| シード権獲得も次回が正念場
前回WBCでは中国代表を破り2026年大会のシード権を獲得したチェコ代表だが、次回大会はかなり厳しい展開が予想される。前回WBCでは組合せに恵まれた。1次ラウンドの他のグループで4位5位だった参加国の戦力は、主にマイナーリーガーや独立リーグの選手などで構成しているような陣容であるが、対してチェコ代表は国内リーグ「エクストラリーガ」の選手が中心。その戦力差は明らかだ。若い選手の育成に力を入れてきたおかげで、アンダー世代の大会では結果も出てきてはいるものの、2026年時点で急激な戦力アップは考えにくい。WBC予選という沼に戻らないためにも、前回大会のエリック・ソガードのような”チェコ系アメリカ人選手の招集”も、地道に準備していく必要がありそうだ。
ダニエル・パディサック(SP/チャールストン・サザン大学(USA))Baseball-Reference
チャールストン・サザン大学の学生選手。6歳で野球をはじめる。'20年までプラハ・イーグルスでプレイ。'23WBCでは中国戦に先発。4回を無安打に抑え支配的な投球を見せた。
フィリップ・チャプカ(SP/オーステルハウト・ツインズ(NED))Baseball-Reference
'21年U-23W杯チェコ代表。アメリカ大学でのプレイ経験あり。'23WBCでは日本戦に救援登板。牧に本塁打を浴びるなど1アウトも取れず良い所なく大会を終えた。
トーマシュ・オンドラ(SP/フロッシ・ブルノ)Baseball-Stat.cz
2023年シーズンに奪三振率を大きく向上させキャリアハイの成績をマーク。同年の欧州選手権では、オーストリア戦とイスラエル戦に先発し、計11回を自責点0。
オンドレイ・サトリア(SP/オストラヴァ・アローズ)Baseball-Stat.cz
'21年U-23W杯チェコ代表。メキシコ戦、ニカラグア戦に先発し防御率2.40と好投。'23WBCでは日本戦に先発。遅いチェンジアップを武器に2回まで無失点だったが、3回につかまり3失点。チェコの星野伸之。国営の電力会社で働いている。
ルカース・エルコーリ(SP/コトラシュカ・プラハ)Baseball-Stat.cz
元々リリーバ―だったが先発に転向。コトラーカ・プラハ降格の際にフロッシ・ブルノに移籍。奪三振も多いが与四球も少なく安定している。'23WBCでは韓国戦に先発も1回1/3を6失点とノックアウトされた。2024年はコトラシュカ・プラハに復帰。
ヤン・トメク(SP/レーゲンスブルク・レギオネーレ(GER))Baseball-Bundesliga
ドイツの強豪レギオネーレでプレイ。'23WBCでは日本戦と豪州戦にリリーフ登板。カーブを多投し被ハードヒットは少なかったが、牧原にチェンジアップを打たれ1失点。
ルカーシュ・フロウフ(SP/トシェビーチ・ニュークリアズ)Baseball-Stat.cz
'23WBCではO・サトリアの後を救援登板。チェコ代表の中では速球派だが、平均91マイルの4シーム1本槍は侍打線には通じず。1/3回を自責点4と試合が決まったしまった。
ジェフ・バート(SP/トシェビーチ・ニュークリアズ)Baseball-Stat.cz
アメリカ出身。'23WBCでは、韓国戦に先発しノックアウトされたL・エルコーリの後をロングリリーフ。韓国打線を相手に5回2/3を投げ、キム・ハソンからの本塁打による1失点のみに抑える好投を演じた。
ボリス・ヴェチェルカ(RP/アリゾナ・ダイヤモンドバックス(1A))Baseball-Reference
アリゾナ・ダイヤモンドバックスとマイナー契約した2003年生まれの若手選手。2021年にはU-18チェコ代表に選出。
ミハル・コバラ(RP/ジョージア工科大学(USA))Baseball-Stat.cz
'21年のU-23W杯代表。ジョージア工科大学でもプレイする学生プレイヤー。フィリップ・チェプカと共に'21年U-23W杯に出場。’23WBCでは初戦の中国戦6回裏から登板。勝利ムードだった7回に四球と暴投によって一気に4点差を追いつかれる劇場を演出してしまった。試合は9回表に逆転しチームメイトに救われた。
トマーシュ・ドゥフェク(SP/プラハ・イーグルス)Baseball-Stat.cz
ベテランサウスポー。'23WBCでは日本戦に6回からリリーフ登板。国内では与四球が少ないタイプだが、選球眼の良い侍打線相手に与四球を見極められながらも、どうにか2回を無失点に抑える活躍を見せた。
デービッド・メルガン(RP/テンポ・プラハ)Baseball-Stat.cz
'21年U-23W杯チェコ代表。台湾戦に先発も1回4失点でノックアウト。'23WBCには選出はされたが登板機会なく大会を終えた。本業はデザイナーで、和風のチェコ代表ウェアなども作った。
マーティン・セルベンカ(C,SS,3B/フロッシ・ブルノ)Baseball-Reference Baseball-Stat.cz
チェコ代表の中心人物。マイナーリーグで最高3Aまで経験。近年チェコ人選手の中で最もメジャーに近かった選手。2023年シーズンはエクストラリーガで三冠王を獲得しレベルの違いを見せている。'23WBCでは全試合4番も実力を結果を残せず。
ダニエル・バブルシャ(C/ハイデンハイム・ハイデケッフェ(GER))Baseball-Bundesliga
ドイツ1部のチームでプレイ。打撃は期待できない。父親はプラハなどで野球道具専門店を経営。バブルシャもそこで働いている。
マルティン・ゼレンカ(C,3B/テンポ・プラハ)Baseball-Stat.cz
プラハ・ベースボールウィークでチェコ代表デビュー。チームメイトがM・セルベンカがショートやサードを守ることが多く、所属チームでは正捕手を任されている。
マーティン・ムジーク(1B・C・OF/ソコル・フルボカー)Baseball-Stat.cz
アンダー世代からのチェコ代表に招集されている常連選手。国内リーグでも下位球団のSokol Hluboká所属ながら、コンスタントに実績を残している。'23WBCでは全試合ファーストで出場。中国戦では9回表に逆転3ランHRを放つなど、次回大会シード権獲得の立役者。
ペトル・ジーマ(DH・1B/プラハ・イーグルス)Baseball-Stat.cz
エクストラリーガ内でも打率が3割を切っており三十路を超えてややピークを越えた感あり。ただWBC予選ではDHで攻撃で予選通過に貢献。'23WBCでもDHを中心に全試合に出場したが、打撃ではあまり活躍できなかった。
マルティン・チェルビンカ(DH・1B/ドラッツィ・ブルノ)Baseball-Stat.cz
チェコ代表常連。チェルベンカではなく、チェルビンカ。アルファベット1文字違いでチェコの主力と比較されるのはかわいそうだが、キャリアベストの2022年シーズンから、打撃成績の振り戻しが激しく、2023年は以前の成績に逆戻り。今後の代表入りが危うい感じになっている。
ヤクブ・クビカ(3B・SS/アローズ・オストラヴァ)Baseball-Stat.cz
'21年のU-23W杯代表メンバー。チェコ国内では率を残すも、国際大会では今一つ。'23WBCでの出場機会は2打席のみでともに凡退。
ヴォイテック・メンシク(SS/フロシ・ブルノ)Baseball-Stat.cz
'21年のU-23W杯代表メンバー。'22年7月までロサンゼルス・エンジェルス1Aクラスでプレイ。'23WBCでは1番ショートで全試合に出場。まだ若いが国内でのOPSが下降気味なのは気になる所。
フィリップ・スモーラ(SS・3B/テンポ・プラハ)Baseball-Stat.cz
本職はショートだが、'23WBCではサードのレギュラーとして出場。打率.273とそこそこヒットは打てたが全てシングルヒット。サードの長打力不足はチェコ打線の課題でもある。
ミラン・プロコップ(SS・2B・3B/神奈川フューチャードリームス(BCL))Baseball-Stat.cz
強豪ドラッツィ所属の若手選手。'23WBCでは2打席のみの出場に留まったが、'23年シーズンのエクストラリーガでは打率 .348/OPS 1.040とキャリアハイの成績。今後の成長に期待。
ウィリアム・エスカーラ(LF/サセックスカウンティ・マイナーズ(米Frontier League))Baseball-Reference
父親はキューバ人で、母親はチェコ人。大学卒業後独立リーグのフロンティアリーグのチームと契約。'23WBCでは7番レフトとして全試合に出場したが、打率.083と活躍できず。一方で、2023年シーズンはアメリカ独立リーグでの出場試合数を増やし徐々にステップアップしつつある。
マレック・フルップ(CF/読売ジャイアンツ(育成))Baseball-Reference
'21年のU-23W杯代表メンバー。”チェコのアーロン・ジャッジ”。'23WBCでも打率.333/OPS.887の活躍。2023年シーズンは7月から米独立リーグのアメリカンアソシエーションに参加。出場34試合ながら打率.325/OPS 1.020と見事な活躍を見せた。
アルノシュト・ドゥボビー(CF/ドラッツィ・ブルノ)Baseball-Stat.cz
'23WBCでの出場は日本戦の代打1打席のみ。2023年シーズンは打撃好調だった前年から大きく成績を落とした。本職は高校の教師。
マチェイ・メンシク(RF/フロシ・ブルノ)Baseball-Stat.cz
'23WBCでは5番ライトで全試合に先発出場。中国戦では中押しのソロホームランを放った。2023年シーズンは、神がかり的な活躍をしていた2022年シーズンまでの成績から一転し打撃成績が一気に落ち込んでしまった。特に長打力が下落が気がかり。
ヤクブ・グレプル(RF/アローズ・オストラヴァ)Baseball-Stat.cz
'21年のU-23W杯代表メンバー。'23WBCでは控え要員としての出場で僅かな打席のみ。
マレク・ミナリク(SP・LF/テンポ・プラハ)Baseball-Stat.cz
ピッツバーグ・パイレーツ傘下でもプレイした経験のあるベテラン選手。2mを超える長身。打者としては長打力に優れ、'21年シーズンのエクストラリーガの本塁打王。’13,’17年WBC予選にも出場し3度目の挑戦で悲願が成就。’23WBCでは中国戦で同点に追いつかれた後にロングリリーフ。最後まで投げ切り勝利投手となった。不動産会社勤務。
ジェーク・ラビノウィッツ(SP・3B/トシェビーチ・ニュークリアズ)Baseball-Stat.cz
ニューヨーク出身。学生の頃はアメリカの大学でプレイしていた。’23WBCでは日本戦の最後に投げ、山川、中野、甲斐相手に犠牲フライの1点に抑える。2023年シーズンは、'14年からプレイしていたテンポ・プラハからトシェビーチに移籍。与四球が改善され成績を伸ばした。
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