野球イスラエル代表 選手名鑑

| 開催地が左右する戦力編成

 野球の国際大会におけるダークホースと言えばイスラエル代表。決して厚いとは言えない選手層にも関わらず、東京五輪やWBCでは「選択と集中」を武器に、勝つべき相手に照準を合わせ結果を残してきた。代表戦力の展望はユダヤ系アメリカ人選手の招集にかかっているが、選手集めに大きく影響するのが1次プールの開催地。前回大会は1次プールがアメリカ開催だったお陰で、アジア開催の第4回大会と比べメジャーリーガーの参加が増えた。もし次回大会の1次プールがアジア開催になると、リクルーティングはより困難になるだろう。そういった外的要因に左右されないためにも、候補選手への早めの接触等で結束を高めていきたい所だ。

 現時点でのイスラエル代表選手層は、先発投手の頭数と二遊間の人材が不足気味。特に先発投手は重要で、過去のWBCでは投手が多めの編成だったが、1次プール突破には強豪と勝負できるタレントを揃えて行く必要がある。

ディーン・クレーマー(SP/ボルティモア・オリオールズ)Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

'17,'23年WBC、’16年欧州選手権イスラエル代表。オリオールズの先発ローテ投手。カルフォルニア生まれだが、幼少期にはイスラエルに在住歴ありヘブライ語が堪能。ユダヤ系アスリートが参加するマカビアゲームスにも参加しており、イスラエル・ユダヤへの想いは相当強い。




マックス・フリード(SP/アトランタ・ブレーブス)Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

代表編成からすれば何としてでも口説き落としたい1人。'23WBCでは、イスラエル代表入りも検討したが、WBCシーズン前の開催だったため辞退。Baseball-Savantのデータはどれもメジャー上位に入る優秀ぶり。Standardなデータも年々良くなってきており、もしイスラエル代表に参加となれば、優勝候補の国にとっても脅威になるはず。




ジャレッド・シュスター(SP/シカゴ・ホワイトソックス(3A))Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

M・フリードと同様、代表入りに口説き落としたい選手の1人。2023年メジャーデビュー。2023年の防御率は5.81と苦戦したが、今後の成長に期待。4シーム、スライダー、チェンジアップなどをバランスよく投じる。





ケニー・ローゼンバーグ(SP/ロサンゼルス・エンゼルス)Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

エンゼルスの先発投手。メジャーでは中継ぎも務めているが、3Aではほぼ先発に専念している。基本4シームとチェンジアップが軸だが、カッターやカーブも混ぜる。





コルトン・ゴードン(SP/ヒューストン・アストロズ(3A))Baseball-Reference   Fangraphs

アストロズ傘下の有望株。'23WBCではプエルトリコ戦に先発登板。1回3失点と序盤で流れを渡してしまった。2023年シーズンは2A,3Aに急昇格。1A+級まで好成績だったが、奪三振、与四球とも悪化し2A/3Aの壁に立ち向かっている状況。スリークオーター気味の左腕から速球、スライダー、チェンジアップなどを投げる。




ロバート・ストック(SP/ドスラレドス・オウルズ(MEX))Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

'23WBCではベネズエラ戦での先発とニカラグア戦のクローザーで起用。ベネズエラ戦では初回に三失点を喫したが、徐々に修正し3回まで投げた。2022年韓国斗山で投げ9勝を挙げたが契約更新されず、2023年は3Aリリース後Atlantic Leagueでプレイ。




ジェイク・バード(RP/コロラド・ロッキーズ(3A))Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

コロラドのセットアッパー。'23WBCはイスラエル代表に参加する予定だったが、スプリングトレーニング中に左脇腹を痛め辞退。投球の6割がシンカーでゴロ率が非常に高い。2023年5月のフィリーズ戦では、打ち取ったB・ハーパーを挑発し乱闘に発展。




イーライ・モーガン(RP/クリーブランド・ガーディアンズ)Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

オーバーハンド右腕。2022年に中継ぎに転向。2023年シーズンもクリーブランドの中継ぎ陣として活躍した。ブレーキのかかった”バックス・バーニー”と呼ばれるチェンジアップが武器で、メジャーの中でも屈指の”遅さ”。4シームとの球速差は20km/h以上。





スコット・エフロス(RP/ニューヨーク・ヤンキース)Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

サイドアーム右腕。球速は速い方ではないが、シンカーとスライダーが投球の大半を占め、三振も取れ制球も良い。’23WBCは怪我がなければ参加予定だった。2023年シーズンはTJ手術からのリハビリのため休。




ザック・ワイス(RP/ミネソタ・ツインズ)Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

'21年東京五輪、’23WBCイスラエル代表。メジャー歴実質3年。スライダーピッチャーで投球の6割がスライダー。’23WBCではニカラグア戦とベネズエラ戦にリリーフ登板。ニカラグア戦では出塁を許さず2回を完璧に抑えた。ベネズエラ戦もE・スアレスのソロHRによる1失点のみ。






ジェイク・カリッシュ(SP/統一ライオンズ(CPBL))Baseball-Reference   Fangraphs

'17年WBCイスラエル代表左腕。’23WBCでも指名投手枠に選出されていた。ここ数シーズンはずっと3A級でプレイ。奪三振率、与四球、被HRなど各指標少しずつ悪化しているのが懸念点。X(旧:Twitter)にはトレーニング中のトラックマン情報が載っている。2024年は台湾でプレイ。




ジェーコブ・スタインメッツ(SP/アリゾナ・ダイヤモンドバックス(1A))Baseball-Reference   Fangraphs

アリゾナ傘下。'23WBCではドミニカ共和国戦の先発に抜擢されたが1回1/3で1失点。それでも3つの三振を奪った。2023年は1Aでプレイ、BB/9が5.45と制球が課題。かなり厳格なユダヤ教徒。




エバン・クラベッツ(RP/シンシナティ・レッズ(3A))Baseball-Reference   Fangraphs

'23WBCではドミニカ共和国戦でリリーフ登板。最初の打者J・ソトから三振を奪いピンチを切り抜けたが、次の回M・マチャドから2ランHRを浴び2失点。2023年はレッズ3Aでプレイ。マイナーでの奪三振率はかなり高いが制球が課題で成績は与四球次第。




アダム・コラレック(RP/ロサンゼルス・エンゼルス(3A))Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

メジャー歴7年のベテランリリーバー。ジャーニーマンだが出戻りが多く、古巣復帰が4球団もあった。横投げのシンカーボーラーで左打者には滅法強いが、右打者に対してもゴロ率が非常に高い。’23WBCへの参戦はなかったが指名投手枠で登録。父親も元オークランド傘下のマイナーリーガー。奥さんがユダヤ人のためイスラエル代表入り資格を有する。





バビー・ロスマン(RP/カンザスシティ・モナークス(米American Association))Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

’21、’23 欧州野球選手権、´23WBCイスラエル代表。一度ドジャース傘下からリリースされ独立リーグ等を点々とし、フィリーズに拾われ2022年に1試合だけメジャーで登板を果たした苦労人。'23WBCでは、ドミニカ共和国戦とベネズエラ戦にリリーフ登板。最初の打者にタイムリーを浴びたが、その後はきっちり抑え自身は無失点。フルネームは、チャールズ・アービン・ロスマン。




ダニエル・フェデルマン(RP/ボルティモア・オリオールズ(1A+))Baseball-Reference   Fangraphs

'23WBCではプエルトリコ戦に登板。打者3人全てをゴロで打ち取った。2023年シーズンはオリオールズ1A+でプレイ。高い奪三振率をマークしており、BABIPもここ数シーズンずっと.300超え。防御率よりもFIPやxFIPが良く今後に期待。




アンドルー・グロス(RP/スタテンアイランド・フェリーホークス(米Atlantic League))

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'23WBCではドミニカ共和国戦にリリーフ登板。タイムリーを浴びたが後続は抑えた。2023年シーズンはAtlantic Leagueでプレイ。オフにはプエルトリコWLにも参戦。




アレックス・カッツ(RP/スタテンアイランド・フェリーホークス(米Atlantic League))

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'17WBC、'21東京五輪、’23WBC、'23欧州選手権イスラエル代表。'23WBCではドミニカ共和国戦に登板したが、連打を浴びコールド負け投手に。2023年はAtlantic Leagueでプレイ。スニーカー好きで、Stadium Custom Kicksというスニーカーの会社を起業しており、顧客には有名メジャーリーガーが多数。




ジョシュ・ウルフ(RP/クリーブランド・ガーディアンズ(1A+))Baseball-Reference   Fangraphs

'23WBCではニカラグア戦とベネズエラ戦に登板。2回を1失点3つの三振を奪っている。速球とスライダーが評価されているが、課題はコントロールで2023年シーズンも制球に苦しんでいる。




ロブ・カミンスキー(RP/FA) Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

2020年にメジャーデビューし同年は5試合に登板。'23WBCではドミニカ共和国戦に登板。J・ソトなど強力な上位打線相手に1回1/3を無失点。グラウンドボーラー。




ジェイク・フィッシュマン(RP/FA)Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

'21東京五輪、’23WBC、'23欧州選手権イスラエル代表。'19年にイスラエルの市民権を取得。'22年にメジャーデビュー。23WBCではベネズエラ戦に登板。2アウトまで来た所でE・エスコバーにHRを被弾。1回1失点だった。シンカー系の速球は90マイルに届かず速くはない。




ジェイク・ミエドニク(RP/FA)Baseball-Reference   Fangraphs

'23WBCには出場しなかったがイスラエル代表の指名投手枠だった投手。2023年は米独立Atlantic Leagueで6試合のみの登板。2023年の速球は94-95マイル程度をマーク。



カイル・モルナー(RP/FA) Baseball-Reference   Fangraphs

'23WBCではドミニカ共和国戦で2/3回4失点。グラウンドボーラー。キャリア最高は1Aまで経験があるが、2023年はプレイ歴なし。




ブランドン・ゴールド(RP/FA)Baseball-Reference   Fangraphs

'23WBCでは、プエルトリコ戦2番手で登板。3回2/3を投げて3失点。味方の守備の不味さもあり不運なところもあった。2022年までコロラド傘下3Aで先発投手を務めたが、2023年はプレイ歴見つからず。




ジャック・ウェインバーガー(RP/FA) Baseball-Reference

'23WBCではプエルトリコ戦に登板したが、アウトが取れずコールド負け投手となってしまった。大学卒業後は、Atlantic Leagueなど独立リーグ一筋。




ジョーイ・ワグマン(RP/FA)Baseball-Reference

'17WBC、'21東京五輪イスラエル代表。'23WBCではプエルトリコ戦のみにリリーフ登板。1回1/3を自責点2と序盤に先制された流れを止められず。米独立リーグ、メキシカンリーグの他、チェコのエクストラリーガのテンポプラハにも在籍経験あり。






ギャレット・スタッブス(C/フィラデルフィア・フィリーズ)Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

メジャー歴5年。’23WBCではニカラグア戦にサードで先発。5打数2安打で結果を残したが、以降の出場は無かった。2023年シーズンは、アメリカ代表R.J.リアルミュートがいるフィリーズで控え捕手としての役割を全うし41試合に出場。既に2026年大会にも参加を宣言。




C.J・スタッブス(C,1B/ヒューストン・アストロズ(2A))Baseball-Reference   Fangraphs

ギャレットの弟。'23WBCでは、正捕手にイスラエル代表のベテラン R・ラバーンウェイがいたため控え捕手の位置づけだったが、ドミニカ共和国戦は先発を任された。2023年は3Aまで昇格したが主に2A級でプレイ。三振が多く打撃の方が課題あり。




スペンサー・ホーウィッツ(1B,LF/トロント・ブルージェイズ)Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

'23WBCでは、全試合主にレフトで先発出場したが、打率1割台で活躍できず。2023年シーズンにメジャーデビューを果たし、15試合ながら打率.256/OPS .726とデビューイヤーとしてはまずまずの成績だった。




マット・マーヴィス(1B/シカゴ・カブス(3A))Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

'23WBCでは全試合ファーストでスタメン出場ながら、打率.077/OPS .220と役目を果たせず。2023年にメジャーデビューを果たしたが、デビューイヤーは打率1割台と振るわず。3Aではマイナーを卒業できる位の成績なので、何とかメジャー定着のために結果を出したい。




ザック・ゲロフ(2B/オークランド・アスレチックス)Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

プロ入りから3年目の2023年にメジャーデビューしたトッププロスペクト。'23WBCでは、全試合セカンドで先発出場し、主に2番を任されたがノーヒットで大会を終えた。2023年シーズンは、前半3Aで文句のない活躍を見せ、後半もメジャーでfWAR +2.9と走好守とあらゆる面で貢献した。




マイケル・ウィランスキー(2B,3B/セントルイス・カーディナルス(1A+))Baseball-Reference   Fangraphs

'23WBCでは控えのショートとして出場機会は多くなかったが、ニカラグア戦ではバリバリのメジャーリーガー J・ロアイシガから値千金の勝ち越し2塁打を放った。2023年シーズンは米独立Atlantic Leagueでの活躍が認められ、メジャー傘下に返り咲きを果たしたが、怪我にも苦しみオフには解雇に。



ジェイク・ゲロフ(3B/ロサンゼルス・ドジャース(1A))Baseball-Reference   Fangraphs

ザック・ゲロフの弟。2023年MLBドラフトで2巡目(全体60位)で指名を受けたトッププロスペクト。兄同様、パワーに定評があり長距離砲としての期待がかかる。




ジョク・ピーダーソン(LF,DH/アリゾナ・ダイヤモンドバックス)Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

'13WBC予選、'23WBCイスラエル代表。'23WBCでは主にセンターのレギュラーで出場したが打率.111/OPS.422と完全にブレーキ。最終戦ベネズエラ戦は外された。2023年シーズンは121試合に出場も打率.235/OPS .764とイマイチな結果に。ただし、Hard Hit率などは優秀でBABIPも.268と低めだったので、2024年シーズンは巻き返しの可能性あり。




ケビン・ピラー(LF,CF/シカゴ・ホワイトソックス(3A)) Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

メジャー歴11年のベテランジャーニーマン。守備の名手として知られ、2016年にはフィールディング・バイブル・アワードを受賞しているが、2023年シーズンはレフトでUZR▲2.7と、年齢に伴いアドバンテージがなくなりつつある。2018年には日米野球で来日。




ハリソン・ベイダー(CF/ニューヨーク・メッツ)Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

'21年のゴールデングラバー。'23WBCにも参加予定だったが、左斜筋損傷のため辞退。2023年シーズンはヤンキースとレッズでプレイ。メジャー屈指の守備力でチームに貢献し、UZR+4.4と6年連続プラスをマーク。父親ルイがユダヤ人で、自身もユダヤ人を自認している。将来的なイスラエル代表入りについても”Absolutely consider(絶対に検討する)”と前向き。




ダルトン・ガスリー(CF,LF/ボストン・レッドソックス(3A)) Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

2022年にメジャーデビュー。2023年シーズンはメジャー23試合と試合数を増やしたが、打率.167と振るわず。CF守備はUZR+2.3と優秀だった。父マーク・ガスリーもメジャーの救援投手だった。'23WBCはシーズンを優先して辞退。




ジェイコブ・ゴールドファルブ(CF/トリシティ・ヴァレーキャッツ(米Frontier League)) Baseball-Reference   Fangraphs

'23WBCでは控え中心だったが、最終戦ベネズエラ戦にスタメン起用。出塁2つで打点も上げた。2023年シーズンも前年に続きFrontier Leagueでプレイ。打率 .293、OPS.957と活躍。





ハンター・ビショップ(RF,CF/サンフランシスコ・ジャイアンツ(2A))Baseball-Reference   Fangraphs

2019年MLBドラフトでジャイアンツから1巡目(全体10位)指名を受けたトッププロスペクト。2023年シーズンは怪我で全休。ミュージシャンでもあり、コロナで試合がない時に”DJ Bish”という名前で曲もリリースしている。





アレックス・ディッカーソン(RF/中日ドラゴンズ)Baseball-Reference   Fangraphs   Baseball-Savant

メジャー歴6年のベテラン外野手。'23WBCでは、全試合ライトでスタメン出場。打率.250だったがバレル性の当たりがなく長打ゼロで終えた。2023年シーズンはメキシカンリーグと米独立Atlantic Leagueでプレイ。Atlantic Leagueでは115試合に出場し OPS .965、HR 26本と実力は健在。2024年より中日でプレイ。




ノア・メンドリンガー(3B,LF,RF/セントルイス・カーディナルス(2A))Baseball-Reference   Fangraphs

'23WBCでは全試合でスタメン出場。主にサードで出場したが、打撃は第3戦までノーヒットと苦戦した。両翼の外野も守れるが、イスラエル代表の外野はタレントが豊富なので基本的にサードかセカンドでの起用が濃厚。





アサフ・ローウェンガルト(CF,2B/ニューヨーク・ボールダーズ(米Frontier League))Baseball-Reference

'21東京五輪、'21,'23欧州選手権イスラエル代表。'23WBCでは出場なしだったが、同年の欧州選手権ではセカンドのレギュラーとして出場。中軸に担い打率.273/OPS .725という成績だった。イスラエル本国出身。幼少期にミルウォーキーに居た頃に野球と出会う。




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