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 前回特集した通り、東京オリンピックへの切符がかかった欧州野球選手権で、イスラエルが台風の目になりました。大会を4位で終え、オランダ、イタリア、スペイン、ドイツといったこれまでの4強から、ドイツを5位決定戦に追いやる形となりました。そのドイツは5位決定戦でもチェコに1点差で敗れ、ここ最近コンスタントにメジャーリーガーも輩出してきたドイツが敗退となりました。優勝のオランダは、決勝でライバル・イタリアを破り大会3連覇達成。ということで、今大会の上位5位までに入ったオランダ、イタリア、イスラエル、スペイン、チェコは、東京オリンピックの欧州・アフリカ予選に進出。アフリカ王者南アフリカを加えた6チーム総当たり戦を行い、優勝した1チームが東京オリンピックへの切符を手にします。2位は2020年3月開催予定の東京オリンピック最終予選に回ります。

今大会の結果をまとめると以下の通り。

 オランダとイタリアの2強が決勝に進出したものの、ベスト4のスペイン、イスラエルとは1点差の勝利。スペインはオランダ相手に7回まで0-0でしたし、イスラエルも7回までイタリアに2点リードしていた状況でした。この辺りからも、ベスト4チームの実力は非常に拮抗していると見えます。欧州・アフリカ予選では、今大会の結果は関係ありませんので、より熾烈な争いが繰り広げられるでしょう。


因みに今大会の試合結果を当サイト独自のランキング『SPLITTER RANKING』に反映。

オーストリア、スウェーデン、クロアチアの3カ国を新たに追加。追加組から容赦なくポイントを荒稼ぎした強豪のオランダ、イタリア、スペイン辺りがランキングを上げており、やや過大評価気味に…。


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 9月7日から15日にかけて欧州野球選手権が開催されています。ヨーロッパ各国にとってこの大会は、東京オリンピックへの切符を懸けた最初の戦いになります。この欧州選手権の上位5位までに入れば、次のステージである『東京オリンピック 欧州&アフリカ予選』に進出することができます(下のの図参照)。

 戦前の予想では、WBCでもコンスタントに成績を残しているオランダとイタリアの2強と、これに続くスペイン、ドイツ辺りが順当に上位5位以内までに勝ち上がってくると思われています。そして、残りの椅子をチェコやフランス、ベルギー、イギリスなど欧州中堅国クラスが争う形となると思いますが、そこに割って入ってきそうなのが”欧州野球選手権の予選”から勝ち上がってきたイスラエル代表です。


イスラエル野球協会会長のリクルーティング

 イスラエル代表と言えば、2017年第4回WBC2次ラウンドで日本とも対戦したことが、よく取り上げられます。同大会の1次ラウンドでは、韓国、台湾、オランダといった野球の強豪国を倒し『番狂わせ』と報じられていました。ただ、イスラエル代表の実態は、ユダヤ系アメリカ人マイナーリーガーであり、戦力的には1次ラウンドを勝ち抜く可能性は十分あったので、決して『番狂わせ』という程戦力差は無かったのです。

 WBCイスラエル代表がユダヤ系アメリカ人選手を召集できたのは、WBCの出場資格と関係しています。というのも、WBCでは必ずしもイスラエルの国籍を持っていなくても、出生国であったり両親の国籍や出生地が当該国であれば出場資格が得られます。逆に、WBC以外の大会(それこそ東京オリンピックなど)ではその国の国籍を入手する必要があります。なので、WBCに出場したようなイスラエル代表メンバーをそのまま召集することは簡単にはできません。

 そこで登場するのがイスラエル野球協会の会長Peter Kurz氏です。Kurz会長やイスラエル野球協会の面々が積極的に動いて、ユダヤ系アメリカ人選手のリクルーティングや、イスラエル国籍取得に関係組織への協力を呼びかけた結果、欧州選手権に向けて多くのユダヤ系マイナーリーガーを召集することに成功しました。召集できた選手の中には、メジャーで8年間プレイしたダニー・バレンシア(3B/元シアトル・マリナーズ他)のような本当のメジャーリーガーも含まれています。イスラエル代表の選手達も”イスラエルを代表してオリンピックに出場する”ことへのこだわりがあるようで、例えば、WBCにも出場したタイ・ケリー選手は、先月8月にプロ選手として引退しましたが、今月イスラエル国籍を取得しそのまま代表チームに合流しています。キャリアの集大成をオリンピックで迎えたい、という強い気持ちがあるのではないでしょうか。他にも、Jeremy Wolf選手はイスラエルでの野球普及のため、欧州選手権後に同国への移住も考えているとか。選手からフロントまで、イスラエル代表の結束や想い,覚悟はかなり強いように思えます。

 そんな想いで集まったイスラエル代表チームは、戦力的にはWBCの時程の面子は集められていないものの、他の参加チームからすれば十分警戒が必要なレベルの戦力にはなっているようです。


欧州野球選手権の戦力を見てみよう

 そこで、具体的に欧州選手権に参加する強豪4カ国とイスラエル代表の戦力を見ていきましょう。

オランダ代表

 WBCでもメンバー入りした選手を多く揃えるオランダ代表。そもそもWBCでは、野手にメジャーリーガーを多く揃えていたので、投手陣はいい意味でも悪い意味でも戦力維持。超ベテランのコルデマンスやマークウェルも健在で、個人的にはもう少し新顔が見たかった。一方、野手の方は、WBC代表と比べれば現役メジャーリーガーがいない分、ごっそり主力が違う面子になっています。しかし、オランダが他の欧州各国と違うのは選手層の厚さ。メジャーリーガーがいなくとも、多くのオランダ及びオランダ領諸島出身のマイナーリーガーがそれらのポジションに入れることができます。他の代表チームもなるべく多くのマイナーリーガーを召集しようと頑張っていますが2,3人程度。オランダはそれより多くのマイナーリーガーが召集できるのが強みです。投手はオランダ国内リーグ中心、打者はアメリカを主戦場とする選手が揃っています。


イタリア代表

 オランダと双璧のイタリア代表。イタリアの国内リーグ”セリエA”所属の選手中心の構成となっていますが、アメリカでプレイする選手もちらほら。プロ野球初のイタリア人選手だった、アレッサンドロ・マエストリ(SP/元オリックス)がエース格で、WBCブラジル代表経験のあるムリーロ・ゴーベア(RP/ボローニャ)などもロースター入り。打者では、メジャーで225試合の経験のあるクリス・コラベロ(1B/元トロント・ブルージェイズ)や昨年メジャーデビューしたジョン・アンドレオリ(OF/シアトル・マリナーズ(3A))などが、強力打線の中心を担ってくる見込み。


スペイン代表

 スペイン代表は、前回WBCの予選大会に出たメンバーが半分程度メンバー入りしました。投手の中には、元楽天所属のライナー・クルーズなどがいます。スペイン国内リーグ所属の選手が多いですが、結構イタリア・セリエAでプレイしている選手も多く、イタリア代表とは、手の内を知る選手同士の戦いとなりそうです。(もっとも、オランダやドイツとも、ヨーロッパの大会で何度も戦っている選手は沢山いると思いますが…。)

 U18野球ワールド杯ではスペイン代表が、アジアやアメリカの強豪国相手に大健闘しました。戦力的にはオランダやイタリアの方が少し上だと思いますが、スペインのフル代表も頑張って欲しい所です。


ドイツ代表

地元開催のドイツ代表。ドイツ出身のメジャーリーガー、マックス・ケプラー選手(RF   /ミネソタ・ツインズ)今季36本塁打(9月8日時点)を放ち完璧にブレイクした状態になりましたが、彼に続くように近年ドイツ出身マイナーリーガーの数も少し増えてきた印象があります。そんな中マーカス・ソルバックなど、ピッチャーのマイナーリーガーを呼べたのは大きいかなと思います。他の国と比べると国内リーグ(ブンデスリーガ)出身者の比率が高い。


イスラエル代表

そして、今回のテーマであるイスラエル代表です。見てすぐお気づきかと思いますが、「無所属」の選手が多いです。これを見ると「なんだ、マイナーリーグをクビとなった浪人チームか。」と思われるかもしれませんが、どうもそう単純ではないみたいです。イスラエル野球協会のホームページを見ると、現在の所属チームが TEAMイスラエルとなっていました。ラグビーなどでは、選手が協会と契約する形がポピュラーですがそんな感じなのか?イスラエルの場合、欧州選手権には予選からの出場でしたから、代表チーム専任っていう感じなんですかね?まぁ実質、無所属なのかもしれませんが、だからといって実戦から遠ざかっていたりするかというと油断はできません。先月まで現役マイナーリーガーだったタイ・ケリー選手の他にも、ニック・リックレス選手はミルウォーキー・ブルワーズのマイナーチームでコーチをやっていますが、昨年までマイナー3Aクラスでプレイしていましたし、それこそ前述のダニー・バレンシアに至っては、昨年までメジャーリーガーでした。

 因みに、このタイ・ケリーとブレイク・ガイレン(OF/ロサンゼルス・ドジャース(3A))は、第4回WBCのイスラエル代表チームでもスタメン出場していましたし、そこにメジャー引退したてのダニー・バレンシアが構成するクリーンナップはかなり強力だと思います。


 今回特集した5チームは、欧州選手権初日時点でどのチームも勝利して順調なスタートを切っています。特に、イスラエルは一番のライバルになりそうなチェコ代表を破りました。(チェコ代表にも頑張って欲しいので個人的には複雑な気持ちですが…。)WBCでダークホースとなったイスラエル代表が、東京オリンピック予選でも台風の目となるのか?要注目です。


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今回は雑談回です。最近私、有名ツイッタラーのお股ニキさん著書の「セイバーメトリクスの落とし穴」を愛読しております。この本は普段セイバー系のデータを結構扱っている自分としては、普段感じているモヤモヤを言語化されており、非常に素晴らしい本だなぁと思っているのですが、その一節に「雑魚専」や「本物」について取り上げられていました。つまり、プロ野球の成績上位者の中にはトップクラスの打者や投手からも変わらない成績を出せる「本物」もいれば、一軍半クラスの選手から”稼いでいる”「雑魚専」もいるっていう話です。そこで、表紙絵の通り成績上位の選手同士がどうなっているのか見てみました。尚、昔某フジテレビで放送していた番組にちなんで、成績上位者同士の戦績を「ほこ×たて成績」と言うこととします。


ほこ×たて成績の出し方

成績上位者の定義は結構人それぞれだと思いますが、今回はセリーグ、パリーグのそれぞれいから、打率や防御率の上位10名、本塁打数は上位5名、セーブ数3名までを選出しました。打者成績には打率とOPSを集計してみましたが、投手の方は本来防御率を出したい所ですがそれは難しいので被打率だけ集計してみました。なので、投手はほんと参考ですね。


【結果】

まずはバッターです。


トップとの対戦でも成績が落ちなかったのは、吉田正尚(LF/オリックス)、丸佳浩(CF/読売)、バレンティン(LF/東京ヤクルト)、ビシエド(1B/中日)、茂木栄五郎(SS/東北楽天)、近藤健介(LF/北海道日本ハム)、西川龍馬(CF/広島)などでした。基本的に対戦相手が一流投手になる訳ですから、打率にしろOPSにしろ成績は悪化するのが普通です。ただ、ちょっと落ち幅が目立ったのが、山川穂高(1B/埼玉西武)や浅村栄斗(2B/東北楽天)、村上宗隆(3B/東京ヤクルト)でした。まぁ、ただこれはあくまで少ない打席数の数値ですし、あくまで参考ですね・・・。


次に投手です。

こちらはもっと参考程度で見てください。トップ打者との成績ですので、ほとんどの投手は被打率は悪化しています。もっとも、投手の役目は点を取られないことですから、トップバッターに打たれても、次の打者が打ち取れれば仕事をしたことになります。あまり、投手は、ほこ×たて成績は気にしなくていいかなと思います。


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 今年11月開催のプレミア12アメリカ代表の監督に、前ニューヨーク・ヤンキース監督のジョー・ジラルディ氏が就任しました。2006年にフロリダ・マーリンズで初めてMLBの監督を務めてから、主にニューヨーク・ヤンキースで指揮を執り、2009年にはワールドシリーズ制覇も経験しています。また、2017年再建時期でかなり厳しい状況だったNYヤンキースを率いてポストシーズンに進出しています。

 しかし、気性が激しい正確だったことが災いしました。近年メジャーの監督には、選手とのコミュニケーションが重視されるトレンドだったということもあり、関係が悪化していたB・キャッシュマンGMから解雇されています。

 ジラルディ監督は、今大会で間違いなく群を抜いて華々しい指導歴を持つ監督ですが、国際大会という選手も相手も球場も審判も初めてという正にゼロスタートの環境の中で、どこまでその手腕を発揮できるのか?今大会での注目ポイントの1つです。


各国の代表監督の顔ぶれ

 今時点で判明しているプレミア12参加国の代表監督を調べてみました。(アメリカの対抗馬、ドミニカ共和国代表は誰が監督になるのか調べたもののソースがまだ見つかりませんでした。情報提供求ム。(加筆)ドミニカ共和国の監督は、メッツ2Aでコーチをしているルイス・ロハスが務めることになったようです。ロハス監督は選手として大成しませんでしたが、引退後早々に指導者の道を歩んでいる比較的若い監督です。)

 アメリカ代表は、1次ラウンドA組でメキシコ、オランダ、ドミニカ共和国と同じ組となりました。プレミア12で召集できる選手はMLBロースター40人枠外ということで、いわゆるマイナーリーガーやアメリカ国外の選手中心のチーム構成となると予想されています。それでも、圧倒的な選手層を誇るアメリカは、日本に次いで戦力的に2番目に位置する有利な状況です。とは言え、同組のドミニカ共和国やメキシコ、オランダは決して油断できない相手(と言うか今大会で一番厳しい組合せ)です。舐めてかかると本当に危険な相手ですが、どこまで戦力分析がされるのか?本当にA組は注目です。


 稲葉監督が率いる侍ジャパン日本代表は、台湾、ベネズエラ、プエルトリコと同じB組に入っています。気になるのは、プエルトリコを率いるファン・ゴンザレス監督です。2017年の第4回WBCでは、プルペンコーチとしてプエルトリコ代表の準優勝に貢献。更に今年行われたパンアメリカン競技大会では、前回王者のカナダを破り金メダルを獲得しました。戦力的にはマイナーリーガーも召集していたカナダ代表の方が有利でしたが、見事にアップセットを起こしています。日本にとっては開催国の台湾代表の方が馴染みがある存在ですが、国際大会で着実に実績を積み重ねているプエルトリコ代表監督は、非常に不気味な存在です。

また、ベネズエラを率いるカルロス・スベロ監督も、第4回WBC同国代表チームでコーチ経験があります。2016年にMLBミルウォーキーブルワーズで一塁内野コーチを務める他、マイナーリーグで豊富な監督歴を持つ人物です。(B組の対戦国はどの国も、稲葉監督よりも豊富な指導経験がある監督が相手となっています。第1回プレミア12でも小久保前代表監督が準決勝で負けた際に指導歴の浅さが批判されましたが、今大会でももし優勝以外の結果ならば同じ指摘をされるでしょう・・・。)


 最後にC組ですが、気になるのは韓国代表を率いる金卿文(キム・ギョンムン)監督です。侍ジャパンがメダル無しに終わった北京オリンピックで、見事金メダルを獲得しています。韓国国内リーグでは斗山ベアーズやNCダイノスなどで監督を務め、長い指導経験があります。日本からすると北京で2回負けており、嫌な思い出のある相手です。

カナダを率いるアーニー・ウィット監督は、WBCのカナダ代表監督を第1回大会から全大会務めているレジェンドナショナルチーム監督。メジャー軍団が相手のWBCでは結果が出ていませんが、WBC以外の大会ではそれなりの成績をマークしています。2015年のパンアメリカン競技大会では金メダルに導いていますし、前回 第1回プレミア12でも1次ラウンドは首位通過しています。キューバ代表のレイ・ビセンテ・アングラーダ監督は、パンアメリカン競技大会では最悪の6位という結果だっただけに、正直本当に続投で良いのか?という気もします…。


ということで、プレミア12の要注目監督は、アメリカのジラルディ監督、プエルトリコのゴンザレス監督、韓国の金卿文監督の3人といったところでしょうか。


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 7/29~8/4の間行われたパンアメリカ大会の野球競技は、プエルトリコの初優勝で幕を閉じました。3連覇を狙った前回王者カナダは惜しくも準優勝に終わりましたが、アメリカ代表が出場しない中で他の参加国よりも多くのマイナーリーガーを召集できた代表チームの編成力は流石といったところでしょうか。

 また、今回のパンアメリカン大会は、東京オリンピック・アメリカ大陸予選への出場権を懸けた大会でした。今年11月開催の第2回プレミア12に出場するアメリカ、カナダ、ドミニカ共和国、ベネズエラ、プエルトリコ、キューバ、メキシコは自動的に出場権が与えられています(※)が、それ以外の国はこのパンアメリカン競技大会で上位2か国に入ることが条件となっています。

 今回の参加国で言うと、コロンビア、ニカラグア、アルゼンチン、開催国ペルーの4か国は、東京オリンピックへの生き残りをかけたサバイバルレースにもなっているのです。

(※)・・・正確には上記7カ国の内、最上位の国は東京オリンピック出場権獲得。残り6カ国が東京オリンピック・アメリカ予選に出場する。


キューバは完全に『赤信号』

この大会で3大会ぶりの王座奪還を狙ったキューバ代表は、日本のプロ野球で活躍しているユリスベル・グラシアル(LF/福岡ソフトバンク)他3選手やカナダやメキシコなどで武者修行中の海外組をほぼ総動員し真剣モードで挑みましたが、結果は最悪の予選リーグ敗退。これまでのキューバ代表史上でも”最低”と言っていい結果となってしまいました。

今大会のフォーマットですが、1次ラウンドとして参加国8チームが各4チーム2組に分かれて総当たり戦を行い、上位2チームが2次ラウンド(1次R未対戦国との総当たり)に進出します。キューバ代表は、コロンビア、カナダ、アルゼンチンと同組となりましたが、初戦のコロンビア戦と第2戦のカナダ戦を続けて落とし、大会早々わずか2試合で王座奪還の権利を失いました。何より痛恨だったのは初戦コロンビア代表戦です。メジャーリーガーどころかマイナーリーガーすらいないコロンビア代表が相手であったのに、1-6と普通に敗北してしまいました。投打両面で力不足な感じは否めませんが、特に投手陣には不安を抱えています。


課題は『先発の質』と『救援の薄さ』です。4試合で先発投手が6回を投げ切ったのは、格下のアルゼンチン戦のみ。

 先発投手が降板した後、日本プロ野球で活躍中のイバン・モイネロ(RP/福岡ソフトバンク)が圧巻のロングリリーフで無失点に抑えますが、その後が踏ん張れません。カナダ戦とドミニカ共和国戦では、同じ日本組のライデル・マルティネス(RP/中日)がモイネロの後を継ぎ登板しますが、モイネロとは対照的に回跨ぎの起用に踏ん張りが効きません。キューバ代表のレイ・ビセンテ監督の気持ちを推察するに、本来ならばR・マルティネス投手は1回で交代したい所だったでしょうが、他の投手に信頼が置ききれなかったというのはあると思います。先発が早々に降板し、層の薄い救援陣をカバーしようと日本組に負担が集中。結果、1勝3敗という結末になったのだろうと思います。


キューバ代表の立ち位置(最新版)

 パンアメリカン大会の前の強化試合の時点から、キューバ代表は苦しんでいました。キューバ国内組中心で挑んだアメリカ大学生代表戦は1勝4敗で大きく負け越し。また、ニカラグア代表にも3戦して2敗1分の負け越し。悪い流れが止まらない中で、大会本番にも臨み浮上のきっかけがないまま6位で大会を終えています。

 現在のキューバ代表の攻撃力と守備力をざっくりプロットしてみました。(詳しくはこちらを参照。かなり雑な手法ですが、キューバ代表の立ち位置をざっくり知るには十分なグラフかなと思います。)右上に位置するほど投打両方に優れているチームを意味します。見ての通り、なんと日本の大学生代表やアメリカ大学代表よりも総合力で劣るという結果になりました。プレミア12には、メジャーのロースター40枠以外で出来る限りの戦力を集めてくるでしょう。中南米の代表チームも、今回のパンアメリカン大会のメンバーよりも強力な面子になってくることは間違いありません。


ニカラグアとコロンビアが生き残り

 そして東京オリンピックに向けたサバイバルレースには、3位のニカラグアと4位のコロンビアが生き残りました。 “WBC未出場国最強”と目されるアルゼンチン代表は、残念ながらここで脱落となりました。昨年のパンアメリカン大会の予選の際にも、ニカラグアとコロンビアの両国が東京オリンピック・アメリカ予選への出場を予想しましたが、両国ともある程度実力を示せたのではないかと思います。アメリカ予選にはプレミア12に出場する野球の強豪国が出場しますが、それらの国(ただし、圧倒的選手層のアメリカは例外)とニカラグアやコロンビアはそこまで大きな差はないかなと思います。

 また、優勝したプエルトリコ代表は中米選手権に続いてのタイトル獲得。中米選手権のメンバーも半分くらい残っていますが、いずれにしてもほぼ国内リーグ所属の現役マイナーリーガーもいない編成でした。それでこの結果ですから、少し不気味に感じます。もしかしたら、プレミア12でもダークホースかもしれません。日本代表と同じ組ですので、ちょっと警戒が必要かもしれません。


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超打高投低で知られる台湾プロ野球リーグ。投手の成績ランキングでは外国人投手が上位を占めており、国際大会でも台湾代表チームは投手陣のタレント不足が何年も課題として残っています。その台湾代表にとって直近の目標は、東京オリンピックの出場権がかかった第2回『プレミア12』。そこで韓国やオーストラリアより上の順位で終わることが出来れば東京オリンピックに出場できます。


オールスター戦を代表強化試合に変更

 今月7/29,7/30、台湾プロ野球CPBLのオールスター戦フォーマットを変更し、CPBLオールスターメンバーvs台湾代表の強化試合として2試合実施しました。CPBLオールスターには、潘威倫(統一ライオンズ)や林智勝(中信ブラザーズ)といった過去に台湾代表でも活躍した往年のベテラン選手が顔をそろえました。試合の結果は、台湾代表の1敗1分と少し残念な結果となりましたが、元々がお祭りモードのオールスター戦でしたので、今回は勝敗や試合内容よりも、洪一中監督(Lamigoモンキーズ)がプレミア12に向けてどんな代表メンバーを選出したのかに注目してみたいと思います。


注目は韓国キラー”吳昇峰”

 今回注目したいのは、唯一アマチュアチームから選出された吳昇峰(SP/合作金庫)投手です。当初は、王鏡銘(RP/統一ライオンズ)が選出される予定でしたが、怪我の影響で辞退。代替選手として吳昇峰が選ばれました。この吳昇峰投手は、プレミア12でアジア首位を競うであろう韓国代表への切り札として、プレミア12本大会でも選出される可能性があります。というのも、2018年アジア競技大会でオールプロで構成された韓国代表が金メダルを獲得したのですが、韓国代表は初戦で社会人選手で編成され台湾代表チームに、まさかの敗戦を喫します。最終的に金メダルは獲得したものの格下と思われていた台湾代表に、元メジャーリーガーまでも含まれていた韓国代表が負けたショックは大きく、当時韓国代表の監督を務めていたソン・ドンヨル監督(元中日)が辞任に追い込まれるキッカケとなりました。その試合で登板していた1人が、この吳昇峰投手です。サイドスローの変則投手で、そこまで球速が速い訳ではないのですが、低めに集める投球に韓国打線は沈黙しました。韓国代表からすれば、まさに悪夢の試合です。直近では、今月7月にキューバ国内組代表をボコボコにしたアメリカ大学生代表チームを相手に、5回無失点に抑えています。


台湾プロ野球での成績を日本プロ野球レベルに変換してみた

 吳昇峰以外の選手は、全員台湾プロ野球CPBLでプレイしています。冒頭で記載した通り、たCPBLは”超打高投低”のリーグです。いくら台湾で3割を超える打率をマークしていても、日本など海外のリーグではどれだけ打てるか未知数です。その証拠に、台湾で4割もの打率をマークし、今季から北海道日本ハムファイターズに移籍した王柏融(LF/北海道日本ハムファイターズ)が今日現在のところ、打率.281、OPS.705と凡庸な成績に落ち着いています。そこで、過去日本プロ野球NPBと台湾プロ野球CPBLの両リーグでプレイした経験のある選手のデータを集め、CPBLの成績が日本ではどのくらい悪化するのか平均値を集計しました。もちろん、成績の良し悪しにはかなりバラつきがありますので、参考として見て頂ければと思います。それでは、早速結果を見てみましょう。


 まず打者です。打撃成績はご存知OPS(On-base plus slugging)を見ていきましょう。OPSは、出塁率と長打率を足したシンプルな指標です。OPSは8割を超えれば、かなり優秀な方です。更に今回は、台湾代表の予想OPSに加えて、ポジション別のNPB平均OPSも記載してみました。

 結果,台湾打線のOPSは、ほぼNPBの平均レベル、あるいは若干劣るという評価になりました。平均OPSよりも突出しているのは、代表常連で攻撃型のキャッチャーだる林泓育(C/Lamigoモンキーズ)が唯一でした。ただ、NPB1軍クラスの打線ですので、決して油断できる相手ではありません。本大会ではここに、NPBで活躍する王柏融や陽岱鋼(OF/読売ジャイアンツ)が加わってくるのではないかと予想されます。


投手は人材不足・・・

 問題はやはり投手です。投手成績は、奪三振、与四球、被本塁打など、守備が影響しない指標から算出する疑似防御率『FIP(Fielding Independent Pitching)』を見ています。(因みに、セイバーメトリクスに詳しい人向けに補足しますが、今回のFIPは失点率ではなく、防御率と一緒になるよう定数を設定しています。)

 ご覧の通り、どの投手もNPBの平均防御率を上回っています。正直、このレベルの投手成績ですと、侍ジャパンや海外の外国人の打線を相手にするのは、かなり厳しい展開が予想されます。やはり、才能のある良い投手はCPBLを経ることなく、若い段階から日本球界やアメリカMLBに渡ってしまうので、CPBL所属選手だけで強豪国に伍して戦うのは難しいようです。

 因みに、今回のCPBL組の台湾代表チームで、今季プロ野球のペナントレースを競った場合の戦績をシミュレーションをしてみたところ、得点426/失点471(7/28時点での想定)勝率46.1%という結果になりました。これは順位にすると、5~6位に相当します。

 また、NPB所属の台湾人選手も、今季は苦戦している投手が多いようです。頼みは、千葉ロッテで活躍しているチェン・グァンユウ(陳冠宇)で、防御率は2.40とまずまずの成績をマークしています。ただ、そうなると先発投手はサウスポーが多く、オーソドックス型の先発投手をどうするのか気になります。


アメリカにもいるピッチャーを呼べるか?

 日本だけでなく、アメリカにも台湾人選手が切磋琢磨しています。

少ない試合数ながらも、メジャーの舞台も経験しているメンバーが揃っていますので、NPB組に加え彼らが代表チームに合流すれば、強豪国相手でも十分勝負が出来るものと思われます。更に、このリストに居ないマイナーの1Aやルーキークラスにも、多くの台湾人選手がいますから、彼らが今季急成長して台湾代表の救世主にまでなる可能性もあります。

台湾代表にとって課題の投手タレント不足解消のため、海外組の動向がカギとなりそうです。


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7月12日から14日までの3日間、キューバ代表とニカラグア代表が親善試合を行いました。キューバ代表はキューバリーグ所属選手が中心の国内組編成。対するニカラグア代表も、アメリカ・マイナーリーグ所属選手は今回召集されておらず、ベストメンバーではないものの、それでもWBC予選にも出場したことのあるメンバーも多く含まれています。

結果はニカラグア代表が2勝1分けで勝ち越し。尚、当初は第4戦まで行われるはずでしたが中止となっています。ニカラグア代表がキューバ代表に勝利したのは2001年以来、実に18年振りとのことです。海外での遠征が連戦で続いていた疲労もあるかもしれませんが、それでもキューバ代表がニカラグアの国内リーグ代表に負けたことは想定外な出来事でした。


ランキングを更新~ニカラグアが急浮上~

この結果を受けて早速Splitter Rankingを更新しました。元々、実力国の割にはランキング下位に位置していたニカラグアが急上昇。一方、キューバ代表はトップ10から転落してしまいました。


最後はおまけで、今回のニカラグア代表のメンバー一覧です。

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今月7月に行われるパンアメリカン競技大会。アメリカ大陸版のオリンピックに相当するこの大会で、野球キューバ代表は海外リーグに派遣中の選手を呼び寄せてまで金メダルを狙いにいっています。このパンアメリカン競技大会では、1971年から2007年リオデジャネイロ大会までキューバ代表が10連覇を達成するなど圧倒的な成績をマークしていましたが、ここ2大会はカナダ代表が連覇しており、キューバ代表も簡単には勝てない大会になってきました。(因みに、この時のカナダ代表にはアンドリュー・アルバース(SP/現オリックスバッファローズ)など、後に日本でもプレイするカナダ人選手が多くメンバー入りしていました。)


パンアメリカン大会のメンバーから見えてきた顔ぶれ

このパンアメリカン競技大会の後の11月には、東京オリンピックの出場権がかかったプレミア12が控えています。基本的にパンアメリカ競技大会の主なメンバーがプレミア12でも代表入りしてくるだろうと思われます。今現在、様々なメディアからの情報をまとめると、パンアメリカン大会のキューバ代表メンバーは下記のような顔ぶれになってくるだろう見られています。

これまでキューバ代表の主砲をつとめたアルフレッド・デスパイネ(DH/福岡ソフトバンク)は契約の関係で欠場するものの、ユリスベル・グラシアル(LF/福岡ソフトバンク)やイバン・モイネロ(RP/福岡ソフトバンク)、ライデル・マルティネス(RP/中日)など日本のプロ野球でも主力として活躍している選手も含まれています。しかし、選手の多くはキューバ国内リーグ”Serie De Nacional”に所属しているメンバーです。キューバリーグは、打高投低と知られていますので、国内での成績がどんなに高打率だったとしても、海外に出ると全く歯が立たなくなるケースもあり得ます。


キューバ国内組の遠征試合での成績

そのキューバ国内組は、4月から選抜チームを結成して、メキシコやカナダ,アメリカなど海外で様々なチームと遠征試合を繰り返してきました。そこで、キューバ代表国内組の実力を見極めるため、キューバリーグではなくCan-Amリーグやアメリカ大学代表チームとの対戦試合での成績から、注意すべき選手はだれか見ていきたいと思います。また、海外組に関しては、所属先チームでの成績をそのまま掲載しています。

まず、投手から見ていきますと、先発のフレディ・アルバレス(SP/ビジャ・クララ)が防御率2.16と安定した成績をマークしています。速球はそこまで速くないものの、大崩れしないのが持ち味。後ろに繋げれば、モイネロやR・マルティネスといったプロ野球組のリリーバ―が控えているので、そこまでどうするかが鍵となりそう。

次に打者です。国内組ではキューバ選抜チームの主軸だったヨルダニス・サモン(1B/インドゥストゥリアレス)とラウル・ゴンザレス(3B/シエゴ・デ・アビラ)が、海外チーム相手に打率3割超えをマークしています。海外組では、メキシカンリーグでプレイしているロエル・サントス(CF/タバスコ、元千葉ロッテ)が好調をキープしています。また、スタイラー・ヘルナンデス(RF/ケベック・キャピタルズ)も、OPS.923と海外選手相手でも好成績を続けています。

一方で、今回キューバ国内で物議を呼んだのが、”キューバの至宝”ことフレディ・セペダ(DH/サンクティ・スピリトゥス、元読売)の選外です。しかし、セペダ選手の海外遠征シリーズでの成績は、打率.162、OPS .532 と芳しいものではありませんでしたので、正直年齢のことも考えるとメンバーから外れても致し方ないのかな、といった感じです。


亡命により依然として戦力ダウンが懸念されますが、個々で見ていくとまだまだ侮れない選手はいそうです。


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オールスター戦も終わり今シーズンも後半戦に入ります。今シーズンオフには第2回Premier12が控えていますが、プロ野球所属日本人選手がどれだけ活躍しているのか、ポジション別ランキングを見ていきましょう。今回もセイバーメトリクスの指標『WAR』を使って見ていきます。(前回記事はこちら


野手は西武勢が躍進

※WARはDelta HP(https://1point02.jp/op/index.aspx)より。


前回、交流戦前時点のランキングでは、秋山翔吾(CF)、山川穂高(1B)、森友哉(C)の3選手がランキングした埼玉西武ライオンズですが、今回は更に外崎修汰(2B/UT)、中村剛也(3B)を加えた、合計5選手がランクインしました。


先発投手トップ3は千賀、山口、山本

今回は投手もランキングにしてみました。ここまで順調に来ているのが千賀滉大(SP/福岡SB)、山口俊(SP/読売)、山本由伸(SP/オリックス)の3人です。菅野智之(SP/読売)のパフォーマンスがイマイチ上がらない状況ですが、相変わらず日本の先発投手は層が厚く、グラフの6選手以外にも各球団のエースが代表入りすると思われます。有原航平(SP/北海道日本ハム)、大瀬良大地(SP/広島)、柳裕也(SP/中日)といった面々が控えています。リリーフ陣では松井裕樹(CL/東北楽天)が好調。もう1人の侍ジャパンのクローザー山崎康晃(CL/横浜DeNA)は、16セーブ/防御率1.20 と安定した成績をマークしていますが、 奪三振率(K%)が8.2%悪化しておりWARで見ると、評価が低めになっています。


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6月、歴史的なFA市場の停滞の影響で、シーズンが始まってからも浪人していたクレイグ・キンブレル(RP/シカゴカブス)やダラス・カイケル(SP/アトランタ・ブレーブス)がようやくメジャー契約を結びました。近年セイバーメトリクス研究の中で、選手の成績が年齢と共にどう変化していくかも分かってしまってきており、その事実が30歳を超えたベテラン中堅選手の立場をますます追い込んでいっています。

30歳前後と言えば、ちょうど日本のプロ野球に移籍してくる新外国人選手の相場です。メジャー球団から“見切り”をつけられる年齢ですが、そこにマイナーリーグより遥かに待遇の良いオファーが日本の球団から来る訳ですから、オファーを受けられる選手はラッキーですし賢明な判断だと思います。先月、メジャーで7年98試合の登板経験のあるルビー・デラロサ(RP/元アリゾナダイヤモンドバックス)が読売ジャイアンツと契約を結びました。また、WBCベネズエラ代表でバリバリのメジャーリーガーであるヤンガービス・ソラーテ(UT/元サンディエゴ・パドレス)も阪神タイガースと大筋合意という報道がされています。他にもシーズン前に読売と契約したクリスチャン・ビヤヌエバ(3B/読売ジャイアンツ)など、メジャーのFA市場の停滞によって日本に来る外国人選手の格が少し上がってきています。


止まらないキューバの亡命者

逆に、MLBでは“若さ”の価値が高まっています。年俸調停権を得る前の若手メジャーリーガーは、その活躍の割に、圧倒的に年俸を安く済ますことが出来るため重宝されます。また、それは選手や代理人も分かっていますから、彼らにとっての交渉材料にもなる訳です。

パンアメリカン競技大会に向け、カナダ/アメリカの独立リーグ『Can-Am League』で強化試合を行っていたキューバ代表から、亡命者が続きました。メジャーリーガーの兄を持つヨエルキス・セスペデス(OF/グランマ)、代表候補のオルランド・アセベイ(3B/サンクティ・スピリトゥス)、WBCキューバ代表の父を持つノルヘ・カルロス・ベラJr.(SP/サンティアーゴ・デ・クーバ)と、東京オリンピックでも戦力となりそうなタレントが、メジャーリーグでの契約を求めて母国を去りました。

そのキューバ代表は、パンアメリカン競技大会へ向けてメキシカンリーグ、Can-Am League、アメリカ大学選抜と強化試合を重ねています。


結果は14勝11敗と勝ち越していますが、その内5勝は6月上旬にメキシコのチームとの対戦で得た勝利でした。ショッキングだったのはアメリカの大学選抜との対戦で1勝5敗。その1勝も1点差の辛勝で、学生相手に完全に力の差を見せつけられる結果となりました。

パンアメリカ競技大会には、日本のプロ球団に所属するユリスベル・グラシアル(OF/福岡ソフトバンク)や、イバン・モイネロ(RP/福岡ソフトバンク)など主力の海外組召集を試みているようですが、代表チームのベースは今回の遠征メンバーですので、選手層の薄さを感じずにはいられません。尚、キューバ代表はこの後、ニカラグア代表とも強化試合を行います。相手としては格下と見られていますが、果たしてきちんと勝利することができるか・・・?

韓国と台湾の上昇株

所変わって、アジアの2強の動向です。11月開催予定のプレミア12で、日本に立ちはだかるだろう韓国と台湾の注目選手です。

まずは韓国の姜白虎(カン・ベクホ/OF/KTウィズ)。今年20歳ながら、韓国プロ野球で打率3位(7月12日時点)に位置している新人選手です。この選手は、2017年のU18野球W杯で、清宮幸太郎(1B/北海道日本ハム)、小園海斗(SS/広島)、藤原恭大(CF/千葉ロッテ)といった豪華メンバーの日本代表を破った韓国代表の主軸を務めた選手です。U18韓国代表では捕手も務めた経験があるなどユーティリティープレイヤーとしても国際試合では重宝される存在、恐らくプレミア12でも韓国代表に入ってくるだろうと思われます。日本代表にとって要警戒の選手です。

一方、台湾での上昇株は朱育賢(ジュウ・ユィシェン/1B/Lamigo)です。身長188cm/体重100kgの恵まれた体格で、今季台湾プロ野球CPBLでは前半戦での本塁打新記録となる22本塁打を放っており、好調を維持しています。所属チームのLamigoモンキーズは、来季以降球団を維持することが困難なことから身売りする方針を発表し、暗い話題も出てしまいましたが、そんな中でLamigo球団自体は朱育賢の活躍もあり、前季優勝を飾ることができました。Lamigoモンキーズを率いる洪一中監督が、プレミア12で台湾代表を率いることが決まっており、朱育賢選手の代表入りの可能性も高いと考えられます。プレミア121次リーグで台湾代表と対戦する侍ジャパンにとっては要注意人物の一人です。


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久々の投稿は新企画です。

世界の野球プロリーグと言えば、トップがアメリカのメジャーリーグ(MLB)で、続いて日本のプロ野球(NPB)が世界で2番にレベルが高いと言われています。ただ、アメリカや日本以外にもサマーシーズンのプロ野球は存在していて、韓国野球委員会(KBO)、台湾の中華職業棒球大聯盟(CPBL)、メキシコのリーガ・メヒカーナ・デ・ベイスボル(LMB)などがあります。これらのプロ野球リーグは、日本のプロ野球球団にとって米マイナーリーグ以外の外国人選手の大事な供給源となっています。そこで今回は韓国、台湾、メキシコのプロ野球リーグに加え、キューバ国内リーグ セリエ・ナシオナル・デ・ベイスボル(以下、Serie)を加えた中堅4大リーグ所属の選手を、当サイト独自の基準でランキングしてみたいと思います。


プレイヤーランキング選考基準

今回はバッターに限定してランキングを作成します。理由としては、4つのリーグが全て極端な”打高投低”リーグになっており、どちらかというと打者の方が魅力的な選手が多いため、打者からランキングを作成することにしました。(まぁ正直言うと投手はまだ作成中なんですけどね…。)

ランキングを作る上で一番の課題は、各国のリーグのレベルの違いです。同じ打率3割5分でも、韓国KBOのそれとメキシコLMBのそれをどう評価したら良いか比較が困難です。そこで今回は、各リーグでの成績を日本のプロ野球ベースに変換することにしました。具体的にどうするかと言うと、まずはこれら4つのリーグからNPBに移籍してきた助っ人外国人選手たちの成績を集めます。そして、それぞれNPBに移籍してくる前の成績と後の成績を比較します。それぞれ移籍前後の平均的なパフォーマンスの変化量をデータ化し、それを各国の現役選手の成績に乗じて、日本だったらどのくらいの成績に該当するか算出します。(尚、近年韓国や台湾から日本にやってくる選手が非常に少なくなってきたため、データ自体が少ないという問題があります。そこで、この2つのリーグについては、一度マイナー3Aの成績に変換して、その3Aの成績からNPBの成績に変換するという方法を取りました。)尚、メキシコLMBの成績の場合、標高が高くボールが良く飛ぶチームに所属している選手については、実力以上に良い成績がついてしまうため、成績換算をする際にメキシコだけ標高補正も加えています。

また、同じくランキング作成の上での問題は、キューバリーグのデータ収集です。今回のデータ元は、老舗サイトBaseball-Referenceや各国公式サイトから参照したものですが、キューバリーグの成績はBaseball-Refenceの中で、2017-18シーズンの途中からデータが途切れてしまっておりました。そこは『取れないデータはどうやっても取れない』と諦めまして、可能な限りデータを収集しています。また守備関係のデータはほとんど取れないので、そこも割り切って攻撃系のスタッツだけで評価しています。

また、参照しているのは直近3年間2016~2018年のスタッツだけに限定しています。更に韓国/台湾/メキシコ/キューバの成績だけを参照しています。例えば、昨季韓国からW・ロサリオ選手が日本の阪神タイガースに移籍しあまり活躍できませんでしたが、ロサリオ選手の2018年シーズンの成績は対象外にしています。


各選手の成績を評価するのに『wRAA』と『wSB』と言う2つのセイバーメトリクス系指標を使いました。wRAAは” 同リーグの平均的な打者が同じ打席数立った場合に比べて増やした得点"を意味し、wSBは”平均的な走者と比較して盗塁により何得点相当チームに貢献したか”を表す指標です。計算方法など詳しくはWikipediaなどにもありますので検索してみてください。wRAAやwSBは出場機会にも影響を受けますから、出場試合数の少ない選手だとwRAAは上がりません。今回は各選手の出場試合数は、基本的に各国リーグ成績をそのまま採用することにしましたが、キューバだけ極端にSerieの出場試合数が少ないため、出場試合数を実データの2倍にして比較できるようにしています。


ベストバッターランキング TO15

早速ですがランキングを見ていきましょう。

総括:1位の台湾の王柏融選手。30歳前後のベテラン選手がランキング上位を多く占める中で、王柏融選手の若さは非常に目を引きます。今季から移籍した北海道日本ハムファイターズのフロントが、その若さに注目していたこともなるほど納得できます。

また、全体的には韓国KBOの選手がランキングを占めるようになりました。確かに過去、李承燁(イ・スンヨプ)(1B/元・千葉ロッテ、読売)や、李大浩(イ・デホ)(DH/元オリックス、福岡SB)など、トッププレイヤーは日本でも活躍しましたから、同国KBOのトップ選手の評価が高まるのは理解できます。(W・ロサリオ選手のような例外もいますが…。)ただ、KBOの選手は年俸がそれなりに高いので、わざわざ安定した収入を捨ててまでMLBやNPBに移籍しようという選手は少なくなってきているように感じます。日本の球団からしても割高な韓国人選手を獲るよりも、3Aクラスから選手を獲ってきた方がリスクが少なく安上がりに感じるでしょう。逆に今回メキシコLMBの選手は、標高補正が効いているのかTOP15には入れませんでした。またキューバの選手があまり多くないのは、試合数の少なさはあると思います。


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昨年MLBアトランタブレーブスからドラフト1位指名を受けながら契約合意しなかったカーター・スチュワートJr.が、日本のプロ野球球団 福岡ソフトバンクホークスと契約しました。契約額は6年700万ドル(=約7.7億円)と言われています。


日本に来る外国人選手の分類

ひと昔まで日本のプロ野球球団が獲得する外国人選手は、主にメジャーとマイナー3Aクラスを行き来するような選手がほとんどでしたが、最近は少しずつその様相が変わってきています。まず、広島カープや読売ジャイアンツを中心に”育成”目的で安価な年俸で獲得された中南米系の選手の存在です。高い身体能力を持つ選手が多く、1軍でちょっと活躍してくれればコスパが非常に良いため、この手の選手は増加傾向にあります。

また一方で、メジャー経験の多い選手も増えています。メジャーのFA市場が史上稀に見る停滞が続いていることで大物選手がなかなかメジャー契約を勝ち取ることが出来ずにいます。FAマーケットを冷静に見極めた上で、判断として日本を選ぶケースが始めてきています。今季から読売ジャイアンツに加入したメキシコ出身のクリスチャン・ビヤヌエバ(3B/読売)は、前年の2018年シーズンにメジャーで110試合も出場していましたから、バリバリのメジャーリーガーでした。同じく今季から阪神に加入したジェフリー・マルテ(1B/阪神)も昨季メジャー90試合に出場、マイナーリーグよりもメジャーでの出場試合数が多かった選手です。(外国人ではありませんが、青木宣親(OF/東京ヤクルト)が日本球界に復帰した背景にもFA市場の停滞が少なからず影響したと思われます。)つまり、メジャーと3Aを行き来する選手だけでなく、最近は育成目的の安価な選手と実績のある中堅メジャーリーガーというカテゴリーも出始めており、年俸で見ると上下に幅が出始めてきています。


スチュワートJr.の契約のポイント

そんな中、カーター・スチュワートJrが福岡ソフトバンクホークスと契約した内容は、過去のどのパターンにも当てはまらない異例づくしの契約と言えますが、ポイントは2つだと思います。

・育成目的でありながら”高額”

・6年という”長期”契約

日本では基本的に”実績”が契約年俸のベースとなります。新外国人選手だと日本での実績はありませんが、マイナー3Aやメキシカンリーグ、韓国プロ野球など、”プロ”での実績が評価されます。なので、どれだけポテンシャルがあると言われている若手選手でも、プロでの実績が乏しければ、数億円どころか数千万円の契約さえ結ばれることはありません。福岡ソフトバンクホークスの場合も例外ではなく、”キューバの大谷翔平”と呼ばれるオスカー・コラス(OF/福岡ソフトバンク)というキューバトップクラスのプロスペクトが所属していますが、そのコラス選手でも推定年俸は1,000万円と言われています。一方、スチュワートJrが結んだ契約は、プロでの実績が全く無いにも関わらず、年平均にして117万ドル(=約1億3,000万円)と高額で、ある程度実績のある新外国人選手の年俸と遜色ありません。また、外国人選手の契約の多くは単年契約で、長くても3年契約くらいなものですが、スチュワートJr.の場合は6年という外国人選手としては異例の長さです。

一見するとその年俸額や契約期間は驚くべき数値ですが、これらをよくよく読み解いて行くと、それなりの妥当性が見えてきます。

上のグラフは、今シーズンプロ野球に所属している外国人選手の年俸分布です。下から見ていきますと、”育成”レベルの選手は年俸10万ドル以下の契約を結んでいます。日本人でも新人クラスの選手はだいたいこの辺の年俸になります。スチュワートJrが”新人扱い”されているならば、この程度の年俸になるはずですがそうはなっていないことはスチュワートJr.が戦力として見られていることを意味しています。

次に、一般的に即戦力として見られている外国人選手は、年俸30万ドル以上150万ドル以下が多くを占めます。MLBのメジャー最低保証年俸が約55.5万ドルと言われています。メジャー契約の境目がだいたいここら辺だと考えると、メジャー契約を結べるかどうか微妙な立場の選手にとって、55.5万以上の契約が結べるならば例え舞台がアメリカでなくともかなり魅力的と言えます。つまり、この『55.5万ドル』という額が、1つの分かれ目になっています。(因みに、お隣の韓国のプロ野球で活躍している外国人選手も、年俸はだいたい50~100万ドルの契約を結んでいて、マイナーリーグよりだいぶ良い条件でプレイしています。)

更に、150万ドル以上の年俸を得るには、日本で実績を得る必要があります。例えば、ドリス(RP/阪神)が155万ドル、ボルシンガー(SP/千葉ロッテ)168万ドル、ウィーラー(OF/東北楽天) 182万ドル、・・・と、どの選手も日本で少なくとも1年は実績を残しています。日本での実績がなく150万ドル以上の契約を結んでいるのは、C・ビヤヌエバ(3B/読売)200万ドル、E・ロメロ(SP/中日)250万ドルの2名だけです。


実はお買い得かもしれない6年700万ドル契約

スチュワートJr.はまだ若干19歳。6年契約の内、最初の2年位は投資期間として、費用対効果は考えていないと思います。そうすると、総額700万ドルの契約に対して実質稼働4年とみなすと、1年あたり175万ドル(=700万ドル÷4年)と考えることができます。尚、175万ドルという額でプレイしている外国人選手を挙げると、アルバース(SP/オリックス)182万ドル、ディクソン(SP/オリックス)198万ドル、辺りが該当します。もし、仮にスチュワートJr.が順調に成長して、ダルビッシュや田中将大、前田健太など球界を代表するレベルの選手になるならば、年175万ドルというこの契約は、実はかなりお買い得にも見えます。

更には福岡ソフトバンクホークスでは多くの外国人選手を抱えています。投手で言うと、デニス・サファテ(RP/福岡SB) 年俸5億円、バンデンハーグ(SP/福岡SB)年俸4億円と高額プレイヤーがいますが、この2人は年齢的にベテランの域に達しています。数年後、彼らが球界を去るとなると、その数億円単位の高額年俸の負担も無くなります。福岡ソフトバンクホークスがお金持ち球団であることは間違いありませんが、かといってコストパフォーマンスが悪いという訳でも無いのがこの球団の抜け目の無い所です。

もちろん、スチュワートJrが全く育たず、外れ外国人になってしまった場合、6年契約という長期契約は相当なリスクとなります。ただ一方で、もし単年契約で且つスチュワートがコンスタントに日本で活躍したとすると、その年俸は簡単に175万ドル(約2億円)を超え、最低でも年俸3~5億円位支払わないといけない状況になってしまいます。そう考えると長期契約とは言え、活躍した場合はかなりリーズナブルな契約とも言えます。

スチュワートJrの契約は、結構よく考えられた額に見えます。ただ、その根底にはホークス球団の緻密なスカウティングが合って意思決定に踏み切れたのだと思います。その判断が正しかったのか分かるのは数年後ですが、果たしてどうなるか?要注目です。


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