決定しています。今回はこの件について個人的に思う所があり特集してみました。めちゃくちゃ長いので時間があるときにご覧頂ければと思います。


~野球にオリンピックは必要か?~

野球がオリンピック競技から外されることに対し、プロ野球選手など関係者からは残念がるコメントが多数ありましたが、野球がオリンピックから除外されたことによって、彼らの生活に多大な影響がある訳ではありません。そして、視る側(ファン)からしても、普段見ているプロ野球や高校野球などが急に無くなる訳でもありません。

『オリンピックは野球にとって必要か?』

この手の質問に対し、ネット上の回答を調べてみるとほとんどの答えが『NO』でした。近年視るスポーツとしてプロ野球が発展している中で、オリンピックでの野球に対し必要性を感じていない方が多いようです。私もその気持ちも分からなくありません。しかし、世界に野球を広めようとする立場の人々からすると野球がオリンピックに選ばれるか否かは、非常に大きな差があります。オリンピック競技になれば、各国の国内オリンピック委員会から補助金や援助が貰えます。それが無くなるということは、特に道具などでお金のかかる野球という競技にとっては、厳しい状態に追い込まれることになります。このようにオリンピックが必要か?の答えは、当然ながら立場によって回答が変わってきます。なので、今回はなるべく立場に偏りがないよう意識して考えてみました。


オリンピック側からの視点

ここで少し視点を変えてみたいと思います。オリンピック側から見れば野球はどう映っているのでしょうか?IOC(国際オリンピック委員会)は1984年のロサンゼルス大会以降、商業化路線を進め始めました。結果、ロサンゼルスオリンピックでは黒字を計上し成功を収めましたが、その後の大会から放送権料が高騰し始め、メディアの影響も強まるようになります。オリンピックを開催する都市にとっては、開催のためのインフラ投資などが莫大な額に上り大きな負担となることから、お金の問題が立候補検討段階での判断基準に大きく影響するようになり、次第に立候補する都市の数が減少し始めます。IOCとしても立候補都市の減少は大きな問題になっています。東京オリンピック後の大会に立候補していたパリとロサンゼルスが、それぞれ2024年大会と2028年大会に“競合無し”で当選したことは、候補地減少の問題で危機感を覚えたIOCが、両都市が心変わりする前に囲い込もうとした心理を如実に表しています。

IOCからすれば、開催都市の負担が少なく、且つ多くの収入が得られる競技を選択したい訳です。開催都市の負担と言えば“インフラ”です。立候補地の開催費用が少なく済むよう、既存のインフラを最大限利用したいため、開催地で普及している競技が自然と選ばれやすくなります。パリオリンピックで野球が早々に競技種目から外れたのも、開催地での野球場の有無が大きく影響していると考えられています。

一方で、収入と言えば“放映権料”です。世界中に普及していて、高い視聴率が期待できる競技の方が競技種目として選ばれやすくなります。ここで競技種目ごとにIOCとの力関係が顕著に表れてきます。

例えば、サッカー。オリンピックのサッカーは出場選手に年齢制限(23歳以下+オーバーエイジ枠)が設けられています。これは、世界のスター選手が所属する欧州の各サッカークラブが、オリンピックに派遣される選手について、年齢という条件を課すことで出場許可を引き出した折衷案です。そもそも、ヨーロッパにおいてオリンピックのステータスは高くありません。アジアやアフリカ、北中米カリブ海、南米といった地域ではオリンピックは高い注目を集めているものの、ヨーロッパとはかなりの温度差があります。欧州の各サッカークラブも、所属選手がオリンピックで怪我などされてしまっては堪らないと、選手派遣にはかなり消極的です。一方でIOCからすれば、そんなスター選手に是非オリンピックに出てもらって大会の放映権料を世界のメディアに高く売りたい訳ですから、年齢制限を設けてでも何とか選手に出てもらいたい訳です。

サッカー以外にも競技側の方が優位な種目があります。北米四大スポーツの1つ、バスケットボールもその1つです。アメリカ4大スポーツにしては珍しく世界的に普及しているバスケットボール。NBAのスター選手にオリンピックに出てもらえれば、世界各国から高視聴率が望める訳で、IOCとしてはオリンピックに無くてはならない競技なのです。バスケもサッカー同様、競技側の方が強い立場にあります。

では野球はと言うと、想定される視聴者は北米、中米カリブと東アジアが中心となるのが泣き所です。しかも、アメリカ国民はオリンピックにあまり関心がありません。アメリカ人にとって、スポーツと言えば4大スポーツであって、国内リーグの頂点こそ世界No.1の舞台だ、という感覚でいますから、オリンピック開催期間でも関心が向かうのは4大スポーツなのです。そうなると、視聴率が期待できるのはオリンピックに関心の高い日本、韓国、台湾くらいしかありません。IOCとしては、野球は視聴率が稼ぎにくいコンテンツとして映っているでしょう。

インフラの問題に加えて視聴率という課題が、野球のパリオリンピック競技種目除外という結果になり表れています。パリの次、ロサンゼルスオリンピックは、インフラは問題ないものの視聴率という点で期待が難しい中で野球が復活できるかはかなり不透明です。2032年大会以降のオリンピックがどの都市で開催されるか分かりませんが、インフラの問題と視聴率の問題が両方とも解消できる都市がオリンピック開催都市として選ばれる確率はかなり低いでしょう。そう考えると、野球がオリンピックに復活したくても、IOC側から考えると期待し難しい現状が理解できます。


非オリンピック競技とオリンピックの関係

一方で、オリンピック競技には選ばれていない人気スポーツもたくさんあります。例えばアメリカンフットボール。NFLは北米四大スポーツでNo.1の人気を誇り、その頂点を決める“スーパーボウル”はアメリカで年間最高視聴率を記録するモンスターコンテンツです。しかし、アメフト自体は世界的には普及しているとは言い難い状況です。仮にアメフトがオリンピック競技に選ばれても、前述の通り国際大会に関心が低いアメリカの国民が、アメリカ人が見るかと言えば疑問が残ります。ただ、アメリカ国内では圧倒的な人気を誇っていますから、アメフトにとってオリンピック競技でないことは深刻な問題にはなっていません。

次に、サッカーやバスケに次ぐ競技人口がいると言われるクリケット。クリケットは競技時間の長さがオリンピック競技に選ばれる上での課題と言われます。ただ3時間程度で試合が終わる“トゥエンティー20”と呼ばれる国際大会用のルールもありますので、オリンピック競技として選ばれるには、ルール上の制約はありません。むしろクリケットの場合、強豪国である英連邦諸国がオリンピック参加に対し消極的なことがオリンピック競技となっていない最大の要因です。元々、ワールドカップなど国際大会が盛んに開催されているクリケットの競技連盟は、オリンピックに選ばれてもメリット少なく、むしろ自分たちが開催する大会への影響を気にしています。また、クリケットが国技であるインドでは、国内リーグのインディアン・プレミアリーグ(IPL)が2018年~22年にかけて5年2700億円の放映権で落札されています。アメフト同様、国内の圧倒的な人気によって大きな経済規模の基盤となっています。

他にもアメフトに似たカナディアン・フットボールやオージー・ルールズなど、1つの国もしくは限られた地域で圧倒的な人気を誇っているプロスポーツは結構あります。そして、それらはいずれもオリンピック競技には選ばれていません。野球もこれらに似た構造になっています。MLBはもちろんですが、日本のプロ野球(NPB)も世界的に見れば相当な規模のプロスポーツです。因みに、アメフトや野球は“マイナー競技”と言われることがよくありますが、プロスポーツの経済規模を語った時に私はこの“マイナー”という言葉に違和感を覚えます。マイナー競技だったら何故何億も稼げるのか?と思ってしまうのです。個人的には、マイナー競技という言葉ではなく、“人気な地域とそうでない地域のギャップが物凄く大きい”と言った方が説明として正確なように思います。人気な国・地域にとっては、オリンピックの競技種目に選ばれなくても、それが必ずしもマイナスであるとは思っていないのではないでしょうか。彼らの考えでは、オリンピックが必ずしも“正解”ではないのです。


“野球”が抱える課題

では、人気地域だけで野球を楽しんでいけばいいのか?というと、そんなことを簡単に許してくれない状況にあります。“競技人口の減少”。少年野球の指導者の方ならば、これに対する危機感は相当なものではないでしょうか?日本では少子化のペース以上に、野球をしている子供の数が減っているというデータもあります。サッカーだけでなく多種多様なスポーツや趣味へタッチポイントに溢れている環境下で、野球はその魅力を伝えることが出来なくなっています。

競技人口の減少は競技レベルの低下に繋がり、その“やる側”の変化はいずれ“視る側”にも影響が出てきます。近年のプロ野球は、IT系の比較的新しい球団を中心に集客力向上が進んできましたが、競技人口が低下する中で、例えば大谷翔平のような魅力的なプレイヤ―が再び現れることがあるのか?第2の大谷が現れるには、やはり一定の競技人口という土壌があって可能になるものだと思います。千葉ロッテマリーンズが今年リーフラス社とスクール事業で業務提携を結んだのですが、これも将来の野球競技人口減に対する危機感から生まれた動きです。競技人口の減少という点でアメフトやクリケットなどの競技とは違い、日米ともにドメスティックな市場だけで見ていては良いという状況ではありません。特に日本は少子化という問題を抱えていて、子供の競技人口を増やすことにどうしても限界があります。いずれ大きな変化が訪れる可能性が見えている訳で、今の“野球”は何らかのアクションが必要な状況に居ます。例えば、あまり野球が盛んでない海外への競技普及活動や選手の発掘も、そのアクションの1つとして必要になってくると思います。


オリンピックによる視聴効果

しかし、海外への競技普及には、上述の“人気な地域とそうでない地域のギャップ”が立ちはだかります。JICAの青年海外協力隊の方々が、野球を広めようと地道な活動をされていても、そう簡単に進まないのは、その難しさを物語っています。

外国でルールも良く分からないスポーツに興味を持ってもらうのは至難の業です。「野球をやってみたい」と思わせるには、まず野球を目にする機会がないと始まらないと思います。ネットやTV視聴なのか、生観戦なのか目に触れる方法は様々ですが、まずは何試合が見てもらうことが大事です。

しかし、海外ではこの『試合を何回か見てもらうこと』が最も難しいのだろうと思います。これを逆の立場で考えてみましょう。例えば、日本ではルールがあまり知られていないクリケットの試合を見る機会があるか?と考えた時に、自ら進んでYoutube等で検索でもしない限り機会はほぼ無いといっていいと思います。人によっては、人生で1回も見ないこともあり得るのではないでしょうか?

そこでオリンピックです。世界中に配信されるオリンピックならば、その観戦機会を増やすことが出来ると考えるのも理解できます。しかし、東京オリンピックに出場できるのは6カ国のみ。当然その6カ国は、野球が普及している強豪国が得ることになるでしょう。では、出場しない国はどうでしょうか?オリンピックとは言え、ルールも知らない母国のチームも出場しない競技を見る人はいるのか?むしろ放送自体されないのではないでしょうか?そう考えると、野球がオリンピック競技種目に選ばれたとしても、試合の視聴機会増加という点での効果は相当少ないと考えられます。


YES/NOの以前に...

結局の所、冒頭の『オリンピックは野球にとって必要か?』という問題提起自体が、全く議論の意味がないのではないかと思います。大事なのは世界への野球に対する関心の拡大で、オリンピックはその手段の1つでしかありません。Youtubeなどで検索すれば野球の動画はいくらでも出てきますが、自身で検索するという自発的な動きがなければ始まりません。ただ、動画視聴サービスも個々のニーズに合わせて、おすすめ動画が表示されるようになっていますから、少しのきっかけから広がる可能性もあります。

例えば、どこの国でもアメスポに興味がある人はいますので、そこにアーリーアダプターとしてターゲットを絞るのも手だと思います。アメフトのスーパーボウルのハーフタイムを見た人が、メジャーリーグのワールドシリーズを見てMLBに興味を持つ、とか。

もしくは日本の高校野球甲子園。秋田・金足農業の活躍が、中国のネット上で少し話題になったそうです。「ルールは分からずともその姿に感動した」という方々がいたそうです。(中国のテレビでそのような報道は無かったでしょうから、彼らのソースはネットニュースでしょう。)ひと昔よりも、小さなきっかけから野球にたどり着く可能性は高くなっていると思います。


ルールを知らない海外に日本シリーズの魅力を伝える

その小さなきっかけで繋がれた彼らも、ルールを知らないとそこで関心の連鎖は止まってしまいます。例えば、ワールドシリーズという野球最高峰の試合だけを見せても、ルールが分からなければ球場の雰囲気しか伝わりません。その駆け引きの面白さ、選手の凄さといった面白さの部分を伝えるには“解説”に工夫が必要です。NHKで日本のラグビーの試合を放送している時がありますが、必ずルールの字幕説明が入ります。同じように野球でも、海外向けに試合を見せようとするならば、“ルール説明”を伴った試合映像が必要です。その上で“面白さ”まで伝えるには、ルール説明だけでなく、試合の駆け引きまで語れる必要があります。

個人的には、試合映像を作るという点で言うと、MLBよりも日本のプロ野球の方が適しているのではないかなと考えています。MLBは試合のテンポが速いですが、日本のプロ野球は“間”を大事にするので、ルールの解説や駆け引きを説明するには後者の方がフィットすると思います。よく野球の普及していない欧州や中国において、「野球は動きが少ないから退屈」という理由がコメントで見られますが、そこを逆手にとって動きの無い時間をルールと解説で埋めるという方法で、弱みを強みに変えることができるのではないかと思います。

それに、MLBは結構淡泊な試合が多い(イチローの引退会見でも物議を醸した「頭を使わなくても出来てしまう野球」)ので、野球の魅力を伝える素材としてはプロ野球の方がいいのではないでしょうか?日本のプロ野球は、どうしても国内マーケットへの依存度が高いプロスポーツですので、試合映像も基本は国内向けです。ですが、将来の競技人口減少を食い止めるには、海外への普及・進出のビジョンも明確にしながら、野球のルールも知らない国に向けた映像作りということも考えていかなければならないのではないでしょうか?スポ―ツのルールというのは、複雑な競技だとしても、基本的な部分は数試合の視聴で覚えられるものです。その数試合かでいかに魅力を伝えリピートしてもらえるか?その部分にかかっています。

プロ野球の最高峰と言えば日本シリーズです。数万人を収容するスタジアムが満員になる世界的な日本シリーズという映像コンテンツ。その魅力が海外の人たちに伝われば、将来その国から、プロ野球に入るような逸材が生まれてくるかもしれません。更にその選手の活躍をきっかけに、アーリーアダプターから一般大衆層に関心に広げられることが出来れば、どんどんと良い循環を生むことが出来るのではないかと思います。


以上、色々と賛否かるかと思いますが、私なりの考えが何かのきっかけになれば幸いです。長文にも関わらずお付き合い頂きありがとうございました。

先週行われた侍ジャパンvsメキシコ代表戦(1勝1敗)の結果をランキングに反映しました。

そして、今回ランキングのポイント計算方法を改定いたしました。以前のランキングでは、実力差のある対戦国同士で何度も試合をした場合、強い方のチームが弱いチームからポイントを荒稼ぎし、実力以上にランキングが上がってしまうという現象が起こりました。2018年11月に、南アフリカ代表がフランス代表を相手に7試合強化試合を行いましたが、実力に勝南アフリカ代表が5勝2敗で勝ち越しました。しかも、南アフリカが勝利した5勝は獲得ポイントが増える5点差以上の勝利でしたため、南アフリカは強豪台湾を上回りランキング12位にランキングアップしました。しかし、南アフリカの実際の実力はWBCの予選大会で敗退する程度のレベルです。

この”荒稼ぎ”問題を改善するため、同じ相手に連勝した場合に得られるポイントが少なくなるようポイント計算方法に補正を加えました。既に1回勝った相手に同じ年の間もう一度勝利した場合、獲得できるポイントは1/2に半減となります。既に2勝している相手に、3回目の勝利を得た場合は獲得ポイントは1/3、3勝済みの相手に勝った場合は1/4、・・・と勝利した回数に応じて獲得ポイントが少なくなります。これは負けた方のチームも同様です。当サイトのランキングは『ポイント交換制』を採用しています。強いチームを相手に何度も対戦し負けが続くと、奪われるポイントは1回目、2回目、・・・と負けのが増える程減っていきます。

今回の計算方法の改定により改めてポイントを計算し直した所、南アフリカは前回の順位12位から今回18位に大幅にランクダウンしました。”18位”ということは、WBC本戦に出場できないレベル(=WBC本戦の出場国は全部で16チーム)になりましたので、実力に近い順位にはなってきました。


今後の課題ですが、WBCでしかフルメンバーが揃わない強豪国はランキングのポイントが変わり難いという問題があります。例えば、カナダ代表やベネズエラ代表などはメジャーリーガーを多く輩出する強豪国で、もっと上位に食い込むだけの実力はあるのですが、WBCでしかベストメンバーが揃い難いという事情があるため、ポイントを増やし難いという課題があります。逆に、第4回WBCで初出場にも関わらず、2次ラウンドまで進出したイスラエル代表は12.07ポイントのまま高止まりしています。これは今後の課題ということで・・・。


以上、今回も当サイトをご覧頂きありがとうございました。

前回 メキシコ代表紹介~打者編~に続き、今回は投手編です。打者同様に、メキシコ代表の投手もメキシカンリーグ中心の選手選考となっています。メキシコ代表は本格派よりも打たせて捕る技巧派ピッチャーが中心で、動くボールへの対応が課題の日本代表(特に若手選手)にとっては中々良い相手と言えます。

3月9日の第1試合の先発するルイス・メンドーサ(SP/元北海道日本ハム、阪神)も典型的な動かすボールでゴロを量産するタイプです。今回2試合しかありませんので、メキシコ代表も多くの投手に投げさせたいので早い継投が展開されると思います。メンドーサが打てなくても、その後の継投を間違えてくれれば侍ジャパンにとってチャンスがやってくるのですが、どうせならば難敵メンドーサ攻略してすっきり行きたい所です。それでは早速ですが、メンドーサ以外にもメジャーリーグ経験者など手練れ揃いのメキシコ代表投手陣を見ていきましょう。


メキシカンリーグ投手成績をプロ野球の成績に変換する

前回も書きましたが、メキシカンリーグには標高の高いスタジアムを本拠地としているチームの選手は、打者有利・投手不利の環境でプレイしています。防御率を見てもチーム本拠地の標高との間にはそこそこの相関関係が確認できました(相関係数=0.54)。

データ元:チーム打率は「Baseball-Reference」より。標高は当サイト独自収集。


つまり、本拠地の標高が高いほど防御率は悪くなる傾向があるということで、彼らの成績をフェアに見るには標高の分を差し引いてみる必要があります。因みに、奪三振率や与四球などは標高の高さは関係ない、という分析結果が出ました。なので、標高が高いと防御率が高くなるというのは、高い標高で打球が飛びやすくなり被打率が悪化、それが防御率の悪化につながるという流れのようです。

まぁ理屈はいいので、メキシコ代表の昨季成績と日本プロ野球NPBでプレイした場合の予想成績を見ていきましょう。

【RHP】

メジャーで7年、日本プロ野球で4年活躍したメキシコを代表する先発投手。ゴロを量産するタイプで、いかにも侍ジャパンがPremier12や東京オリンピックで対戦しそうなレベルの投手。このタイプにはまると侍ジャパンとしては流れを変えるのが厳しい。

個人的に見てみたい投手。球速はそこまで無さそうですが、安定感がありそう。

昨シーズンまでメジャー傘下ワシントン・ナショナルズの3Aでプレイしていた投手。2016年にはサンディエゴ・パドレスでメジャーデビューし7試合に登板した経験あり。

メジャーを代表するクローザー”K-ROD”じゃない方のフランシスコ・ロドリゲス。2010年と2011年にメジャーで計53試合に登板した経験あり。



メキシコ代表チームにとって希少な速球派リリーバ―。2017年のWBCメキシコ代表や、カリビアンシリーズのメキシコ代表など、メンドーサ同様インターナショナルな舞台での経験が豊富な選手。今回はチームのクローザー候補。

【LHP】

2014年に広島に所属していた救援左腕。当時、バリントン、エルドレッド、ロサリオ、ヒースなど外国人選手が7人もおり、その煽りを受けて1軍出場は9試合のみでした。ただ、その9試合で防御率は3.27とそこまで結果は悪くありませんでした。髭と長髪が特徴的。

最後にメキシコ代表各投手のプロ野球での予想防御率をグラフにまとめました。

メキシコ代表チームの今回のメンバーは、三振を奪うタイプの選手が少ない印象でした。当サイトのプロ野球成績予想の計算式では奪三振率(K%)を重視しているため、プロ野球での成績予想は少し辛口な評価結果になりました。因みに、L・メンドーサがプロ野球で最後に所属した阪神タイガース時代の防御率が5.14でしたので、そこから年齢を重ねていることを考えると、まぁ妥当な線なのかなぁという気がしています。


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今週末3/9(土),3/10(日)に日本代表”侍ジャパン”が対戦するメキシコ代表。メジャーリーグが昨年に続いてFA(フリーエージェント)の停滞によって、セルジオ・ロモやフェルナンド・サラスなどの有名メキシコ人メジャーリーガーも就職先がなかなか決まらない中で、彼らのメキシコ代表チーム入りも期待されましたが、結局メキシコ国内リーグ『Liga Mexicana de Béisbol(LMB)』を中心に代表選手が選ばれました。今回はそのメキシコ代表チームを特集していきたいと思います。


打高投低のメキシカンリーグ

メキシカンリーグは、アメリカのメジャーリーグとは独立したプロ野球リーグで、南北2つのリーグ/全16チームから構成されています。メジャーリーグからは3Aクラスに割り当てられていますが、実際の所レベル的には2Aクラスと言われています。日本のプロ野球からも、メキシカンリーグのトップ選手を助っ人外国人として獲得する機会が増えています。またその逆で、活躍の場を求めて久保康友、荒波翔(共に元横浜DeNA)のように日本人選手が移籍するケースも出てきました。メキシカンリーグ出身の外国人選手の日本での活躍度合いを考えると、決して侮れない相手だと分かると思います。今回の来日メンバーの中にも、つい最近まで日本の1軍でプレイしていた選手が多数含まれています。

ただし、このメキシカンリーグは明らかな”打高投低”リーグとして知られています。その理由にはいくつか説がありますが、有名なのは”標高の高さ”です。例えば、メキシコシティ・レッドデビルズの本拠地”フォロ・ソル”は標高2,300mに位置しています。標高の高さ故に、打球は簡単にホームランになってしまう程よく飛びます。なので、本拠地の標高が高いメキシコシティやプエブラ、ドゥランゴなどに所属している打者の打撃成績は、その分を差し引く必要があります。下のグラフは過去5年間のメキシカンリーグのチーム打率と、チームの本拠地の標高の関係をグラフにしたものです。標高の高いチームほど打率が高くなっているのが分かると思います。

データ元:チーム打率は「Baseball-Reference」より。標高は当サイト独自収集。


この標高差に加えて、メキシカンリーグの投手のレベルも打高投低の原因と言われています。才能あるメキシコ人投手が早い段階でメジャー球団と契約しアメリカに渡ってしまうため、メキシカンリーグには比較的レベルの落ちる投手が集まっているという話です。実際のところ、メキシコ人メジャーリーガーの多くは投手ですので、この説も間違いではなさそうです。そうすろと、メキシカンリーグの打撃成績は、『標高の高さ』と『メキシカンリーグの投手レベル』を差し引いてみなければなりません。


メキシカンリーグの成績をプロ野球の成績に変換する

と言うことで、メキシカンリーグでの打撃成績を日本のプロ野球成績に変換してみたいと思います。まず、過去プロ野球で活躍したメキシカンリーグ出身の外国人選手成績を集めます。彼らのメキシカンリーグでの成績を本拠地の標高を補正した成績に直します。更に、ソ補正後の成績と日本プロ野球での打撃成績を比較します。例えば打率の場合、補正後のメキシカンリーグ成績に対し、日本での成績は平均して約24%落ちます。(因みに三振率K%や四球率BB%などから成績を予想する方法もあって、そちらの方が精度は良さそうなのですが、今回は時間の関係上、打率ならば一律24%パフォーマンスが落ちるというざっくりとした計算をしています。)そうして計算していきますと、メキシカンリーグでの成績から標高補正+投手レベルの違いによって、かなり打率成績は下がることになります。

早速今回のメキシコ代表野手メンバーを、プロ野球での予想成績と一緒に見ていきましょう。尚、今回先発と控えは過去の代表歴や実績などから、当サイトの独断と偏見で選びました。

今回のメキシコ代表メンバーの中で、最も知名度がある野手が”ルイス・クルーズ”でしょう。元々NYヤンキースなどメジャーで5年間活躍し、その後千葉ロッテ、読売、東北楽天とプロ野球で4年間3球団を渡り歩きました。特に捕球してから送球までが速く、2015年にはゴールデングラブ賞を受賞しています。WBCには、第3回と第4回の2大会に出場した経験があり、正真正銘のメキシコ代表のトップ選手です。

2017年に広島カープに所属していたラミロ・ペーニャですが、広島では22試合の出場に留まりましたが、メジャーリーグには実に7年間で341試合に出場しました。セカンドやサードも守れるユーティリティプレイヤーで、人数の限られる国際大会には使い勝手のいい選手になります。パワーがあまり無いので、今回の起用は守備固めでしょうか。

WBCメキシコ代表を支える39歳のベテラン外野手。元はアメリカ人ですが、メキシコ人の奥さんと結婚しメキシコに帰化。

今季からオリックスに加入した新助っ人外国人選手。メキシカンリーグ以外からの選出はこの人だけ。昨季は3Aで本塁打と打点の2冠に輝き、更にリーグMVPまで獲得。バリバリのメジャーリーガーで今季から読売に加入したクリスチャン・ビヤヌエバ(3B/読売ジャイアンツ)が今回は代表を辞退したようなので、ビヤヌエバがいないチームではこのメネセスが一番警戒が必要な選手だと思います。

ロベルト・ペレスは、WBC代表に選ばれたことはないものの、2015年のプレミア12でメキシコ代表に選出された経験があります。


まとめです。各選手のプロ野球での予想成績(OPS)をプロ野球全体の平均と比較、グラフにまとめました。

全体としてはプロ野球平均よりやや落ちますが、今回の侍ジャパンは若手中心のメンバー構成です。侮れない所か普通に打たれることもあると思います。後は投手の比較ですが、それは次回。


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少し前の話ですが、2月13日に今シーズンオフに開催されるPremier12の組合せが、主催する世界野球ソフトボール連盟(WBSC)より発表されました。日本はGroup Bに割り当てられ、ホスト国の台湾、中南米の雄 プエルトリコとベネズエラと同組になりました。因みに当サイトの組合せ予想(こちら)では、台湾、プエルトリコ、オランダでしたので、1組だけ外してしまいましたがほぼ予想通りの対戦相手でした。このPremier12は、東京オリンピックの予選を兼ねており、前回の第1回大会と比べて明らかに参加国にとってのプレゼンスが高まっています。この大会は、メジャーリーガーはMLB球団から参加が許されていませんが、日本のプロ野球やマイナーリーガー、韓国,台湾,メキシコなどのプロ野球リーグ所属の選手は参加可能です。結果的に、世界で2番目にレベルの高い日本プロ野球(NPB)所属の選手は、大会参加選手の中で最もレベルの高い舞台で戦っていることになります。つまり、日本以外の国にとってNPB所属の選手(日本人から見ると”助っ人外国人選手”)がチームに参加してもらえるか、もらえないかは、チーム戦力を大きく左右することになります。今回は、日本と同組になった台湾、プエルトリコ、ベネズエラの助っ人外国人選手を特集してみます。


育成・2軍クラスが多い台湾

台湾出身のプロ野球選手で、最も有名なのは陽岱鋼(ヨウ・ダイカン/CF/読売)でしょう。最初に入団した北海道日本ハム時代から今年でプロ生活13年目になります。見た目は若いですが、年齢的にもベテランの域に達しており、国際大会でも活躍も後数年といったところでしょう。陽選手の次に期待がかかるのが、今季から北海道日本ハムに入団する”台湾の4割打者”こと王柏融(ワン・ポーロン/CF/北海道日本ハム)です。この2人に台湾プロ野球リーグCPBLの強打者を加えた打線は、強力な侍ジャパン投手陣にとっても厳しい相手になりそうです。

打者の一方で、ウィークポイントなのは投手陣です。今季実績を残せたのは、陳冠宇(チェン・グァンユ/SP/千葉ロッテ)と宋家豪(ソン・チャーホウ/RP/東北楽天)位でした。台湾で期待されていた郭俊麟(グォ・ジュンリン/SP/埼玉西武)は、今季3試合に留まり、他の台湾人投手も1軍に上がることは出来ていません。陳冠宇投手は台湾にとって数少ない先発の切り札ですから、日本戦よりも力の劣るプエルトリコかベネズエラ戦での登板が予想されます。そう考えると、打線は脅威ですが投手陣の層は厚くないので、試合序盤に接戦になっても、終盤にかけて突き放すチャンスが訪れそうです。


プエルトリコは打線に厚みを増せるか?

次にプエルトリコですが、今季はプエルトリコ出身のプロ野球選手はあまり多くありません。ただ、キーマンになりそうなのは昨季セ・リーグ本塁打王を獲得したネフタリ・ソト(UT/横浜DeNA)でしょう。打撃はもちろん、ファースト、セカンド、外野を守れるユーティリティ性も国際大会では重宝される存在です。プエルトリコ代表チームとしては、是非ともチームに加わって欲しいメンバーでしょう。更に昨季打率3割をマークしたスティーブン・モヤ(OF/中日)も試合数は少ないながら、貴重な戦力になりそうです。ソト選手に加え、今季から千葉ロッテに新加入したケニス・バルガス(DH/千葉ロッテ)が活躍すれば、ソト、バルガスの強力なクリーンナップが形成できそうです。


全員集まったらかなり強い、バランスの良いベネズエラ

ベネズエラはドミニカ共和国に続きメジャーリーガーを多く輩出している国で、マイナーリーガーも含めて選手が上手く集められると、かなり手強いチームになると予想されます。NPB所属のベネズエラ人選手はかなり粒揃いです。投手陣ですが、先発投手で昨季14試合登板したエディンソン・バリオス(SP/横浜DeNA)、そして今季から東京ヤクルトに新加入したアルバート・スアレス(SP/東京ヤクルト)の2枚がいます。リリーフには、横浜DeNAで53試合に登板したエドウィン・エスコバー(RP/横浜DeNA)がいます。もし、WBCベネズエラ代表で最速161kmのロベルト・スアレス(RP/福岡ソフトバンク)がトミージョン手術から復活できれば、侍ジャパンのバッター陣にとっても手強い相手になりそうです。

打者には、ホゼ・ロペス(1B/横浜DeNA)、エルネスト・メヒア(1B・埼玉西武)の2人のベテランがいますが、メヒアは昨季打率.212と不振に苦しみました。ホゼ・ロペスもファーストの守備は秀逸ですが既に35歳。怪我のリスクが常に付きまとう年齢になっていますから、シーズンオフに開催される国際大会に向けて果たして参加できるか?ロペス抜きの打線ならば、マイナーリーガー中心の情報の少ない打線となりそうです。


この他にもNPBの助っ人外国人が加わることで、侍ジャパンの脅威になりそうな国は沢山あります。特に、ドミニカ共和国は読売や広島が育成枠で育て上げた選手や、中日のドミニカンルートから獲得した選手が多くいますので、侍ジャパンにとって一番の脅威になるでしょう。また、気を付けたいのはやはり先発投手です。オランダにはリック・バンデンハーク(SP/福岡ソフトバンク)、カナダにはアンドリュー・アルバース(SP/オリックス)など、ロースコアのゲームに持ち込まれそうな先発投手が何人かいます。こういった投手に足元をすくわれないよう気を付けていきたい所です。


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侍ジャパンが”常設”の野球代表チームと認識されていると思いますが、その日本代表よりもガンガン代表選手による試合を行っている国があります。”赤い稲妻”ことキューバです。近年、亡命選手の増加により大きく戦力が落ちてきている同国ですが、日本プロ野球やメキシカンリーグなどの海外のリーグへ積極的に選手を派遣するなど、代表チームの戦力低下に歯止めをかけようとしています。一方で、2018年12月にはMLB/MLB選手会/キューバ野球連盟FCBの3者間で、亡命することなくメジャーに移籍できるような契約に合意した、という報道がありました。この制度は、日本のポスティングシステムに近い制度だそうですが、今後どのようにキューバ国内リーグCNSに影響するか見通すことは難しそうです。そんな中でも、キューバのトップ選手は、国際舞台で着々と経験を積み続けています。


準優勝のカリビアンシリーズ

2月4日~10日の間、中南米のウィンターリーグ王者同士で対戦するカリビアンシリーズが開催され、キューバからは国内リーグ王者のラス・トゥナスが参加しました。ただ、ウィンターリーグ王者といっても、チームには補強選手が追加されており、日本プロ野球NPB所属のアルフレッド・デスパイネ(LF/福岡ソフトバンク)やイバン・モイネロ(RP/福岡ソフトバンク)、ユリスベル・グラシアル(3B/福岡ソフトバンク)、ライデル・マルティネス(RP/中日)など、ほぼキューバフル代表のメンバー構成で挑んでいます。今年のカリビアンは、ドミニカ共和国、ベネズエラ、プエルトリコ、メキシコといった毎年参加している参加国に加えて、元々開催国だったベネズエラが政情不安により開催中止となったことで急遽ホスト国になったパナマの合計6カ国による大会となりました。つい最近までドミニカ共和国、ベネズエラ、プエルトリコ、メキシコの4か国のみで行われていましたが、キューバとパナマの参加で、元々レベルの高かったカリビアンシリーズに、参加国の増加がカリビアンシリーズのタイトルをより難しい大会にレベルアップさせています。

そんな中、今年のキューバ代表ラス・トゥナスは準優勝でフィニッシュしました。勝敗だけで言うと決勝戦を含め2勝3敗と負け越しですが、どの試合も接戦だったようで選手には良い経験になったのではないでしょうか。因みに優勝したのは地元のパナマ王者トロス・デ・エレーラ。決勝戦の最後はパナマ出身の元メジャーリーガーのマニュエル・コーパスがセーブで締め括りましたが、地元のグラウンドにたたずむ姿が印象的でした。


エルサルバドル野球リーグ選抜と2勝1敗

続いて2月15日~17日の間、デスパイネなど海外組を除いた国内リーグ代表メンバーで、エルサルバドル野球リーグLNBのリーグ選抜チームと対戦しました。エルサルバドルといってもピンと来ない人がほとんどだと思います。エルサルバドル自体はサッカーの国であって、野球では弱小国に当たる国ですが、結果は2勝1敗。このエルサルバドル選抜チームにはWBCニカラグア代表のCarlos Teller投手など海外出身の選手も多数含まれていて、キューバ国内フル代表が相手でもきちんと試合になる所か、最後は1勝を挙げました。国際試合の中でもかなりレアな相手なので、その相手に対し2勝1敗という結果はどう総括したらよいか非常に難しい所ですが、あくまで強化試合と見るのが妥当でしょうか。


恒例の米独立リーグCanAmリーグ参戦

6月にはアメリカ・カナダにある独立リーグ”カナディアン・アメリカン・リーグ(CanAmリーグ)”で同リーグの各球団と15試合対戦します。シーズン中ですので、こちらもNPBなど海外組は不参加となる見通しです。このCanAmリーグに続いて、7月にはペルーの首都リマでパンアメリカン競技大会を迎えます。そして最終的には、今年11月東京オリンピックの出場権のかかった最初の大会Premier12(日本,台湾,韓国,メキシコ共催)に挑むことになります。前回Premier12では準々決勝で韓国にあっさり敗れ、東京に来ることも出来ませんでしたが、多くの国際経験を積んだキューバ代表の戦力がどうなっているか要注目です。


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3月9日、10日とメキシコ代表と強化試合を行う侍ジャパン28名が発表されました。昨季シーズンオフに開催された日米野球では、パ・リーグ王者の埼玉西武ライオンズのメンバーや、代表常連組が召集されましたが、今回は若手中心に埼玉西武以外の球団からバランスよく選出されました。日米野球を辞退した山本由伸投手(RP/オリックス)を含め半数弱の12名が初招集というフレッシュなメンバーで挑みます。早速ですが、召集メンバーから見える今回の意図や課題を分析していきたいと思います。


混戦の救援陣

※投手は守備の影響を排除した疑似防御率 FIPをグラフにしてみました。(FIPの詳細はこちら)FIP以外も含め、今回のスタッツは、毎度お世話になっているDeltaのサイトを参照しています。(https://1point02.jp/op/index.aspx


今回の強化試合は、2試合のみということで救援投手を中心にした構成になっています。まずオーソドックスを見てみますと、これまでの常連組では、代表でもクローザーとして定着しつつある山崎康晃(CL/横浜DeNA)、日米野球で初招集の高橋礼(RP/福岡ソフトバンク)位です。召集経験のある森唯斗(CL/福岡ソフトバンク)も2016年の台湾戦以来の代表入りで、それ以外は初招集組です。注目は、昨季活躍した原樹里(SP/東京ヤクルト)、山本由伸(RP/オリックス)の2名です。二人ともゴロ率が高いのが特徴的です。Premier12は東京ドームで、東京オリンピックは横浜スタジアムと、開催国であるにも関わらず、日本の武器である強力投手陣という強みが活かし難い打者有利の球場で試合が行われます。ゴロ率の高い投手は、国際大会で警戒が必要な外国人バッターの1発を避ける意味で非常に重要なピースになると思われます。


サウスポーでは、オーストラリアプロ野球ABLで経験を積んだ今永昇太(SP/横浜DeNA)、1年前のオーストラリア戦以来の召集の田口麗斗(SP/読売)など、再招集組が中心となっています。2人とも昨季の活躍はあまり良くありませんでしたが、国際大会での相性などを考えての起用かもしれません。サウスポーに初招集がいないということは、既に陣容が決まってきたというよりも、候補が少ないからかもしれません。


若手中心でも層の厚い外野陣

次に野手~攻撃陣~を見てみましょう。攻撃はお馴染みのOPS(=出塁率+長打率)をグラフにしてみました。

過去の代表歴や昨季成績などから、勝手にスタメンを予想してみました。攻撃の中心は、岡本和真(1B,3B/読売)、近藤健介(LF,3B/北海道日本ハム)、吉田正尚(DH/オリックス)の3名が中軸となりそうです。東京オリンピックとその先にあるWBCを考えると、メジャー志向の強い(または、見え隠れする)筒香嘉智(LF/横浜DeNA)、山田哲人(2B/東京ヤクルト)、秋山翔吾(CF/埼玉西武)などの、これまで代表を支えてきたメンバーが抜けてしまうリスクがあります。そんな中でも、前述の3人に加えて西川遥輝(CF/北海道日本ハム)や田中和基(CF/東北楽天)など、外野には豊富なタレントが揃っています。

更に、日米野球で攻撃の中心を担っていた埼玉西武の山川、源田、外崎が活躍しましたが、彼らのバックアップとして、大山悠輔(1B,3B/阪神)や京田陽太(SS/中日)、清宮幸太郎(1B/北海道日本ハム)などが選ばれてたのだろうと思います。稲葉監督は、今回のメキシコ戦の試合内容を重視するようですが、代表に選ばれるにはやはり今シーズンでの飛躍はマストになるでしょう。外野に比べると、確定な選手が少ないファースト,サードですので乞うご期待です。


外野の守備力は高いのにそれを活かし難い球場問題

次に守備を見ていきます。守備は各選手のUZRを見ていきます。UZRは平均を0として、守備で抑止した得点を表しています。UZRの値が高い程、守備力のある選手を意味しています。

球界を代表する選手だけあって、捕手、二遊間、外野は高い守備力を誇っています。上手く思った方向にゴロを打たせられれば、京田と中村(または吉川)の二遊間に嵌めることが出来るのですが、少し気になるのはファースト/セカンドのライン際で、ここのUZRが相対的に低いのが気になります。

一方で外野は、上林、西川、近藤と高い守備力を示していますが、狭い東京ドームや横浜DeNAではこの強みが活かし難い環境にあります。当サイトでは、日本代表の強力な投手陣、そしてタレントの多い外野陣を活かすには、札幌ドームのような広い球場で戦うのが得策だと考えています。しかし、どうしても集客の都合東京ドーム開催が多いのが、パワーのある外国人バッターを相手にする上での難点になっています。もっと楽に勝てるような気がするのですが、果たして侍ジャパンが”移転”することはあるのか・・・、今後のボールパーク論争にも要注目です。


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