オランダ国内リーグ”フーフトクラッセ”特集の第3弾は打撃スタッツです。WBCオランダ代表の打線は、アメリカで活躍するバリバリのメジャーリーガーだらけではありますが、彼らに割って代表入りするような打者が果たしているのか?早速Batting Statsを見ていきましょう。打撃評価として用いるのはwRAA(=Weighted Runs Above Average) です。wRAAは『同リーグの平均的な打者が同じ打席数立った場合と比べてどれだけ得点を増やしたか?』を表す指標です。このwRAAは、wOBA(=Weighted On-Base Average/加重出塁率)という『打者が1打席あたりにどれだけチームの得点増に貢献したか?』を表す指標で、出塁率と同じ位のスケールになるような計算式になっています。そしてwRAAは、その選手のwOBAがリーグ全体のwOBAに対してプラスかマイナスか?と、どれだけ打席数に立ったかで計算されています。(計算式の詳細はこちらを参照ください。)
wRAAランキングNo.1はP12代表選手
第1位はレジナード・ランぺ(OF/L&Dアムステルダムパイレーツ)でwRAAは+22.3ポイントでした。プレミア12ではオランダ代表に選出されていますが、その時は”ギルマー・ランペ”とも紹介されています。プレミア12ではチームと同様に目立った活躍は出来ませんでしたが、国内リーグでは打率.382/OPS 1.097 という素晴らしい成績でした。ランぺに続いたのは、同じアムステルダムのチームメイトのデンゼル・リチャードソン(CF/L&Dアムステルダムパイレーツ)です。珍しいシント・マールテン島出身の選手で、打率.388/OPS1.078と首位のランぺに遜色ない成績を残しています。ランぺと比べてwRAAが若干少ないのは、打席数の差だけで”率”系はほとんど同じと言えるでしょう。3位にはオランダ代表の常連ドウェイン・ケンプ(3B/キュラソー・ネプチューンズ)が入っています。また、12位にはWBCオランダ代表のスティン・ファンデル・ミール(SS/キュラソー・ネプチューンズ)、16位にこれもWBCオランダ代表のシャーロン・スコープ(SS/L&Dアムステルダムパイレーツ)がランクインしています。
投手のセイバー指標RSAAのランキングでは、中堅~下位チームからもランキング上位に入ってくる選手が割といましたが、打撃のwRAAランキングでは、キュラソー・ネプチューンズとアムステルダムパイレーツの2強の選手の占める割合が多いようです。また、リーグ全体に言えることですが、本塁打の数が少ない。42試合で最多HRが6本ですから、NPBの144試合に換算してもHR20本程度にしかなりません。
次に各打者の特徴を示すスタッツを見ていきます。全体的にランキング上位の選手はBB%(四球率)が高いですね。そんな中、ドウェイン・ケンプ選手のスタッツは目立ちます。三振が少ないが四球も少ないタイプで、上位の選手の中では異質な感じがします。それにしてもSO%が2.1%というのは異常です。(データ間違っているのではないか?と思いましたが合ってました。)また、1位のレジナード・ランぺ選手と2位のデンゼル・リチャードソン選手はBABIPがなんと4割越え。BABIPは3割前後で落ち着く傾向がありますので、昨シーズンの成績は”出来すぎ”の可能性が高いです。ただ、そんなBABIPの結果は関係なく今後も活躍して、メジャーリーガーひしめく層の厚いオランダ野手陣に割って入っていってもらいたいものです。
ついでにwSB(SPEED)ランキング
おまけに盗塁能力のランキングも見ていきましょう。盗塁はwSB(=Weighted Stolen Base Runs)というセイバー系指標を見てきます。wSBは『リーグ平均的な盗塁能力をもった走者と比べて何得点分貢献したか?』を表す指標です。計算内容を超ざっくり説明すると、盗塁1に対し盗塁死を▲2の割合で評価したものです。結果は以下の通り。
盗塁力キングはオリバー・ファン・デ・ワイス(2B/HCAW)で盗塁23でした。盗塁数自体もリーグトップですが、その成功率も非常に高いものでした。打撃スタッツ3位のドウェイン・ケンプが盗塁力ランキングでも2位に入っています。首位ワイスとの差は盗塁1つだけでした。
次回はこれまでの総集編ということで「フーフトクラッセ2019 プレイヤーズランキング」です。
~以上~
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