超打高投低で知られる台湾プロ野球リーグ。投手の成績ランキングでは外国人投手が上位を占めており、国際大会でも台湾代表チームは投手陣のタレント不足が何年も課題として残っています。その台湾代表にとって直近の目標は、東京オリンピックの出場権がかかった第2回『プレミア12』。そこで韓国やオーストラリアより上の順位で終わることが出来れば東京オリンピックに出場できます。
オールスター戦を代表強化試合に変更
今月7/29,7/30、台湾プロ野球CPBLのオールスター戦フォーマットを変更し、CPBLオールスターメンバーvs台湾代表の強化試合として2試合実施しました。CPBLオールスターには、潘威倫(統一ライオンズ)や林智勝(中信ブラザーズ)といった過去に台湾代表でも活躍した往年のベテラン選手が顔をそろえました。試合の結果は、台湾代表の1敗1分と少し残念な結果となりましたが、元々がお祭りモードのオールスター戦でしたので、今回は勝敗や試合内容よりも、洪一中監督(Lamigoモンキーズ)がプレミア12に向けてどんな代表メンバーを選出したのかに注目してみたいと思います。
注目は韓国キラー”吳昇峰”
今回注目したいのは、唯一アマチュアチームから選出された吳昇峰(SP/合作金庫)投手です。当初は、王鏡銘(RP/統一ライオンズ)が選出される予定でしたが、怪我の影響で辞退。代替選手として吳昇峰が選ばれました。この吳昇峰投手は、プレミア12でアジア首位を競うであろう韓国代表への切り札として、プレミア12本大会でも選出される可能性があります。というのも、2018年アジア競技大会でオールプロで構成された韓国代表が金メダルを獲得したのですが、韓国代表は初戦で社会人選手で編成され台湾代表チームに、まさかの敗戦を喫します。最終的に金メダルは獲得したものの格下と思われていた台湾代表に、元メジャーリーガーまでも含まれていた韓国代表が負けたショックは大きく、当時韓国代表の監督を務めていたソン・ドンヨル監督(元中日)が辞任に追い込まれるキッカケとなりました。その試合で登板していた1人が、この吳昇峰投手です。サイドスローの変則投手で、そこまで球速が速い訳ではないのですが、低めに集める投球に韓国打線は沈黙しました。韓国代表からすれば、まさに悪夢の試合です。直近では、今月7月にキューバ国内組代表をボコボコにしたアメリカ大学生代表チームを相手に、5回無失点に抑えています。
台湾プロ野球での成績を日本プロ野球レベルに変換してみた
吳昇峰以外の選手は、全員台湾プロ野球CPBLでプレイしています。冒頭で記載した通り、たCPBLは”超打高投低”のリーグです。いくら台湾で3割を超える打率をマークしていても、日本など海外のリーグではどれだけ打てるか未知数です。その証拠に、台湾で4割もの打率をマークし、今季から北海道日本ハムファイターズに移籍した王柏融(LF/北海道日本ハムファイターズ)が今日現在のところ、打率.281、OPS.705と凡庸な成績に落ち着いています。そこで、過去日本プロ野球NPBと台湾プロ野球CPBLの両リーグでプレイした経験のある選手のデータを集め、CPBLの成績が日本ではどのくらい悪化するのか平均値を集計しました。もちろん、成績の良し悪しにはかなりバラつきがありますので、参考として見て頂ければと思います。それでは、早速結果を見てみましょう。
まず打者です。打撃成績はご存知OPS(On-base plus slugging)を見ていきましょう。OPSは、出塁率と長打率を足したシンプルな指標です。OPSは8割を超えれば、かなり優秀な方です。更に今回は、台湾代表の予想OPSに加えて、ポジション別のNPB平均OPSも記載してみました。
結果,台湾打線のOPSは、ほぼNPBの平均レベル、あるいは若干劣るという評価になりました。平均OPSよりも突出しているのは、代表常連で攻撃型のキャッチャーだる林泓育(C/Lamigoモンキーズ)が唯一でした。ただ、NPB1軍クラスの打線ですので、決して油断できる相手ではありません。本大会ではここに、NPBで活躍する王柏融や陽岱鋼(OF/読売ジャイアンツ)が加わってくるのではないかと予想されます。
投手は人材不足・・・
問題はやはり投手です。投手成績は、奪三振、与四球、被本塁打など、守備が影響しない指標から算出する疑似防御率『FIP(Fielding Independent Pitching)』を見ています。(因みに、セイバーメトリクスに詳しい人向けに補足しますが、今回のFIPは失点率ではなく、防御率と一緒になるよう定数を設定しています。)
ご覧の通り、どの投手もNPBの平均防御率を上回っています。正直、このレベルの投手成績ですと、侍ジャパンや海外の外国人の打線を相手にするのは、かなり厳しい展開が予想されます。やはり、才能のある良い投手はCPBLを経ることなく、若い段階から日本球界やアメリカMLBに渡ってしまうので、CPBL所属選手だけで強豪国に伍して戦うのは難しいようです。
因みに、今回のCPBL組の台湾代表チームで、今季プロ野球のペナントレースを競った場合の戦績をシミュレーションをしてみたところ、得点426/失点471(7/28時点での想定)勝率46.1%という結果になりました。これは順位にすると、5~6位に相当します。
また、NPB所属の台湾人選手も、今季は苦戦している投手が多いようです。頼みは、千葉ロッテで活躍しているチェン・グァンユウ(陳冠宇)で、防御率は2.40とまずまずの成績をマークしています。ただ、そうなると先発投手はサウスポーが多く、オーソドックス型の先発投手をどうするのか気になります。
アメリカにもいるピッチャーを呼べるか?
日本だけでなく、アメリカにも台湾人選手が切磋琢磨しています。
少ない試合数ながらも、メジャーの舞台も経験しているメンバーが揃っていますので、NPB組に加え彼らが代表チームに合流すれば、強豪国相手でも十分勝負が出来るものと思われます。更に、このリストに居ないマイナーの1Aやルーキークラスにも、多くの台湾人選手がいますから、彼らが今季急成長して台湾代表の救世主にまでなる可能性もあります。
台湾代表にとって課題の投手タレント不足解消のため、海外組の動向がカギとなりそうです。
今回も当サイトをご覧頂きありがとうございました。
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