久々の記事ですが、いきなりデリケートなテーマを扱うことにしました。欧米ではこの手の話は人種差別につながるということで嫌厭されがちですが、実際に存在する問題です。スポーツの国際試合や代表戦を行うと、日本人選手と外国人選手の体格差が取り上げられることが多々あります。野球の場合、メジャーリーグに挑戦した日本人選手が、アメリカ人や中南米の選手の圧倒的なパワーの前に苦戦するシーンを目にします。
骨格や骨盤の傾斜とパワーの関係
黒人や白人と日本人では骨格が違います。例えば、黒人や白人は日本人より骨盤が前傾していることで、バッティングの際に下半身のパワーを上手く使うことができます。細かい説明は省きますが、ハムストリングや腸腰筋などの筋肉が効率的に使えます。そもそも骨格的の大きさや形状的に、体の後ろ側(背中やハムストリングなど)の筋肉が付きやすい構造となっていて、これら骨格の違いがパワーの差を生んでいる訳です。日本人の場合、骨盤が後傾していることが多く、前面の筋肉の方は発達していますが後ろ側の筋肉は黒人や白人の方に比べ劣る傾向があります。メジャーでは基本のツーシーム系速球。外国人選手は、体重移動に頼ることなく動くボールを引きつけて打つバッティングフォームをしていますが、それを可能にしているのも、骨格や筋肉の違いが成せる技と言えます。日本人含むアジアのモンゴロイド系は、どうしても白人(コーカソイド系)や黒人(ネグロイド系)と比較してパワーの面で不利な傾向がどうしてもあります。
日本と似ているWBCメキシコ代表の特徴
更に言えば、同じラテン系の国の中でも人種構成の違いによって体格差・パワーの差がありそうです。下の表は、今季メジャーリーガーの中でWBCメキシコ代表の資格を持つ主力選手のリストです。
メキシコ人やアメリカ系メキシカンから構成されますが、見ての通り投手が多く、一方で打者は全員アメリカ人です。投手が多く、打者が少ないという傾向は日本メジャーリーガーのそれと似ています。メキシコ代表も、以前はルイス・クルーズ(元ロッテ)、ラミロ・ペーニャ(元広島)など、メキシコ人打者も少しはいましたが、最近は特に少なくなった感じがします。WBCの出場資格がもっとシビアであれば、メキシコ代表の打者はほとんどメキシカンリーグ出身だったでしょう。
中南米諸国の人種構成
メキシコの人種構成は、中南米諸国の中でも黒人,ムラ―ト(黒人/白人の混血)や白人の比率が低く、インディオ(アメリカ先住民)やメスティソ(インディオと白人の混血)の比率が高いのが特徴。インディオはモンゴロイド系で、大きな体格の人は少ない傾向にあります。メジャーでポジションを争う相手は体格の大きなアメリカ人やドミニカ共和国のバッターです。その中に割って入るのは高いハードルのようです。
パワーに勝る相手にどう立ち向かうか
工夫無しに彼らに真っ向勝負しても不利なだけです。メキシコ代表がWBCで結果を出せてない一因もここと関係あるのではないかと考えています。メキシコには高地にある球場が多く、打球がよく飛びます。第4回WBCの1次ラウンドで、メキシコは地元開催のホームアドバンテージがあるはずでしたが、高地にある球場のためホームランの飛び交う乱打戦となり、折角の豪華なメジャー投手陣が活きませんでした。パワーのあるベネズエラやプエルトリコ相手に、結果的に空中戦で挑んだ訳です。
ありきたりですが、対抗手段としては『他と違うこと』をやるしかないのかなと思います。幸いにして日本は長い歴史の中で独自の野球スタイルが確立されています。野球の場合、ラテンアメリカ諸国を中心に多くの国がアメリカの野球の影響をもろに受けています。10代の頃からアメリカのマイナーリーグで育成される訳ですから、スタイルは自然と似てきます。一方で日本国内の野球環境はアメリカとは明らかに異なり、いい意味で異質的です。アメリカでは見かけることの少ない“フォークボール”や“アンダースロー”といった独自の投球スタイルが日本投手陣の武器となっていて、アメリカに渡ったメジャーリーガーもフォーク(≒スプリッター)を軸に活躍するピッチャーが多いです。
ただ、打者に関しては、パワーの不利を補う程の“他との違い”は作り難いようです。野球という競技の特性上、プレイは投手の投球から始まるので、打者は基本的に受動的な立場になります。投じられたボールに対し良い角度でミートし、いかに早く振れるかがポイントな訳です。パワーがあると“早く振る”には有利なことだらけです。そう考えると、日本国内で優秀な成績を残している打者が、国際試合で“他との違う”プレイができるかというと、必ずしもそうとも言い切れない部分があります。ツーシーム系に強い打者、選球眼のある打者、球数を投げさせられる打者、足のある選手、・・・などなど。どのような選手を集めたならば国際試合でも活躍できる打線になるのか?ファンの目線でも考えていかなければならないのかなと思います。少しまとまりのない記事になってしまいましたが以上です。
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