【日米野球'18】動くボールは打てたのか?

2018年の日米野球は、侍JAPANの5勝1敗で勝ち越し幕を閉じました。やはり、戦前の予想通りMLB選抜のチーム構成が、野手はオールスタークラスである一方、投手は『メジャーを代表する』というには少し疑問符の付く面子が来日したため、試合はやや打撃戦が目立ったシリーズとなりました。侍JAPANの投手にとっては、ロナルド・アクーニャJr(アトランタ・ブレーブス)やファン・ソト(ワシントン・ナショナルズ)といった将来のMLBを担うスター候補と対戦できたことは、大きな経験になったと思います。一方で、侍JAPANの打者にとっては、メジャーのレギュラー/控え以下クラスの投手が相手ということで、このクラスを攻略しなくては、WBCでの勝利はますます難しくなってきます。そこで今回は、侍JAPANの攻撃面にフォーカスして、日米野球の結果を振り返りたいと思います。


特徴が出た両チームの攻撃

今回の日米野球は、両チームの攻撃面の特徴が分かり易いほど表れたシリーズだったと思います。特にマツダスタジアムでの第4戦 9回表からの逆転勝利。田中広輔(SS/広島)のセンター前ヒットから同点に追いついた後、菊池涼介がファーストに向かってスクイズを決め逆転。機動力と小技を使った、分かり易いスモールベースボール的な攻撃でした。稲葉監督は必ずしもスモールベースボールにこだわっている訳ではなさそうですが、見る側の立場からすると、こういう勝ち方は”してやったり”的な痛快感を覚えます。

一方で、シリーズ全体としての攻撃はどうだったのでしょう?下のグラフは、侍JAPANとMLB選抜のチーム打撃成績をまとめたものです。

打率は、MLB選抜.267に対して侍ジャパンが.288と上回りました。ただし、完勝した第2戦で17安打と打ちまくったので、そこでのバーゲンセールがあったことは踏まえておく必要があります。ポイントは長打率です。MLB選抜が.447に対して、侍ジャパンは.414と下回りました。さらに、長打率から打率を引いた”IsoP”という指標があるのですが、これは選手の純粋なパワーを示すと言われています。このIsoPがMLB選抜の.180に対し、侍ジャパンは.126と大きく水をあけられています。尚、MLBのリーグ平均IsoPは.161、プロ野球の平均は.142ですから、日本を代表する選手が集まったチームの割に、長打は少なめだったことが分かります。そして、総合的な打撃指標であるOPS(=出塁率+長打率)はほぼ同じでしたが、侍ジャパンの得点は、MLB選抜の28点を+9点も上回る37点でした。侍ジャパンはつなぐ野球を展開した結果、ビックイニングが多くありました。打撃だけでなく、機動力から相手のミスを誘うなど、単純な打撃結果以外の要素が得点の差に繋がったのだろうと思います。


結局動くボールは打てたのか?

日米野球シリーズが始まる前、稲葉監督はメジャーの投手が投げる「動くボール」への対処を課題として挙げていました。日米野球は、これまで侍ジャパンがWBCで苦しんだ「動くボール」を経験する貴重な機会だった訳ですが、果たして侍ジャパンのメンバーはどの程度対応できたのでしょうか?まずは、今大会の個人別の打撃成績をみてみましょう。

打撃成績はOPSの高い順に並べています。1位は意外にも(?)守備での活躍を期待された甲斐拓也(C/福岡ソフトバンク)。ただし、森友哉(C/埼玉西武)や會澤翼(C/広島)と出場機会を分け合ったため、少ない打席での成績であることは注意する必要があります。甲斐以外の成績上位者としては、源田壮亮(SS/埼玉西武)、秋山翔吾(CF/埼玉西武)、上林誠知(RF/福岡ソフトバンク)、柳田悠希(CF/福岡ソフトバンク)、森友哉といったメンバーが打率3割を以上をマークしました。皆さんの記憶にも、この5人は良く打っていた印象が残っているのではないでしょうか?では、次に「動くボール」にフォーカスしてみましょう。


「動くボール」は、ツーシームやシンカー、カットボールなど手元で鋭く動く速球を指します。今回、球種についてはSponaviの速報サイトから入手したのですが、球種の分け方が必要な分類で分けられていませんでしたので、少し球種の解釈を独自に広げています。例えば、シュートはツーシームのことだと思いますが、それを受けてストレート=フォーシームと理解すると、MLB選抜がほとんどフォーシームを投げていたことになってしまいます。なので、ここはフォーシームが含まれているかもしれませんが、Sponavi速報サイトでの「ストレート」「シュート」「カットボール」の3球種を「動くボール」と定義しました。

では、これら「動くボール(=速球系)」をよく打っていたのはどの選手だったのでしょうか?

トップは、また甲斐拓也がランクインしましたが、前述の通り打数が少ないので今回は評価を飛ばします。外崎修汰(UT/埼玉西武)も速球による打席結果が少ないので飛ばします。因みに、外崎選手はスライダーやチェンジアップなど他の変化球が打てなかったので、全体の打率は.250と低めでした。甲斐、外崎に続いた選手は、森友哉、源田壮亮、秋山翔吾、上林誠知、菊池涼介、柳田悠希といった面々でした。特に、上林、源田の2人は今回の日米野球で評価すべきだと思います。今回MLB選抜の関係者から一番評価が高かったのは柳田悠希でしたが、第三戦以降は速球系で凡退することが多く後半戦はあまり活躍できませんでした。一方、源田壮亮と上林誠知は、シリーズを通して安定して速球系も打てていましたし、全6試合を通して貢献度が高かったと思います。


シーズンでは活躍できた山田哲人(2B/東京ヤクルト)や山川穂高(1B/埼玉西武)が日米野球では苦しんだことを考えると、シーズン成績だけでなく今回の源田、上林の活躍は、代表メンバー選出の際に良く考慮して欲しいと思います。


※記事のデータ元は以下の通りです。

 侍ジャパン日米野球ホームページ:http://www.japan-baseball.jp/nichibei2018/

 スポナビプロ野球速報:https://sports.yahoo.co.jp/contents/2516


以上、今回も当サイトをご覧頂きありがとうございました。



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