野球イタリア代表 選手名鑑

| 先発投手不足は埋まるか?

前回大会では2大会振りに1次プール突破を果たしたイタリア代表。その戦い方を振り返ると、1次プールでは野手と比べ層の薄い投手陣の中で、メジャー経験の多いリリーバーを強豪のキューバ、オランダ戦に集中投下していたことが分かる。決勝トーナメントでも同じ戦法で挑んだものの、残念ながら日本相手には通じなかったが、ピアザ監督の強気の起用が功を奏した。とは言え、先発投手のタレント不足は深刻で、次回大会に向けてはメジャーや3A級の先発投手を出来る限り揃えることが急務だ。一方で野手はタレント多め。強いて言えば、ユーティリティ性のある選手が多いのだが、その反面強豪国と比べるとパワーのある打者が少ない印象。それらの課題を、出来ることならばイタリア本国出身者やセリエA所属選手でカバーしたい所だ。

サムエル・アルデーゲリ(SP/ロサンゼルス・エンジェルス)Baseball-Reference Fangraphs   Baseball-Savant

イタリア・ヴェローナ出身の左腕。エンゼルス傘下のプロスペクト。2023年シーズンは1A級15先発で防御率4.43。速球の球速は94MPH前後だが制球が課題。2024年シーズン途中に2A、更に8月末にはメジャー昇格を果たした。



ライアン・カステラ―二(SP/アルゴドネロス・デ・ウニオン・ラグーナ(MEX))Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

'23WBCでは台湾戦と日本戦に先発登板。四死球を与え苦しんだが、日本戦ではどうにか2回を無失点で切り抜けた。2024年シーズンはメキシカンリーグのラグナでプレイし先発投手を任されている。




ステフェン・ウッズJr.(SP/富邦ガーディアンズ(CPBL))Baseball-Reference   Fangraphs

'23WBCでは台湾戦に3回途中から登板。4回に及ぶロングリリーフで序盤まで順調だったが、張育成から痛恨の同点の2ランHRを浴びてしまった。2023年シーズンはAtlantice Leagueでプレイ後、台湾CPBL富邦ガーディアンズと契約。オフにはドミニカWLでもプレイした。




アレッサンドロ・エルコラーニ(SP/ピッツバーグ・パイレーツ(1A+))Baseball-Reference   Fangraphs

サンマリノ出身初のマイナーリーガー。速球の球速は93-94マイル前後。まだまだ若く今後の成長に期待。父親のエネアは、サンマリノ野球ソフトボール連盟会長。




アンドレ・パランテ(RP/セントルイス・カーディナルス)Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

'23WBCでは、キューバ戦,オランダ戦,日本戦で登板。パランテの他、ラソーラ、ニットーリ、フェスタ、スタンポの4人は、戦前の予想で1次プール勝ち抜きが予想されていたキューバやオランダ、準々決勝の日本戦に起用されており、ピアザ監督の必勝の起用パターンだった。2023年は本格的にリリーフに専念。グラウンドボーラーで4シームが縦に落ちる。




ジョー・ラソーラ(RP/ワシントン・ナショナルズ)Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

'23WBCでは、キューバ戦,オランダ戦,日本戦で登板。ピアザ監督必勝パターンの1人。打者を抑えたときの咆哮シーンが印象的だった。WBCのStatcastデータでは89マイルの速球をチェンジと認識されているが、恐らくこれはシンキングファースト。落差が大きいためチェンジアップと分類されたか。




ビニー・ニットーリ(RP/ニューヨーク・メッツ(3A))Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

3Aが主戦場のジャーニーマン。'23WBCではキューバ戦,オランダ戦,日本戦の必勝を期した試合での起用。スライダーが中心の投球。2023年シーズンの3A成績は防御率4.64。被本塁打と四球が多めだった。




マット・フェスタ(RP/サンディエゴ・パドレス(3A))Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

'23WBCではキューバ戦,オランダ戦,日本戦とピアザ監督必勝パターン起用の1人。計4回を投げ自責点1。日本戦では源田にタイムリーを浴びるなど、被安打は4と打たれた。スライダーの投球割合が高く、シーズンによっては速球よりも割合が多いことも。




ミッチェル・スタンポ(RP/アリゾナ・ダイヤモンドバックス(3A))Baseball-Reference   Fangraphs

'23WBCではキューバ戦,オランダ戦,日本戦での登板。ピアザ監督必勝パターンのクローザー。計3回で自責点はゼロ。起用場面からピアザ監督からの信頼が伺える。投球の中心がスライダー。大谷翔平や近藤健介からも三振を奪っている。





サム・ガビグリオ(SP/FA)Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

'17年、'23年WBCイタリア代表。メジャーで4年のキャリアがあり、2021年には韓国SSGでもプレイ。'23WBCではパナマ戦に第2先発的に登板。3回を1失点に抑えたがチームは敗戦。WBCでの球速は85MPHでメジャーや韓国KBO時代から落ちてきている。




ルイス・ルーゴ(SP/パルマ・クリマ(ITA))Baseball-Reference   Fangraphs

’17年WBC、’19年欧州選手権イタリア代表。ベネズエラ出身。マイナーでは2021年に最高3Aでプレイ。その後イタリアに戻り、夏はイタリア/冬はベネズエラWLでプレイ。イタリアでは支配的な成績を見せるも、WLでは三振が獲れずリーグのレベル差が如実に。フライボーラー。




ジョーイ・マルシアーノ(RP/FA)Baseball-Reference   Fangraphs

'23WBCでは台湾戦と日本戦に登板。計2回で5失点と散々な結果に。2023年シーズンは3A級でプレイ。奪三振率は高いが制球に苦しみ防御率は6.75。映画 ロッキーのモデルとなった伝説のヘビー級ボクサー”ロッキー・マルシアーノ”は、父方の親戚で祖父母の従兄弟という遠戚の関係。




ヴィン・ティンパネッリ(RP/ケーンカウンティ・クーガーズ(米American Association))Baseball-Reference   Fangraphs

シンシナティ傘下のプロスペクト。2023年シーズンは1A+,2A級でプレイも、2024年シーズン途中でリリース。速球は93~95MPHでスピン量は平均以上。79~83MPHのスライダーは評価が高い。大学時代は捕手だった。




グレン・アルバーニJr.(RP/ロサンゼルス・エンゼルス(1A+))Baseball-Reference   Fangraphs

'23WBCではパナマ戦で2点ビハインドの状況でリリーフ登板。1回無失点に抑えた。2023年シーズンは1A+でプレイしたが、防御率6.97と前年から悪化。不本意な結果に。




ニコロ・ピナッツィ(RP/カンザスシティ・モナークス(米American Association)Baseball-Reference   Fangraphs

イタリア・ミラノ出身の左腕。2023年WBCはメンバー入りも登板チャンスが無かったが、同年の欧州選手権ではスウェーデン戦の2番手で救援登板。しかし、流れを止められずチームはGL敗退。2023年シーズンはRk~1A級でプレイ。三振は奪えるが、与四球が多過ぎるのが深刻な課題。




ミチェレ・バサロティ(RP/FA)Baseball-Reference   Fangraphs

'23WBCでは当時マイナー1Aクラスだったが、パナマ戦の先発に抜擢。4回1失点に抑える好投を演じたが、パナマ投手陣に味方が得点できず敗戦投手に。2023年シーズンは1A+級に昇格も、与四球が改善されず防御率は6点台。




クラウディオ・スコッティ(RP/フォルティトュード・ボローニャ(ITA))Baseball-Reference   Fangraphs

イタリア,ローマ出身。'23WBCでは台湾戦のビハインドな状況でリリーフ登板、無失点で抑えた。2023年はメッツ傘下Rkクラスでプレイも8月にリリース。2023年欧州選手権でもリリーフ登板したが、GL敗退の原因となったスウェーデン戦で流れを止められず。




マックス・スタッシ(C/シカゴ・ホワイトソックス)Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

メジャー歴10年以上のベテラン捕手。家族や親戚もメジャーやマイナーでプレイした野球一族。’23WBCにも参加予定だったが、妻の出産のため出場辞退。2023年は、自身の怪我と生まれたばかりの息子さんの闘病生活に共に戦うため全休。




ブレット・サリバン(C/サンディエゴ・パドレス)Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

'23WBCでは正捕手として打線でも中軸を担った。パワーは無いが打率を残すタイプで、WBCでも打率.368と上々の出来。2023年にメジャーデビューを果たした。




J.J. ドラツィオ(C/アリゾナ・ダイヤモンドバックス(2A))Baseball-Reference   Fangraphs

'23年欧州選手権イタリア代表。ベネズエラ出身。アリゾナ傘下のプロスペクト。2023年は2A級にまで昇格。2024年スプリングトレーニングにも招待された。




ドミニク・ミログリオ(C/FA) Baseball-Reference   Fangraphs

'23WBCでは控え捕手の位置付けで、パナマ戦のみに先発出場。2023年は2A,3A級でプレイ。アリゾナ傘下からリリース後、アトランタと契約しオフにはFA。





ヴィトー・フリーシア(C,1B/FA) Baseball-Reference   Fangraphs

'21年,'23年欧州選手権イタリア代表、’23WBCイタリア代表。’23WBCでは台湾戦,オランダ戦,日本戦にDHでスタメン出場。ヒットゼロで終わったが、四死球による出塁6つで、打率.000/OBP.545という珍しい記録。2023年は2A,3Aで89試合に出場し、出塁率,長打率は優秀だった。




ヴィニー・パスカンティーノ(1B/カンザスシティ・ロイヤルズ)Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant


'23WBCでは全試合ファーストでスタメン出場。打率 .200と打撃面では活躍できなかった。2023年シーズンはメジャー61試合に出場も、右肩を痛め出場となり6月でシーズンを終えた。代表内では貴重なパワーヒッター。




ニッキー・ロペス(2B,3B,SS/シカゴ・ホワイトソックス)Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

俊足好守の内野手。'23WBCでは内野の様々なポジションを任され全試合にスタメン出場。打率.474/OPS1.155とチーム1の働きを見せた。メジャーでも内野守備で貢献しており、通算UZRは全ポジションプラスをマーク。母親がイタリア人。




デビッド・フレッチャー(SS,2B/アトランタ・ブレーブス)Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

フレッチャー兄弟の兄。母親がイタリア出身で自身もイタリア語はペラペラ。エンゼルス時代にチームメイトだった大谷翔平とは同学年で仲が良い。'23WBCでは全試合にスタメン出場。内野の様々なポジションを任された。




ロベル・ガルシア(3B,2B/デルフィネス・デ・ラグイアラ(LMBP))Baseball-Reference   Fangraphs

ドミニカ共和国出身でイタリアの二重国籍を持つワールドジャーニーマン。'23WBCでは台湾戦、パナマ戦に出場。マイナーリリース後の2017年に家族でイタリアに渡りIBLでプレイ、更に帰化しイタリア代表入り。アリゾナでカブスの目に留まり、2019年にはメジャー昇格まで果たした。




ベン・デルージオ(LF,CF/FA)Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

'23WBCでは打率.125と打撃では活躍できなかったが、主にセンターのレギュラーとして全ての試合に出場した。俊足でマイナーでも多くの盗塁を記録。




ブランドン・ニモ(CF/ニューヨーク・メッツ)Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

'17WBCイタリア代表。メッツ一筋で2022年オフには8年の大型契約を結んだ。'23WBCにはチームを優先するため出場を辞退。選球眼がよく、ボール球スウィング率はメジャーで上位に入る。




ドミニク・フレッチャー(CF,RF/シカゴ・ホワイトソックス(3A))Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

フレッチャー兄弟の弟。'23WBCでは全試合ライトで出場。打順も3ー4番を任され打順の中核を担い、打率.368/OPS1.110と結果も残した。日本戦ではダルビッシュ有から本塁打を放った。2023年メジャーデビュー。キャリア通して高い打率・BABIPをマークしているが、長打力もあるヒットメーカー。




サル・フレリック(RF,CF/ミルウォーキー・ブルワーズ)Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

'23WBCでは全試合1番打者としてスタメン出場し、打率 .304/OPS .768。日本戦以外は全ての試合で出塁。2023年メジャーデビューを果たし57試合に出場。守備面での貢献が高く、外野でのUZRは+4.5。




マイルズ・マストロブオニ(3B,RF,2B/シカゴ・カブス)Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

内外野守れるユーティリティプレイヤーで、’23WBCでは全試合スタメンで、セカンドとレフトを守った。2023年はメジャー61試合に出場しキャリアハイだった。パワーは無いが俊足で盗塁成功率も高い。




サム・ハガーティ(2B,SS,LF,RF/シアトル・マリナーズ)Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

2019年メッツからメジャーデビュー。マストロブオニと同様、パワーレスだが俊足で、盗塁成功率が非常に高い。’23WBCは参加予定だったが鼠径部負傷のため辞退。登場曲はイタリアをリスペクトして「ゴッドファザー」。

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