『台湾の4割打者』王柏融は日本で何割打てるのか?

王柏融とは

台湾プロ野球Lamigoモンキーズ所属の若手外野手です。2017年2月28日の侍ジャパンWBC壮行試合で、楽天のエース則本投手からホームランを打ち一気にNPB球団からの注目を集めました。台湾プロ野球(以下、CPBL)では2016年,2017年と2年連続で打率4割台を記録し、さらに昨年はCPBL初の三冠王を獲得しました。

将来有望な台湾人選手は、CPBLを経由せず直接日本プロ野球NPBや米メジャーリーグ傘下への入団することが普通になりました。逆にここ何年かは、CPBL所属選手(特に打者)が、NPB入りすることはほとんど無く、王選手が日本で注目を集めていることは珍しい出来事と言えます。

日本―台湾間のレベル差

CPBLは打高投低のリーグとして知られています。昨年のNPB平均打率が.249である一方、CPBLのリーグ平均打率が.288とかなり打撃優位な状態になっています。原因は投手の人材不足です。投手成績ランキング上位は助っ人外国人投手によって占められていますが、これらは若手有望株の海外流出も影響していると考えられます。打者優位の台湾では打率4割台をマークした王選手ですが、レベルの高い日本人投手相手では、果たしてどこまで打てるのか、検証してみました。


CPBL→NPB移籍のデータは無いので・・・

ここ数年CPBLからNPBに移籍したケースがほぼ無いので、直接的に使えるデータがありません。ただし、CPBLにはメジャー/マイナーリーグから戻った“アメリカ帰り”の選手は何人かいます。一方で、NPBには毎年何人ものマイナーリーガー(特に3Aクラス)がNPB入りしていて、3AからNPBに移籍した場合の成績データはたくさんあります。そこで“アメリカ帰り”の台湾人選手のマイナー時代の成績から、彼らがNPBでのプレイした場合の推定成績を算出し、それと昨年のCPBLでの成績を比較します。それにより、『CPBLの選手がNPBに移籍した場合の変化率』を王柏融選手に当てはめて、王選手のNPB成績を推定していきます。


CPBLからNPBに移籍すると打率は約3割減

グラフ上の“Step3”のアメリカ帰りの選手のCPBL成績(実績)、NPB成績(推定)を比較してみます。

打率はCPBLの成績から約3割減少しています。3Aクラスの外国人選手がNPBに来ると約2割弱打率が低下するという実績があるのですが、CPBLの選手は更に1割程度減少するようです。一方で、出塁率の減少は▲9%に留まっています。これは日本人投手が一発のある外国人打者のパワーを警戒し、慎重な投球によって四球を生み出しているためだと思われます。三振の多さを示すK%は+27%増となっていて、日本人投手の奪三振能力の高さが見て取れます。


王柏融の日本での打率(推定)は.286

これらの結果を王選手のCPBLでの成績(実績)に当てはめてみます。

打率は4割どころか3割台を割り込んで.286という結果になりました。ただ打率よりも特徴的なのは出塁率と打率の差(つまり、四死球の多さ)です。打率と比べて出塁率の低下が少ないということは、その分フォアボールによる出塁の割合を増やしているということを意味しています。この成績をマークするには、安打数と同じ位の四死球を選ぶ必要がありますが、そういう選手はほとんどいません。強いていうと、昨季規定打席には届かなかったものの、打率4割を記録した近藤健介(日本ハム/外野手)が近いタイプといえます。近藤選手よりも打率は低いけど、長打や四死球の割合が多いイメージでしょうか。

CPBLとNPBでは配球傾向の違いがありますから、相手投手が警戒するとは言え、そう簡単にフォアボールは取れないかもしれません。しかし、グリエル(元キューバ代表・亡命済)やデスパイネ(現キューバ代表)以来久々の海外リーグ出身のビッグネーム獲得に向け期待は高まりますね。

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