第3回U-23野球ワールド杯のアメリカ大陸予選が、先月2月からニカラグアとホンジュラスの共催で行われました。参加したのは全部で12チーム。野球の強豪国として知られる、ドミニカ共和国、ベネズエラ、キューバや、それに続いてコロンビア、パナマ、ニカラグア、ブラジルといったWBC本戦,予選にも出場経験のある中堅チームが参加。しかし、むしろ注目したいのは、中南米の野球新興国、いわゆる”中南米マイナー国”が多く参加している所です。中米からは、ホンジュラス、グアテマラ、エルサルバドル。南米からはアルゼンチン、ペルーが参加しました。これらの国はWBC予選にも出場経験がないのですが、それでも稀にマイナーリーガーを輩出したりしています。ホンジュラスからはついにメジャーリーガーが誕生しました(マウリシオ・ドュポン/SS/ミルウォーキー・ブルワーズ)。WBCの本大会には来年の第5回大会から参加国が16カ国から20カ国に増えた訳ですが、むしろ国際野球フリークの間ではこういったマイナー国からWBC予選に出場チーム数増を望む声の方が多いように見えます。ただし、やはり野球が盛んな地域とそれ以外の国との間には、明確な実力差が存在します。そこで今回は、このU-23野球ワールド杯アメリカ大陸予選の結果から、中南米の野球強豪国とマイナー国との実力差を、目に見える形で表すとどうなるか?やってみました。
U-23野球ワールド杯アメリカ予選の結果
まずは同大会の結果を見ていきましょう。
優勝したのは地元開催のニカラグア。ドミニカ共和国やベネズエラなど同大陸の野球強豪国に勝利し、U-23野球ワールド杯本大会の出場権を手にしました。特に活躍したのは、現役マイナーリーガーのヘスス・ロペス(C/トロントブルージェイズ1A)で、最多打点14と今大会のMVPを獲得しました。
準優勝は、ここ最近国際大会で良い所のなかったキューバ代表。事前の予想では、若手選手の相次ぐ亡命でこの世代の選手層は他の国と比べても薄いかなと思いましたが、セサル・プリエト(SS/オルギン)やヨシマル・コウシン(SP/カマグエイ)といったフル代表でもレギュラーを掴んでいる選手を中心に強豪国と渡り合いました。決勝では、ニカラグアに1点差で敗北してしまったものの、国際大会で不振にあえいでいたキューバ代表にとって久しぶりに明るいニュースとなりました。
そしてコロンビアを破って3位に入ったベネズエラまでが、今年メキシコで行われるU-23ワールド杯への出場権を得ました。
試合結果から実力差を見える化する
以上の試合結果から、今度は各国の戦力値を推定してみましょう。それには、当サイトで度々使用している『各チームの攻撃力守備力をざっくり計算する方法』を使いました。では早速結果をみてみましょう。
攻撃力と守備力の合計値を見ると、優勝したニカラグアよりも準優勝のキューバの方が∔0.2ポイント上回っていました。この2チームは特に戦績がよく、決勝戦でも1-0の接戦でした。3位以下は、ベネズエラ、コロンビア、ドミニカ共和国、パナマ、ブラジル、、、とWBCにも出場経験のある国が続きますが、戦力ポイントの差は僅かでした。しかし、ブラジルに続くアルゼンチン、ここで大きなポイント差が生まれます。ブラジル21.6に対しアルゼンチン16.3と、5ポイント以上の隔たりがあります。特に、アルゼンチン以下のチームになると、守備力のポイントががくっと急落します。つまり、中南米の上位国と対戦した結果、相手の攻撃陣を抑えるだけの投手力や守備力が備わっていないということですね。これを絵にするとこうなります。
見ての通り、強豪国とマイナー国の壁がはっきりと見えるかと思います。これはU-23代表チームではありますが、WBCにまだ出たことのない中で最強国と言われるアルゼンチンですらWBC経験国との間に大きな差があります。また、ニカラグアとともに開催国となったホンジュラスが、他のマイナー国との対戦を制して9位に入りましたが、他のエルサルバドル、グアテマラ、ぺルーは横一線といった感じです。ここら辺の底上げを期待したい所です。
=以上=
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