|WBC予選”沼”から這い上がれるか
第1回大会からずっと本戦シード権を保ち続けてきた中国代表だが、´23年第5回大会でチェコ代表に敗れ、遂にWBC予選に回ることに。WBC予選は、マイナーリーグや独立リーグ所属の選手を多く擁する中南米や欧州の実力国が、限られた本戦出場権を争い凌ぎを削っている場である。予選の組分け次第でもあるが、中国が厳しい予選を勝ち抜き本戦に戻って来るのは至難の業だろう。前回2023年大会では、MLBデベロップメントセンター(以下、MLBDC)出身者を中心に若手が多かったことは好材料で、今後の伸びしろに期待したい所だが、ライバルも日進月歩で成長している。メジャー傘下やNPB所属の中国系の選手も積極的にリクルーティングし、ライバルとの戦力差を少しでも埋めていきたい。
※表中のポジションは本サイト独自の判断。
張彦倫/アラン・カーター(SP/レイクカントリ―・ドックハウンズ(米American Association))Baseball-Reference Fangraphs Baseball-Savant
シンガポール出身。アメリカ国籍だが母親が中国出身のため、中国代表の資格を有する。速球の球速は平均93マイル(=150km/h)。ストレートの球速が85-88マイル程度の中国代表投手陣の中では飛び道具的な存在。'26WBCでは、勝負のチェコ戦でロングリリーフするも、後半疲れで4シームの球速が落ちた所を四球と単打で失点。真っすぐに強いチェコ打線にはもう少し変化球を多く投げた方が良かったか?
王翔/ワン・シャン(SP/上海レッドイーグルス)
'23WBCでは日本戦に先発も6つの四球を与え自滅。韓国戦にもリリーフ登板したが6被安打でノックアウト。85マイル(=137km/h)の4シームが全体の7割、83マイル(=134km/h)のシンカーが2割と、全体の9割が速球系なので単調で読まれやすいか?
趙富陽/ジャオ・フーヤン(SP/江蘇ヒュージホース)
’23WBCではチェコ戦に先発。1/3回2失点で早めのノックアウト。以降の出番はなかった。Baseball Savant上では、メインで投げているボールがチェンジアップに分類されているが、恐らくこれは遅い4シームをチェンジアップとして分類されてしまっている模様。
斉鑫/チー・シン(SP/北京タイガース)Baseball-Reference
’23WBCではオーストラリア戦に先発し、2回1/3を5失点。元はリリーバーだが、WBCでは、85マイル(=137キロ)の4シームにチェンジアップとカーブを織り交ぜた投球で、61球まで持ちこたえた。
朱権/ジュ・グォン(RP/KTウィズ(KOR))Baseball-Reference Fangraphs
’17,'23WBC中国代表。韓国プロ野球KTウィズのリリーバー。吉林省生まれの朝鮮族のため、中国代表資格を有する。'23WBCでは天王山のチェコ戦最終9回表1点リードの場面で登板。勝利目前まで来ていた所、初球に投じたチェンジアップが甘く入り逆転のスリーランHRを被弾。チェンジアップを多投する軟投派。年々成績が下降傾向なのが懸念点。
宮海成/ゴン・ハイチェン(RP/上海レッドイーグルス)Baseball-Reference
MLBDC出身。’17、'23WBC中国代表。2018~2019の2年間ピッツバーグ傘下でプレイした。Baseball Savant上ではシンカーがチェンジアップに分類されてしまっている様子。’23WBCではチェコ戦のみに登板。後続が逆転スリーランを打たれ負け投手に。
王唯一/ワン・ウェイイー(P/江蘇ヒュージホース)
'23年WBCでは日本戦の2番手として登板し1回2/3を2失点。3日後の豪州戦でも登板。本塁打を含む1/3回4安打と滅多打ちに遭った。中国代表の中で4シームの回転数がもっとも低い。
伊健/イー・ジァン(RP/広東レオパーズ)
MLBDC出身。2019年ミルウォーキー傘下でプレイ。'23WBCでは日本戦と豪州戦に登板。日本戦で4失点、豪州戦でも1失点で、防御率はチームワーストの135.00。
孫海竜/スン・ハイロン(RP/上海レッドイーグルス)
’23WBCでは日本戦と韓国戦に登板。日本戦は2回を無失点と好投したが、韓国戦では本塁打を浴びるまど1回4失点と打ち込まれた。ストレートは82マイル(=132キロ)程しかないが、チェンジアップやカーブを多投し緩急を使い分ける。
鄭超群/チョン・チャオチュイン(RP/江蘇ヒュージホース)Baseball-Reference
’17,’23WBC中国代表。2015アジア選手権、2018アジア大会など中国代表歴多数。'23WBCではチェコ戦と韓国戦に登板。チェコ戦では先発がノックアウトされた後のリリーフで2回1/3を1失点で踏みとどまり、韓国戦でも2番手したが2/3回を4失点と再現できず。
林強/リン・チャン(RP/河南エレファンツ )
※ Fastball VelocityとFastball Spinが上位5%となっていますが、こちらのデータはエラーでした。この投手はストレートを投げていません。
'23WBCではチェコ戦のみに登板。2/3回を無失点に抑えた。
王宇宸/ワン・ユーチェン(/上海レッドイーグルス)Baseball-Reference
'23WBCでは日本戦とオーストラリア戦に登板し、四球を与えながらも計2回を無失点で切り抜けた。三振が獲れるタイプではないが球種が多い。2022年にアメリカの大学でのプレイ経験が少しあるが、そこでもイニングを上回る四球を出してしまっている。
張昊/ジャン・ハオ(RP/四川ドラゴンズ)Baseball-Reference
'23WBCでは韓国戦と豪州戦に登板。カッターが投球の中心で39投球中ハードヒットは無かったが、4与四球で自責点4。
黎凝佶/リ・ニンジー(P/江蘇ヒュージホース)
'23年CBL奪三振、防御率の2冠。'23アジア競技大会中国代表メンバー。
屠佳倫/トゥ・ジャルン(RP/上海レッドイーグルス)Baseball-Reference
’23年CBL決勝シリーズMVP。2018-19 American Association参加メンバー。'23アジア大会中国代表の予備メンバー。
崔恩庭/Cui Enting(P/天津ライオンズ)
'23アジア大会中国代表メンバー。
索旭迪/Suo Xudi (P/北京タイガース)
'23アジア競技大会中国代表メンバー。
華旦才讓/Huadan Cairang(P/広東レオパーズ)Baseball-Reference
チベット族で、MLBDCの出身。Roger Rangの名で知られる。豪州ABLへの派遣経験もある。
'23アジア競技大会中国代表メンバー。
甘泉/ガン・チュエン(SP/四川ドラゴンズ) Baseball-Reference
'17WBC中国代表。その後American Association派遣チームにも参加。'17WBCでは日本戦に先発も'23年大会には選出されなかった。'23アジア大会中国代表メンバー。
鈴木博志(SP/オリックス・バファローズ) Baseball-Reference
母が大連出身のため、WBCであれば中国代表入りの資格あり。社会人時代に日本代表としてアジア野球選手権に出場。2022年からは先発に転向している。2023年WBCで中国代表から打診があったかは不明だが、参加してくれれば勝負所での起用が濃厚。
李寧/リ・ニン(C・2B/上海レッドイーグルス)Baseball-Reference
’23WBCでは打率.375 とチームで最も高い打率を残す。韓国戦ではセカンドとして途中出場するなどユーティリティ性も有する。'23年アジア大会メンバー。
欒臣臣/ルアン・チェンチェン(C/江蘇ヒュージホース)Baseball-Reference
'23WBCではチェコ戦、韓国戦に出場。途中交代もあり打撃機会も少なく、ノーヒットで大会を終えた。’23WBCでは李寧と捕手2名体制だったが明暗分かれる結果に。前回'18年大会に続き、'23年アジア大会メンバー入り。
陳晨(小)/チェン・チェン(小)(C/江蘇ヒュージホース)
内野の陳晨と区別するため、陳晨"(小)”と区別されている。’23WBCでは韓国戦の代打1打席のみ。
李一凡/リ・イーファン(C/北京タイガース)
’23WBCでの出場は韓国戦の途中出場のみ。
王帅/Wang Shuai(C/天津ライオンズ)Baseball-Reference
'23年アジア大会メンバー。2019年U-18W杯にも出場した若手捕手。同大会の韓国戦では5つの盗塁を決められてしまった。
曹傑/ツァオ・ジエ(1B/江蘇ヒュージホース)Baseball-Reference
'23WBCではファーストのレギュラーとして全試合出場。2塁打も2本放ち、打率.273とチームの中ではまずまずの活躍。速球系をヒットにしており、三振も喫しておらず、Whiff%、HH率などは優秀な部類だった。
王斌/ワン・ビン(IF/上海レッドイーグルス)
2023年CBL打点王。'23年アジア大会には予備ロースターとして選出。
羅錦駿/ルオ・ジンジュン(2B・3B/広東レオパーズ)Baseball-Reference
2018-19年の2シーズンにアメリカ独立リーグのAmerican Associationを経験。前回'18年に続き'23年アジア大会にもメンバー入り。’23WBCではセカンドのレギュラーとしてプレイした。次回大会では31歳。有望株で本職ショートだがセカンドに回ってきそうな張文韜と、セカンドの座を争うことになりそう。
内藤鵬(3B/オリックス・バファロース)Baseball-Reference
2022年ドラフトでオリックスから2位指名を受けた有望株。日本航空石川高校時代には通算本塁打53本、スウィングスピード160キロを記録している。両親とも中国出身。中国としては何としてもリクルートしたい存在。
陳晨(大)/チェン・チェン(大)(3B/江蘇ヒュージホース)
捕手の陳晨と同姓同名のため、”大”をつけて区別している。'23年WBCではサードのレギュラーとして起用された。'23年アジア大会メンバー。
楊晋/ヤン・ジン(SS/上海レッドイーグルス)Baseball-Reference
2018-19年の2シーズンにアメリカ独立リーグのAmerican Associationを経験。'23WBCではショートのレギュラーとして出場。大谷翔平からはヒットを打ち、大会全体では打率.308/OPS.745と2番打者として十分な活躍を見せた。'23年アジア大会メンバー。
陸昀/ルー・ユン(SS・2B/北京タイガース)
小学生の頃に来日。琴平高、四日市大でプレー。'23年アジア大会メンバー。'23年WBCでは代表に選出されたもののプレイ機会がなく大会を終えた。
張文韜/Zhang Wentao(SS/上海レッドイーグルス)
'23年アジア大会メンバー。2019年U-18W杯にも出場。同大会ではヒットはほとんど打てなかったが、出塁率は.485とリードオフマンとしての役割は果たした。楊晋がショートのレギュラーであればセカンド起用されそう。
梁栄基/リャン・ロンジー(LF/MLBDC)
'23年WBCでは韓国戦に代打で出場。三振に終わった。
真砂勇介(CF/日立製作所(社会人野球))
2022年まで福岡ソフトバンクホークスでプレイ。自身は日本国籍で中国語は話せないが、実父が中国国籍を保有しており、WBC中国代表資格を持つ。
周奕/ジョウ・イー(CF/広東レオパーズ)
’23CBL新人王。’23年アジア大会には予備メンバーで登録。
梁培/リャン・ペイ(RF・2B/北京タイガース)Baseball-Reference
東海大菅生高校卒。’23WBCではライトのレギュラーとして出場。日本戦では、戸郷翔征の92.2マイルの4シームをスタンドに放り込む活躍を見せた。'23年アジア大会メンバー。
韓嘯/ハン・シャオ(OF/上海レッドイーグルス)Baseball-Reference
茨城の鹿島学園でプレイ。2018-19 American Association参加メンバー。'23WBCメンバーだが試合には出場しなかった。憧れの選手はイチロー。
李雨洋/Li Yuyang(OF/四川ドラゴンズ)
'23年アジア大会メンバー。2019年U-18W杯にも出場。アジア大会は外野手登録だが、U-18では全試合ファーストでレギュラー起用。同大会での打率.222は、チームで上から3番目。
寇永康/コウ・ヨンカン(LF・1B・3B/上海レッドイーグルス)Baseball-Reference
2019年にミルウォーキー傘下で1シーズンプレイ。MLBDC出身。'23WBCでは内野手登録だったが、レフトのレギュラーとして出場した(なので一応ユーティリティ扱い)。'23年アジア大会メンバー。2019年U-18W杯にも出場。
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