【チーム状況】
アメリカ代表にとって『普通にやれば勝てる』相手が多いのだけれど、普通に戦うのが難しいのも国際試合の醍醐味でもあります。とりわけ、今回のプレミア12はオープニングラウンドが、メキシコ/ドミニカ共和国/オランダといった他の組と比較して強い相手である上に、開催地のハリスコは標高1600m近い高地にあるため打球がよく飛ぶことから乱打戦が予想されます。アメリカ代表がオープニングラウンドで敗退なんてことも、十分あり得るシナリオなのです。ただし、プレミア12で敗けて、仮にここで東京オリンピックへの出場権が得られなかったとしても、来年3月に開催されるアメリカ大陸予選で優勝すれば東京オリンピック本戦には出場できます。更に、アメリカ大陸予選で優勝出来なくても、3位までに入れば、東京オリンピック最終予選への出場権が得られ、最終予選で優勝すればオリンピック本戦には出られます。このように、アメリカ代表にとってはプレミア12以降も、何度もオリンピック本戦へのチャンスが残されているので、流石に全てのチャンスを逸するということは考え難そうです。
とは言え、アメリカ代表以外の選手にとっては、『野球でアメリカを倒す』ことに大きな意味があります。特に、普段アメリカのMLBやマイナーリーグでプレイしている中南米系の選手には、どこかで「アメリカを見返したい」という想いは抱いていると思います。ハリスコは、そういう想いが体現出来る舞台でもあり、オリンピックとは関係なく熱い戦いが見られるのではないかと期待しています。
【戦力/チーム編成】
アメリカ代表のメンバーですが、メジャーリーガーは出ていないとは言え、やはりオリンピックが関係しているだけあって、4年前の前回大会とは比べモノにならない位豪華です。中でも注目は、全米トッププロスペクト(若手有望株)のジョー・アデル(OF/ロサンゼルス・エンゼルス3A)です。メジャー昇格は確実視されており、将来的にスター選手になるよう期待されている選手です。野手には他にも、アウレック・ボーム(3B/フィラデルフィアフィリーズ3A)、ドリュー・ウォーターズ(3B/アトランタブレーブス3A)、アンドリュー・ヴォーン(1B/サンディエゴ・パドレス1A+)など、将来のスター選手候補がずらっと揃っています。
投手の方は、野手と比べるとプロスペクトの選手数はやや少ないですが、逆にメジャー経験豊富な選手もロースター入りしています。例えば、クレイトン・リチャード(SP/前トロント・ブルージェイズ)は、今季メジャーで10先発している普通のメジャーリーガーです。打球が飛びやすいハリスコの球場では、彼のようなグランドボールピッチャーは相性が良いだろうと思います。アメリカ代表の投手編成は、WBCなどでは先発投手が少なくリリーフ投手が多い傾向があったのですが、今回オープニングラウンドを勝ち抜いた後に控えるスーパーラウンド(各オープニングラウンド上位2チームによる総当たり戦)で連戦となるためか、先発が出来る選手も多めにロースター入りさせています。個人的に気になるのは、ダニエル・ティーロ(SP/カンザスシティ・ロイヤルズ2A)です。2017年ロイヤルズからドラフト3巡目で指名を受けた若手で、彼も典型的なグラウンドボールピッチャーで、球質は重そうな感じがしました。彼もハリスコ向きでしょう。日本球界からはブランドン・ディクソン(RP/オリックス・バッファローズ)がロースター入り。彼もグラウンドボールピッチャーですね。
【展望】
前述した通り、メキシコラウンド次第と言えます。日本で開催されるスーパーラウンドに進出できれば、以降は日本以外のチームは対戦相手的に格が落ちてくるので、取りこぼしなく上位に食い込んでくるのではないかと思います。(もっとも、そんな簡単には行かないのが世界の野球だと思います。)初戦の相手オランダは、先発が大ベテラン45歳のロブ・コルデマンス(SP/アムステルダム・パイレーツ)。流石に苦戦する相手ではないと思いますが・・・、果たしてどんな展開になることやら…。
【参考:今季成績】
※B・ディクソンだけGO/AO(ゴロアウト/フライアウト率)ではなく、GB/FB(ゴロボール/フライボール率)。ゴロの方がアウトが獲り易いことから、GB/FBの方がGO/AOよりも数値が低くなる傾向があるので、ディクソンのゴロ率は相当なもの。
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