世界野球ソフトボール連盟(WBSC)では『WBSC Rankings』という野球の世界ランキングを公開しているのですが、このランキングは色々と問題があるのは結構有名な話。例えば、アンダー世代の成績なども含めていたりだとか、最下位でもポイントが入るので国際大会への参加頻度が多い国はポイントは稼げてしまう、という課題がありました。ちなみにプレミア12では、このWBSC Rankingsの上位12カ国が招待されるのですが、WBSCは同大会の位置づけを「国全体の野球力(野球国力)」を競う大会として説明しています。そういう定義をするならば、国際大会への参加頻度の多い台湾などが上位で評価されるのは妥当かもしれませんが、普通世界ランキングといえばその代表チームの強さを表す指標だと誰もが思うはず。それに、そもそも純粋な強さを表すランキング自体が無いというのは如何なものか、と。来年開催される第5回WBCの放送でも、WBSCのランキング結果が紹介されるかもしれませんが、2大会連続WBC決勝に進出しているプエルトリコが10位にも入っていないWBSCランキングを情報として出しても、混乱を招くだけで何の足しにもなりませんね。
なので、それをきっかけに当サイトでは、15人制ラグビーのワールドランキングで使われているポイント交換方式を参考に、野球版のリアルな強さを表すランキングを作ろうと試みました(当時の記事がこちら)。
ポイント交換制の限界と新方式
しかし、残念ながらラグビーはある程度均等に対戦機会があるのに対し、野球はなんだかんだ国際大会の機会が多い欧州が課題評価されたり、ポイント交換方式での課題も見えはじめました。そこを補正するため、大陸間の強さの補正やら大会の重要度などFIFAランキングで適用しているような制度も採り入れてはみましたが、カナダや豪州が20以下になったりなど、どうにもこうにも上手くいかない。
そこで思いついたのが、当サイトでよく取り上げている、Excelのソルバー機能を利用して計算した『ざっくり推定の攻撃力/守備力』です。詳しい説明はこちら(過去記事『日米の大学生はキューバ代表より強いのではないか?』)を参考頂くとして、これで算出された攻撃力と守備力の合計値をそのままランキングにしてしまおう、と考え早速やってみました。結果は概ね狙い通り。ただし、対象データは2013年の第3回WBC以降の結果を参考にしていまして、流石に10年ほど前の大会結果と今年行われたWBC予選などの結果を均等に扱うのはいかがなものか?と思い、近い年で行われた試合の結果ほど重要視されるよう重み付けしました。具体的には、毎年5%程度重みを軽くしていまして、2013年の試合結果は2022年に行われた試合結果よりも45%重要度が少ないように補正をかけました。
さて、結果はこんな感じです。
このランキング方法の良いところは、直接対決していない国同士でも上手く評価がなされる所です。例えば、ある強豪の代表チームAと弱小の代表チームBが戦って、Aが大量得点差でBに勝ったとします。次に、代表チームAと中堅のチームCが僅差で敗けた場合、『大差で敗けた代表チームBよりもAに対し善戦したCの方が戦力値は高いだろう』と、試合結果から戦力値の推定する計算の中でうまくバランスを取ろうとしてくれるので、B対Cの対戦がなくても戦力ランキングはA→C→Bの順で計算してくれるのです。
ただし、デメリットもあります。今回の結果を見ると、スペインの評価が少し高すぎな感じがありますが、スペインは'13年WBCでドミニカ共和国やプエルトリコと3点差以内での敗退。更にはランキング上位のオランダには勝てはないのだけど僅差の試合だったり、イスラエルにも1勝1敗だったりで、この辺りから評価が高くなったものと思います。同じくコロンビアも、''17年WBCで強豪のアメリカに1点差の接戦を演じている、という所でかなり高評価されているようです。一方で、強豪ベネズエラがスペインやコロンビアよりも下位になっていて流石にそこはツッコミ所。ではあるのですが、如何せんベネズエラがフルメンバーで国際大会に参加している大会はWBC位しかなく、そのWBCでの戦績がドミニカ共和国やプエルトリコとの対戦ばかりで負け越しているので、これも計算上は仕方が無いのかなと思います。
ランキング下位の方を見ていくと、ベルギーやクロアチアを差し置いてロシアが19位に入っています。これも流石に”ナシ”だとも思いますが、実はロシアは、'20年のプラハベースボールウィークなどでチェコに勝っちゃったり、'21年の欧州選手権でイギリスに勝ったりと、アップセットをちょこちょこ引き起こしています。ここら辺は今後の課題ですね。
最後にマッピングしてみた
最後に30位までをマッピングしてみました。日本を軸にして見てみると分かり易いですね。
=以上=
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