昨年リアルな野球ナショナルチームランキングを作る=2022年版=と称して、国際大会への参加頻度にも影響を受けるWBSCではなく、国際試合での試合結果をそのまま反映した野球の代表ランキングを作成してみました。この試みは、2017年頃から試行錯誤を繰り返しており、有名なサッカーのFIFAランキングや、ポイント交換制のラグビーのワールドラグビーランキングなどの仕組みを採用してきましたが、本来国際野球ファンの中に何となくイメージしている実力順とどうしても大きな乖離が出てきてしまう状態でした。そこで昨年Excelのソルバー機能を使用した新たなランキング方法を採用することにしました。その新ランキング方法の概要は、各代表チームの仮に設定した「攻撃力」と「守備力」が、WBCおよびWBC経験者が参加するような国際試合での試合結果とが最もマッチするような「攻撃力」「守備力」値をソルバー機能を使って探索する、という方法です。
細かいところは横に置いておいて、早速侍ジャパンが見事に覇権を奪還した第5回WBC大会の結果を反映した当サイト独自のランキングを見ていきましょう。
{解説}
当サイトのランキングは、2013年第3回WBC大会以降の時期に開催された国際試合を対象としています。また、WBCやWBCに招集されるようなフルメンバーが参加した大会/強化試合を対象としていますので、例えばPremier12におけるアメリカ、ドミニカ共和国やベネズエラ代表の試合結果は対象外としています。
当ランキングの一番の特徴は、大会の順位(優勝、準優勝など)は意味を持たせていません。ご存じの通り、今回のWBCでも日本が入ったグループBと、優勝候補だったドミニカ共和国、ベネズエラ、プエルトリコが入ったグループDとでは、明らかに1次ラウンド突破に求められる戦力に差があります。1次ラウンドを突破した豪州と、突破できなかったドミニカ共和国とで、大会順位によって何かしらポイント差を設ける事には違和感があり、純粋に個々の試合結果からランキングが作られるようにしています。
ランキングの中身を見てみますと、1位はプエルトリコ代表。WBCでの優勝経験はないのですが、とにかくWBCにおける安定感が半端ない。2013年以降のWBCで、優勝経験のある日本、アメリカ、ドミニカ共和国の3か国すべてに勝利を挙げているのはプエルトリコのみ。
2位は2大会連続で決勝進出したアメリカ代表。WBCでの直近2大会での大会結果は素晴らしいのですが、大会途中で苦手なメキシコなどを相手にコンスタントに(?)負けており、それがランキングに影響したようです。3位のドミニカ共和国代表は、2位のアメリカ代表と小数点3桁の僅差なので、同率2位と言って良いでしょう。
WBCで優勝した日本代表は4位ですが、このランキングは3月や11月に開催される侍ジャパン強化試合も含まれてしまっていますので、そこでの負けなんかも尾を引いているかもしれません。また、負けだけでなく、国際試合の数が多ければランキング下位の代表国との接戦なども増えるので、そこもランキング上は少し不利に効く側面だと思います。実力としてはもっと上でしょうね。
今大会1次ラウンドで敗退した韓国とオランダ。両国とも打力に対し投手力の弱さが不安視されていましたが、案の定の結果に。短期決戦であるWBCにおいて結果を残すには投手力は不可欠ですので、3年後に迫る次回WBCでも苦戦は避けられないのではないかと思います。
さて、ランキングの下の方も見ていきます。ロシアは過大評価なのでスルーするとして、注目したいのは、ホンジュラス、エルサルバドル、グアテマラ、コスタリカの中米4カ国。今回のランキング更新では、WBC前にニカラグアが参加した中米カリブ競技大会の中米予選も含まれております。地域的にはアメリカにも地理的に近い場所なので、〇〇系アメリカ人選手の招集なども視野に、これらの国からWBC予選に参加するような国が出てくると楽しみが増えてくるな、と思っておる次第です。
以下、余談・・・
さて、野球と言えば『北中米とアジアのスポーツ』のイメージがありますが、今大会で結果を残している国を見ると、『北中米と欧州』という印象に変わりつつあります。勿論、実際のところは、オランダであればアンティル諸島、イギリスではバハマ出身の選手、イタリア・イスラエルは同国にルーツをもつアメリカ人選手が戦力を支えている側面がかなり大きいので、『北中米一極集中』とも言い換えることが出来るかもしれません。ただ、チェコ代表の例のように、ほぼ国内組でも戦える国も出始めていますし、結局多くの欧州の代表チームが参加していること自体、野球界における欧州のプレゼンスを高めることにはなっているものだと思います。一方で、アジアに目を移すと、次回はWBC予選から出場となることになってしまった台湾と中国の内、特に中国は予選通過には戦力的に厳しいだろうという状況を踏まえると、暫くは日韓台の3カ国のみのWBC本戦が続くであろう、と予想されます。結局のところ、WBCに出てなんぼ、目立ってなんぼの世界と割り切れば手段に拘ってもいられませんので、アジアから1カ国でも多くWBC及びWBC予選に参加する国を増やすためにも、今回結果こそ出ませんでしたがパキスタン代表チームがそうしたように、WBC代表資格のある選手のリクルーティングを今まで以上に積極的に行う必要があるように感じます。
=以上=
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