各国トピックスまとめ

6月、歴史的なFA市場の停滞の影響で、シーズンが始まってからも浪人していたクレイグ・キンブレル(RP/シカゴカブス)やダラス・カイケル(SP/アトランタ・ブレーブス)がようやくメジャー契約を結びました。近年セイバーメトリクス研究の中で、選手の成績が年齢と共にどう変化していくかも分かってしまってきており、その事実が30歳を超えたベテラン中堅選手の立場をますます追い込んでいっています。

30歳前後と言えば、ちょうど日本のプロ野球に移籍してくる新外国人選手の相場です。メジャー球団から“見切り”をつけられる年齢ですが、そこにマイナーリーグより遥かに待遇の良いオファーが日本の球団から来る訳ですから、オファーを受けられる選手はラッキーですし賢明な判断だと思います。先月、メジャーで7年98試合の登板経験のあるルビー・デラロサ(RP/元アリゾナダイヤモンドバックス)が読売ジャイアンツと契約を結びました。また、WBCベネズエラ代表でバリバリのメジャーリーガーであるヤンガービス・ソラーテ(UT/元サンディエゴ・パドレス)も阪神タイガースと大筋合意という報道がされています。他にもシーズン前に読売と契約したクリスチャン・ビヤヌエバ(3B/読売ジャイアンツ)など、メジャーのFA市場の停滞によって日本に来る外国人選手の格が少し上がってきています。


止まらないキューバの亡命者

逆に、MLBでは“若さ”の価値が高まっています。年俸調停権を得る前の若手メジャーリーガーは、その活躍の割に、圧倒的に年俸を安く済ますことが出来るため重宝されます。また、それは選手や代理人も分かっていますから、彼らにとっての交渉材料にもなる訳です。

パンアメリカン競技大会に向け、カナダ/アメリカの独立リーグ『Can-Am League』で強化試合を行っていたキューバ代表から、亡命者が続きました。メジャーリーガーの兄を持つヨエルキス・セスペデス(OF/グランマ)、代表候補のオルランド・アセベイ(3B/サンクティ・スピリトゥス)、WBCキューバ代表の父を持つノルヘ・カルロス・ベラJr.(SP/サンティアーゴ・デ・クーバ)と、東京オリンピックでも戦力となりそうなタレントが、メジャーリーグでの契約を求めて母国を去りました。

そのキューバ代表は、パンアメリカン競技大会へ向けてメキシカンリーグ、Can-Am League、アメリカ大学選抜と強化試合を重ねています。


結果は14勝11敗と勝ち越していますが、その内5勝は6月上旬にメキシコのチームとの対戦で得た勝利でした。ショッキングだったのはアメリカの大学選抜との対戦で1勝5敗。その1勝も1点差の辛勝で、学生相手に完全に力の差を見せつけられる結果となりました。

パンアメリカ競技大会には、日本のプロ球団に所属するユリスベル・グラシアル(OF/福岡ソフトバンク)や、イバン・モイネロ(RP/福岡ソフトバンク)など主力の海外組召集を試みているようですが、代表チームのベースは今回の遠征メンバーですので、選手層の薄さを感じずにはいられません。尚、キューバ代表はこの後、ニカラグア代表とも強化試合を行います。相手としては格下と見られていますが、果たしてきちんと勝利することができるか・・・?

韓国と台湾の上昇株

所変わって、アジアの2強の動向です。11月開催予定のプレミア12で、日本に立ちはだかるだろう韓国と台湾の注目選手です。

まずは韓国の姜白虎(カン・ベクホ/OF/KTウィズ)。今年20歳ながら、韓国プロ野球で打率3位(7月12日時点)に位置している新人選手です。この選手は、2017年のU18野球W杯で、清宮幸太郎(1B/北海道日本ハム)、小園海斗(SS/広島)、藤原恭大(CF/千葉ロッテ)といった豪華メンバーの日本代表を破った韓国代表の主軸を務めた選手です。U18韓国代表では捕手も務めた経験があるなどユーティリティープレイヤーとしても国際試合では重宝される存在、恐らくプレミア12でも韓国代表に入ってくるだろうと思われます。日本代表にとって要警戒の選手です。

一方、台湾での上昇株は朱育賢(ジュウ・ユィシェン/1B/Lamigo)です。身長188cm/体重100kgの恵まれた体格で、今季台湾プロ野球CPBLでは前半戦での本塁打新記録となる22本塁打を放っており、好調を維持しています。所属チームのLamigoモンキーズは、来季以降球団を維持することが困難なことから身売りする方針を発表し、暗い話題も出てしまいましたが、そんな中でLamigo球団自体は朱育賢の活躍もあり、前季優勝を飾ることができました。Lamigoモンキーズを率いる洪一中監督が、プレミア12で台湾代表を率いることが決まっており、朱育賢選手の代表入りの可能性も高いと考えられます。プレミア121次リーグで台湾代表と対戦する侍ジャパンにとっては要注意人物の一人です。


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