アジア競技大会~韓国代表が追い込まれた復活への道~

アジア競技大会(インドネシア/ジャカルタ)の野球競技で、本気で優勝を狙っている国があります。第2回WBCでの準優勝以降、2大会連続で1次ラウンド敗退をしている韓国代表です。日本や台湾などの野球強豪国が社会人中心のチームを編成している一方、韓国代表は元メジャーリーガーも含むオールプロで挑んでいます。その背景には、アジア競技大会で金メダルを獲得すると兵役免除やFAに必要な日数短縮など、プロのキャリアに大きく影響する“特典”があるため、他の国以上に優勝にかける想いは熱いものがあります。


打高低投の国内リーグとWBCでの不振

韓国の国内リーグ(以下、KBO)は、極端な打高低投のリーグとして有名です。3割打者がゴロゴロ存在する同リーグですが、国際試合では自慢の打撃陣が思うように爆発しません。原因の1つには、投手陣のタレント不足があるのだろうと思います。良いピッチャーとの対戦経験が少ないと、日頃対戦しているバッターの方も厳しい配球に対抗できずに不発に終わってしまいます。韓国代表の当面の目標は、東京オリンピックでの金メダル防衛になりますが、それには投手陣の復活が鍵となりそうです。


日韓台の3つ巴の戦い

アジア大会は、韓国、日本、台湾、中国、香港、パキスタン6カ国と、開催国インドネシア、予選を勝ち上がったタイを含めた計8カ国が、4チーム×2組(A組,B組)に分けて1次ラウンドを戦います。各組の上位2チームが2次ラウンドに進出します。1次ラウンドの組分けは以下の通りです。

 Group A:韓国、台湾、香港、インドネシア

 Group B:日本、中国、パキスタン、タイ

2次ラウンドでは、同組の2次ラウンド進出国との対戦結果はそのまま引き継いだ上で、別組の2次ラウンド進出国2チームと対戦します。そして2次ラウンドの1位と2位が優勝決定戦へ、3位と4位チームは銅メダルをかけた3位決定戦に移ります。現実的な話をすると、Group Aからは韓国と台湾、Group Bは日本と中国の2次ラウンド進出が確実です。1次ラウンドの結果が引き継がれますので、日本/韓国/台湾/中国の総当たり戦という見方もできます。さらに言うと、戦力が一段劣る中国には勝ちが計算できるので、日本/韓国/台湾の三つ巴の戦いとなります。そう考えると、1次ラウンドとは言えGroup Aで同組になっている韓国と台湾の戦いは、大会の優勝を占うに非常に重要な一戦になることが分かります。しかも、これが両国にとっての初戦というのが日程的にしんどい所です。オールプロで挑む韓国代表と言え、金メダルを獲ることは決して簡単なことではなさそうです。


韓国代表の戦力はやはり打高低投

今回選ばれた韓国代表のメンバーのリストです。

第4回WBCのメンバーや、アジアプロ野球チャンピオンシップ(APBC)でも選出されなかった新しいメンバーが加わっています。朴炳鎬(パク・ビョンホ/ネクセン・ヒーローズ)や金賢洙(キム・ヒョンス/LGツインズ)といった元メジャーリーガーも加わっています。

韓国代表の戦力をグラフィカルな形で見てみましょう。韓国野球のセイバー系スタッツサイト「STATIZ」で公開しているWARの2017-18年の値を元に、ツリーマップにしてみました。

※WARの値は8/25日時点。引用:STATIZ http://www.statiz.co.kr/main.php

※2017年にメジャーに所属していた朴炳鎬,金賢洙はアメリカの成績からの推定値。


WARの合計数は、打者が96.3に対し、投手が42.6と半分以下の貢献度に留まっています。国内リーグでの成績から見ても、戦力が攻撃に偏った様子が表れています。投手陣の中でエースは昨季20勝を挙げた梁玹種(ヤン・ヒョンジョン/KIAタイガース)。梁投手を日本戦と台湾戦のどちらに先発されるかポイントになりそうです。


復活を期す韓国、台湾に敗北

アジア大会大事な初戦韓国vs台湾の結果はどうだったかというと、2対1で台湾代表の勝利。韓国はエースの梁玹種が先発しましたが、初回に2ランホームランを打たれ2失点。5回に金宰煥(キム・ジェファン/斗山ベアーズ)のソロホームランで1点を返すも、スコアはそのまま動かず。痛い黒星を喫しました。

これで韓国代表が決勝進出するには、社会人中心の日本代表に勝利することが事実上必須になりました。WBCからの復活の狼煙を上げたい韓国代表ですが、その道は非常に険しいものとなりました。注目の社会人日本vs韓国代表の試合は、順当に進めば8月30日になりそうな見込みです。


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