実は22カもの国が目指していた『パンアメリカン競技大会』とは?

 現在アルゼンチンで予選が行われているのパンアメリカン競技大会について調べていましたら、芋づる式に22カ国ものアメリカ大陸の国々が関与していることが分かり、ちょっと記事にしてみました。


 パンアメリカン競技大会は、南北アメリカ大陸の国々が参加する総合競技大会です。アジア大会がアジア版オリンピックと呼ばれるならば、パンアメリカン競技大会は「アメリカ大陸版オリンピック」と言えるでしょう。実は意外なことに、パンアメリカン競技大会よりも地域が限定されている中米カリブ海競技大会の方が歴史的に先輩になります。1924年のパリ五輪でメダルを1つも獲得できなかったメキシコが「このままではあかん!」と同地域の競技レベル向上を目的に開催したのが、中米カリブ海競技大会です。その中でオリンピック競技でもなかったはずの野球は、第1回大会から実に100年近い期間ずっと正式競技であり続けています。その上位大会であるパンアメリカン競技大会は、中米カリブ海競技大会に遅れること25年後に第1回が開催され、今年10月に第19回大会がチリのサンティアゴで開催されます。


'23年チリ大会を目指した22カ国とは?

 サンティアゴ大会の野球競技出場国枠は8カ国。ここ最近の数大会でも、枠数がだいたい7~8カ国でしたから、だいたい例年通りのフォーマットです。この本戦8カ国の枠を争うフォーマットも、前回大会辺りから固定化されつつあり、「開催国枠」「南米選手権優勝国」「中米カリブ海競技大会」「パンアメリカン競技大会 予選」といった枠はお決まりになってきています。これに加えて今大会から、23歳以下で競われた「ジュニア・パンアメリカン競技大会優勝国」が枠として追加されました。現時点でチリ、コロンビア、ブラジルの3カ国が出場権を得ています。

 但し、実はここで終わりではなく、3枠が付与されている中米カリブ海競技大会には同大会の出場をかけた予選がありました。中米カリブ海競技大会は、開催国のエルサルバドルと、シード権のあるWBSCランキング上位4カ国(ドミニカ共和国、ベネズエラ、キューバ、メキシコ)に加え、バハマで開催された「カリビアンカップ」から2カ国(プエルトリコ、キュラソー)、ニカラグアで開催された「中米カリブ海競技大会 予選」から1カ国(ニカラグア)が予選的な立ち位置として組み込まれており、合計8カ国で競われることになっています。


 こんな感じで、最終的にパンアメリカン競技大会本戦につながる大会とその参加国を全て列挙していくと、下の表のように合計22カ国もの代表チームが関わっていることが分かります。

この内、既に敗退が決まっているのが6カ国(バハマ、米領ヴァージン諸島、エクアドル、ボリビア、コスタリカ、グアテマラ)ですので、実はまだまだ結構な数の国がパンアメリカン大会の本戦を争っている、という状況です。

 更によく見てみると、一度敗退してもセカンドチャンスのある国が結構あります。例えば、ドミニカ共和国やベネズエラはジュニア・パンアメリカン大会で枠を逃したものの、中米カリブ海競技大会で出場権を得られるチャンスがあります。そして、チャンスが一番多いのがアルゼンチン。ジュニア・パンアメリカン大会では最下位。南米選手権ではブラジルに敗れ準優勝。最後のチャンスが現在行われている「パンアメリカン競技大会 予選」です。地元開催ですし、まさに3度目の正直目指して頑張ってほしい所です。(因みに、この「パンアメリカン競技大会 予選」ですが、どういった基準で参加国が選ばれているのか最初はよくわからなかったのですが、どうやらパンアメリカン大会本戦と中米カリブ海競技大会に出場しない国の中で、WBSCランキング上位の5カ国が選ばれたっぽいですね。その結果、南米のペルーvs中米のホンジュラスなんて同じアメリカ大陸でもレアな対戦が実現しているようです。)

 逆に強豪国なのにチャンスが1回しかないのがメキシコです。ただ、その1回しかないチャンスを本気で取りに来ているのが分かるのが、先日発表されたメキシコ代表のロースターでしょう。メキシカンリーガー勢揃いです。過去のパンアメリカ大会の参加国のロースターを見ても、国内リーグの選手を中心に、独立リーグ所属や下位カテゴリーのマイナーリーガーを数人加えた編成の代表チームがほとんどでしたので、そんな中でメキシカンリーガーだらけのメキシコ代表は優勝候補筆頭と言っていいでしょう。ドミニカ共和国出身のはずのライネル・ロサリオ(元・広島)まで招集してますから、結構飛び道具的な人選までして勝ちに来ていますね。



参加する選手はどんな感じ?

 パンアメリカ競技大会の参加する選手は、既述の通り基本的には国内リーグの選手が中心です。WBCと違いメジャーリーガー不在なのは言わずもがな、オリンピックやプレミア12のように3A,2Aのマイナーリーガーもほとんど居ない。ですが、国内リーグの選手が多いので、地元リーグの選手同士のぶつかり合いが見所の1つではないかと思います。言わば、各国の国内リーグ同士の対抗戦とみると、WBC辺りとは違った見方が出来るのかな、と。もう少し言い換えると、カリビアンシリーズをもうちょっと代表寄りにした感じでしょうか。中米,南米の中堅国あたりは国内リーグ所属でありながらWBCにも参加する選手が含まれていたりしますので、彼らが優勝候補のメキシカンリーガー代表辺りにどれだけ通用するのか、個人的にはかなり興味があります。


また、もう数日したら「パンアメリカン競技大会 予選」の結果が分かり、「中米カリブ海競技大会」もすぐ行われますので、この大会の結果も振り返っていきたいと思います。


=以上=


 


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