今回は「日米野球の振り返り~攻撃編~」に続き、投手編です。侍JAPANの武器である投手陣にとって、今回の日米野球はロナルド・アクーニャJr(アトランタ・ブレーブス)やファン・ソト(ワシントン・ナショナルズ)などのMLBのスター候補生との対戦する貴重な機会でした。メジャーの圧倒的なパワーを前に、日本を代表するピッチャーたちがどう戦ったのか?振り返ってみたいと思います。
得意な球種は通用したのか?
今回日米野球に選出された日本の投手は、各々が武器とする球種,変化球を持っていますが、果たしてそれがメジャーの強力なバッター陣に通じたのでしょうか?
先発投手では、笠原祥太郎(SP/中日)、上沢直之(SP/北海道日本ハム)、大瀬良大地(SP/広島)といった面々が活躍しました。特に笠原投手は、4回2/3を無失点に抑える好投でした。また、岸孝之(SP/東北楽天)も防御率は6点台ですが、内容としては悪くなかったと思います。対外国人打者には縦に落ちる変化球が有効と言われますが、上沢投手のフォークはまさに典型的なボールです。今回来日したメジャーリーガーに対しても、被打率(対右打者)で.167/(対左打者.000)と充分な威力を発揮していました。笠原投手も縦に落ちるチェンジアップを武器に、メジャーのバッターを見事に抑えました。
また、リリーフでは高橋礼(RP/福岡ソフトバンク)、高梨雄平(RP/東北楽天)、濵口遥大(SP/横浜DeNA)辺りが活躍しました。濱口投手も縦の変化球チェンジアップが奏功しました。高橋投手はアンダースロー、高梨投手は左のサイドスローという変則的なフォームが初見の相手にはかなり効いたようです。代表常連の山﨑康晃(CL/横浜DeNA)は圧巻の投球で、クローザーとして安定した活躍を見せました。稲葉監督の構想の中でも、抑え投手は決定したのではないでしょうか?
一方で、パワーのあるメジャーのバッターは直球に滅法強く、フォーシーム系の綺麗なストレートを武器にする投手は相性が悪いだろうと思われました。今回のメンバーでも、岡田明丈(SP/広島)、多和田真三郎(SP/埼玉西武)、成田翔(RP/千葉ロッテ)などは苦戦しています。長短期決戦である国際試合の中で、 “力勝負”というのも中々勇気がいりますので、どのような組立でいくべきなのか?キャッチャー含めてよく考える必要があります。
侍ジャパン全体で見ていますと、全体的にスライダー、チェンジアップ辺りが効果的だったようです。ストレートの被打率は.289と高めでした。
困った時の“アウトロー”に注意
野球のセオリーとして「困った時のアウトロー」という言葉は非常に有名ですが、今回の日米野球の結果を見ると、そのセオリーはあまり当てはまりそうにないです。
“アウトロー”こと外角低めの被打率ですが、被打率.395とかなり打たれています。リーチが長く積極的に踏み込んでくる外国人バッターにとっては、外角低めは容易に捉えられるゾーンであり、他のゾーンと比べてリスクが低いとは言えなそうです。ただし、その対角である “インハイ”こと内角高めも、被打率.375で結構打たれています。というよりも、内角は全体的に高い被打率となっています。簡単に踏み込ませないよう内角を突いていく必要もありますが、内角も危険なゾーンなため、失投しないよう細心の注意を払う必要があります。
そして、比較的被打率が低めだったのは外角高めでした。もちろん、外角高めを中心に配球すれば良いという話でもありませんが、「困った時の…」というシーンでは1つのヒントになるかもしれません。
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