アメリカ代表ベストメンバーがプロ野球に参戦したら?

 第4回WBCで初優勝を果たしたアメリカ代表。メジャートップレベルの選手を集めた強豪チームでしたが、それでもベストメンバーの何人かは参加を辞退しており、優勝したにも関わらずベストメンバーとは見なされていません。そこで今回は本当のWBCアメリカ代表ベストメンバーが、もし日本のプロ野球(以下、NPB)に参加したらどのような成績になるか推定してみました。


MLB→NPBへの成績変換

 さて、アメリカ代表に入るようなバリバリのメジャーリーガーの成績を、どのようにしてNPBでの成績に変換したら良いでしょうか。トップクラスのメジャーリーガーが日本に移籍するケースはほぼありません。日本に来る外国人選手の多くは3Aクラスのマイナーリーガーですので、3Aでの成績をNPBの成績に変換するための過去データは比較的たくさんあります。

 また一方で、メジャーとマイナー3Aクラスの間を昇格/降格する選手は非常に多く、こちらもデータはたくさんあります。そこで、メジャーリーグでの成績を一度マイナー3Aでの成績に変換し、今度はその3Aでの推定成績をNPBでの成績に変換することで、NPBの推定成績を算出します。

※因みに、ご存知の通り助っ人外国人選手の当たり外れを予想するのは非常に難しい(というか不可能)です。3Aの成績が良いからと言って、NPBでの成績が良いとは限りません。そこで今回打撃成績の変換には、比較的参考になりそうな3Aでの三振率(K%)や四球率(BB%)などを使って、NPBでの打率や出塁率などを予想しました。なので、例えばジャンカルロ・スタントン(マイアミ・マーリンズ)のようなトップ選手でも、三振の多い選手の成績はメジャーでの成績より低くなる場合があります。ツッコミどころは他にも色々あります。

1)NPBに来る外国人選手はファースト/サード/レフトといった打撃を期待されるポジションが中心のため、ショート/センター/キャッチャーの選手のデータがありません。

2)メジャーと3Aの間を行き来する選手はメジャー当落線上の選手が多いため、トップクラスの選手が本当に3Aでプレイしたら違う結果になる可能性大です。


アメリカ代表ベストメンバー選考

 今回アメリカ代表のベストメンバー選考基準ですが、ポジション別に『WAR(FanGraphs版)』の高い順に選出しました。(『WAR』はセイバーメトリクスを使った野球選手の総合評価指標で、WARが高いほど勝利への貢献度が高い選手ということになります。)投打の右左や、タイプの違いまでは考慮されていません。

 また、WBCに参加経験のある選手をなるべく優先しました。例えば、ザック・グレインキー投手(アリゾナ・ダイヤモンドバクス)のように、シーズン外や海外での試合には絶対に出ないと公言しているような選手を選んでもしょうがないのかなぁ・・・、と。結果、選ばれたベストメンバーは以下の通りです。


NPB成績への変換結果

 早速ですが、結果を見てみましょう。まずは投手編です。投手は『FIP』を見ていきます。(『FIP』とは被本塁打や四死球,三振などの野手が絡まないプレイから計算される疑似防御率です。投手の純粋な力を表現する比較的簡易なセイバー系指標です。) 

NPB成績への変換結果

 早速ですが、結果を見てみましょう。まずは投手編です。投手は『FIP』を見ていきます。(『FIP』とは被本塁打や四死球,三振などの野手が絡まないプレイから計算される疑似防御率です。投手の純粋な力を表現する比較的簡易なセイバー系指標です。) 

 見ての通り、どの選手もNPB平均FIPを大きく上回る結果が出ました。しかも、FIPが2点前後ですから、対戦をしても3点以上奪える可能性は少ないということになります。このチームに勝つには、味方の投手陣が頑張って、何とかロースコアに持ち込む以外勝機はなさそうです。


 次に打撃編です。打撃は『OPS』を見ていきます。(『OPS』は、出塁率+長打率の合計で、打撃による貢献度を表す指標です。)

 スタメンはOPS.900前後の選手ばかりで、こちらもNPB平均を大きく上回っています。特に、打力のある捕手が少なくなってきたNPBでは、攻撃的なバスター・ポージーの存在によってアメリカ代表は切れ目の無い打線となりそうです。控えも、控えにするには全くもって勿体無い選手ばかりですね。


TEAM USAは何勝するか?

 最後にこのアメリカ代表ベストメンバーが、NPBに1シーズン参加したら何勝するか計算してみました。結果は以下の通り。

 プロ野球過去5シーズンで最も得点を獲ったのが、2017年の広島カープ736得点。アメリカベストメンバーは、それを140点近く上回る結果となりました。また、最も失点が少なかったのが2015年巨人の443失点ですが、それを100点近く抑えた結果となりました。勝率は8割超えで、圧倒的なチーム戦績となりました。

 現実的にはこんな豪華なメンバーが揃う可能性は極めて低いですが、大会を重ねる中でいつかベストに近いメンバーが揃うことを期待したいと思います。


以上、今回も当サイトをご覧いただきありがとうございます。

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