【東京五輪予選】WBC出場経験のある2か国が脱落

東京オリンピックの出場枠6カ国をめぐり、開催国日本代表以外の各国はPremier12や各大陸予選を戦うことになります。特にその中でもアメリカ大陸は、強豪国や中堅国が多く揃っている地域で、少ない出場枠を争うことになります。ざっと名前を挙げてみますと、強豪国ではアメリカ、キューバ、カナダ、メキシコ、ドミニカ共和国、ベネズエラ、プエルトリコ、更に中堅国としてコロンビア、ニカラグアなどダークホースもおり、これだけの国がたった2枠(最終予選含めると3枠)を争うことを考えると、アメリカ予選が如何に熾烈な争いなのかわかります。


ちょっと複雑なアメリカ大陸予選方式

東京オリンピックのアメリカ大陸の予選方式ですが、まず今年11月開催予定のPremier12(日本、韓国、台湾、メキシコ共催)で1枠が決まります。この大会には冒頭にあげたアメリカ大陸の強豪7カ国(アメリカ、キューバ、カナダ、メキシコ、ドミニカ共和国、ベネズエラ、プエルトリコ)が参戦します。この中で成績が最上位だった1カ国が、東京オリンピックへの最初の出場枠を獲得します。

Premier12で東京オリンピック出場を逃した残り6カ国は、2020年3月に開催されるアメリカ大陸予選(アメリカ/アリゾナ州)に回ります。このアメリカ大陸予選には、Premier12出場国6チームに加え、今年7月開催予定のパンアメリカン競技大会(ペルー/リマ)でPremier12出場国以外の成績上位だった2か国加わり、計8カ国で争います。このアメリカ大陸予選で優勝した1カ国が東京オリンピックへの2枠目の切符を手にします。

最後に、アメリカ大陸予選で2位と3位だったチームと、他の大陸からの6カ国を加えた、計8カ国で最終予選を争います。この最終予選で優勝すれば、東京オリンピック最後の枠を手にすることができます。


ここまでの説明を踏まえると、既にPremier12出場権を得ているアメリカ大陸の7チームは、①Premier12、②アメリカ大陸予選、③最終予選、と東京オリンピックに向けて3回チャンスがあることが分かります。では、Premier12の出場権の無い他の国はどうなるのでしょうか?

ポイントは今年7月開催のパンアメリカン競技大会です。パンアメリカ競技大会は“アメリカ大陸版のオリンピック”とも呼ばれる大会で、南北アメリカの各国が野球以外も含めた様々な競技でメダルを争います。非Premier12の代表チームにとっては、このパンアメリカン競技大会に出るまでが重要な通過点になります。既にパンアメリカン競技大会に出場する全8カ国は決定しています。その8カ国の中でPremier12出場権の無い国は、開催国ペルー、南米選手権を優勝したアルゼンチン、そして今年1月末に行われたパンアメリカ競技大会予選を勝ち抜いたコロンビア、ニカラグア、計4カ国になります。この4カ国にはまだ東京オリンピック出場のチャンスが残されています。


WBC出場経験のあるブラジル、パナマは敗退

パンアメリカン競技大会を1つ遡って、パンアメリカ競技大会の予選を振り返ります。パンアメリカ競技大会の予選は、今年の1/30~2/3にブラジル/サンパウロで開催されました。出場国は全7カ国(ドミニカ共和国、ニカラグア、メキシコ、ブラジル、コロンビア、カナダ、パナマ)。元々このパンアメリカン競技大会予選は8カ国で争われる予定でしたが、出場権を得ていたアメリカ合衆国が辞退したため代わりにドミニカ共和国が繰上げ参加。更にベネズエラが財政上の問題で辞退したため、7か国だけで争われることになりました。アメリカとベネズエラの辞退は、Premier12不参加のチームにとってかなりチャンスが広がることになりました。


パンアメリカン競技大会予選の結果は以下の通りです。4位のカナダまでがパンアメリカン本大会への出場権を獲得となります。

1位 ドミニカ共和国★

2位 コロンビア

3位 ニカラグア

4位 カナダ★

以下はグループリーグ敗退 

A組3位 メキシコ★

A組4位 ブラジル

B組3位 パナマ

※ ★はPremier12出場国


この大会には、もちろんメジャーリーガーは参加していませんし、マイナーリーガーも決して多く参加している訳ではありません。それでも選手層の厚いドミニカ共和国やカナダ、メキシコといった強豪国は戦力的に優位に立っています。そんな中パンアメリカン競技大会への切符を手にしたコロンビアとニカラグアは両国ともメジャー経験者も揃えるカナダ代表を見事破りました。現役メジャーリーガーのダルトン・ポンペイ(RF/トロント・ブルージェイズ)やメジャー経験豊富なマイケル・ソーンダース(OF/元シアトル・マリナーズ)など、東京オリンピック本戦メンバーに近いカナダ代表を相手に白星。コロンビアやニカラグアも国内リーグ所属の選手中心でしたが、十分勝負できることを示しました。

今回の対戦成績を元に、各国代表の攻撃力/守備力を推定しました。推定方法の詳細はこちらを参照ください。

パナマとブラジル以外の国は、どこの国もそれなりの攻撃力を持っていたことが分かります。問題は守備力の差です。優勝したドミニカ共和国は4勝1敗で、今大会2桁失点をしなかった唯一の国です。次に守備力が高かったのはメキシコですが、ニカラグアとの直接対決で敗退し2次ラウンドに進出できなかったことが響いたようです。準優勝したコロンビアですが、1次グループではカナダ、パナマと同組で対戦相手が1チーム少なかったことで、やや組合せに恵まれた感があります。しかし、強豪カナダやニカラグアと僅差のゲームを制し、実力+勝負強さを示した形となりました。


コロンビアとニカラグアは、東京オリンピックのアメリカ大陸予選の出場権を得る可能性も高いと考えられます。同じパンアメリカン競技大会で五輪予選大会の切符を争うアルゼンチンとペルーは、コロンビアやニカラグアと比べると戦力的に劣りまし、今回のパンアメリカン予選の対戦結果を見ても他のPremier12出場国と戦うだけの実力はあるように見えます。


一方で、第1回、第2回WBCに出場経験のあるパナマと、第3回WBCで侍ジャパンを追い詰めたブラジルが、この時点で東京オリンピックへの道が絶たれてしまいました。ブラジルには元メジャーリーガーのアンドレ・リエンゾ(SP/メキシカンリーグ)や元プロ野球の金伏ウーゴ(RP/元東京ヤクルト)などが参加していましたが、他の強豪国の壁に阻まれることになりました。既に東京オリンピックへ向けた戦いは始まっています。今後も東京を目指した戦いに要注目です。


以上、今回も当サイトをご覧頂きありがとうございました。

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