【東京五輪予選】アジア各国が体制立て直し

東京オリンピック出場に向けて、アジアの各国が体制の立て直しを進めつつあります。


韓国は監督問題を終息

韓国代表は東京オリンピックの出場権獲得を目指し、同国初となる代表専任監督として宣銅烈(ソン・ドンヨル)監督を選出しました。同氏は、2017年のアジアプロ野球選手権ではオーバーエイジ枠を使わないなど、長期的な視野に積極的に若手戦力を使っていましたが、2018年8月インドネシア・ジャカルタで行われたアジア競技大会の選手選考で、徴兵未経験の選手を優先した疑いで混乱を招いたとして、同年11月に代表監督を辞任しました。正直言って、成績以外の理由で宣監督が辞任に追い込まれたことは、東京五輪の出場権を争う台湾やオーストラリアなどにとっては不可解でありつつも、自国にとっては有利な状況となったと思えたでしょう。

その後代表監督の再選出に時間を要しましたが、今年1月になって、金メダルを獲得した北京五輪で監督を務めた金卿文(キム・ギョンムン)氏が就任することになりました。国内プロ野球だけでなく、国際大会での監督経験もある同氏は、他の代表チームにとって警戒すべき相手と言えるでしょう。ただし、今季のポストシーズンには東京オリンピックの出場権のかかったPremier12が迫っている訳でして、同国の代表専任監督という試みは、その成果を見ずに破たんしてしまったと言わざるを得ません。果たして、この状況から金監督がどこまで立て直しできるのか要注目です。


台湾はプロアマの問題を解消

台湾代表は長らく代表チームの監督/選手選考で、中華民国野球協会(CTBA)と同国のプロ野球リーグ (CPBL)の間で衝突を起こしてきました。第4回WBC(1次リーグ敗退)では前シーズンの強豪Lamigoモンキーズが参加を拒否。その前にも第2回WBC(1次リーグ敗退)で2球団が参加を拒否するなど、協会(アマ)とCPBL(プロ)の間の悪化した関係が代表チームの戦力編成に負の影響を与えていました。

しかし、今年1月31日に協会とCPBLが台湾代表に関する新たな協定を結びました。この協定で、主要な国際大会(WBC、オリンピック、Premier12)の代表チームの監督・選手の選出やトレーニングを担当することになりました。更に、これまで青を基調とした台湾代表のユニフォームを、プロが主導するCPBL選抜チームが使用していた白黒を基調としたユニフォームに変更することになりました。代表チームの変化を目に見える形で表す意味があるのでしょう。

写真:台湾代表の黒を基調としたユニフォーム(著者撮影)


オーストラリアはキャンプ実施

特にトラブルの無いオーストラリア代表は、2/7~2/10の4日間地元キャンベラで同国代表の主要選手を集めたキャンプを行っています。昨年6月からデービット・二ルソン(元中日/登録名”ディンゴ”)氏が代表監督に就任しており、こちらは韓国や台湾と違って、着々と準備を進めています。今シーズンからオーストラリア野球リーグABL選抜が、CPBL台湾プロ野球リーグの2軍戦に参戦する予定でしたが、諸事情により中止になりました。マイナーリーグに所属していない国内選手の底上げには、CPBLファーム加入は非常に有効なカードでしたがそれが果たせなかったのは痛い所ですが、それをどのようにカバーするか要注目です。


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