MLB開幕ロースターから見る出身国別 得意ポジション その2

前回に続き、MLB開幕ロースターから見る国別得意ポジション特集です。


5)プエルトリコ

プエルトリコと言えば名捕手を何人も輩出するキャッチャー育成王国です。過去にはイバン・ロドリゲス(C/元テキサス・レンジャース)、ホルヘ・ポサダ(C/NYヤンキース)などがいます。また、現役最強キャッチャーとの呼び声高いヤディア・モリーナ(C/セントルイス・カージナルス)は現役メジャーリーガーながらU-23プエルトリコ代表の監督も務めています。プエルトリコ出身者にこれだけキャッチャーのメジャーリーガーが多い理由の1つとして言語能力があげられています。アメリカ領であるプエルトリコは基本スペイン語がしゃべられているのですが、第二公用語が英語となっています。投手とのコミュニケーションが重要なキャッチャーというポジションにおいて、言語能力が1つのアドバンテージになっていると言われています。キャッチャーのスター選手を輩出してきた同国において、キャッチャーは花形でしょうからどんどん次のキャッチャーが生まれているのだと思います。

キャッチャー以外では、ベネズエラと同様にショートやセカンドの二遊間にタレントが揃っています。一方で、外野やファーストといったパワーヒッターの多いポジションが少なく、ドミニカ共和国やキューバと比べると、やや小粒な感が否めません。偶然だと思いますが、今シーズンのプロ野球にはプエルトリコ出身の野手が集まっています。ネフタリ・ソト(RF/横浜DeNA)、ケニス・バルガス(DH/千葉ロッテ)、スティーブン・モヤ(LF/中日)などは、ちょうどプエルトリコ出身のメジャーリーガーが手薄なポジションですが、MLBでの競争が厳しいため日本プロ野球へ移籍してきたのだと思います。

カルロス・コレア(SS/ヒューストン・アストロズ)やフランシスコ・リンドーア(SS/クリーブランド・インディアンズ)のように身体能力の高い選手もいます。


6)メキシコ

メキシコ出身のメジャーリーガーは全員ピッチャーです。メキシコ人で体格が大きい選手はあまり多くないため、パワーヒッターがうじゃうじゃいるMLBでは打者よりも投手の方が活躍できる余地があるようです。メキシコ出身ピッチャーは、日本と特徴が似ていて変化球を駆使するタイプが多いと言われています。その傾向がメジャーリーガーのポジションにもそのまま出ていると思います。

通常ピッチャーが豊富なチームの方が、試合をロースコアに持ち込める分、強豪にも勝てる確率が高まるはずなのですが、地元メキシコの球場で戦ってしまうと標高の高さの影響で、打球が簡単に飛んでしまい打撃戦になってしまいます。メキシコ代表が国際試合で勝つには、低地の球場を選ぶ必要がありますが、知ってか知らずか今のところ高地の球場で開催されるケースが多いです。


7)オランダ

今回はオランダ王国の構成国も含めて“オランダ”としてカウントしました。実質的にはオランダ本国よりも、キュラソーやアルバなどベネズエラに近いカリブ海の島々が出身の選手がメインとなります。ポジション別の内訳をみると、数少ないメジャーリーガーなのに二遊間に人材が偏っていることが分かります。全体的に中南米周辺の国からは、近年二遊間のタレントが多く輩出されています。キュラソーなども、他のラテン系の国に違わず、セカンドやショートに人材が集まっています。プエルトリコ同様、機敏な動きができる選手が多いようです。

ただし、投手に人材が不足していてWBCなど国際大会で強豪国と戦うには、大きなウィークポイントになっています。


8)カナダ

カナダはメジャーリーガーの数自体少ないですが、ファーストやレフトなどパワーヒッターの多いポジションでコンスタントにメジャーリーガーを輩出し続けています。過去にはジェイソン・ベイ(LF/元ピッツバーグ・パイレーツ)、ジャスティン・モルノー(DH/元ミネソタ・ツインズ)、現役ではジョーイ・ボット―(1B/シンシナティ・レッズ)などがいます。一方で、中南米諸国とは逆にセカンドやショートといった内野のポジションからカナダ出身のメジャーリーガーが出てくることがありません。カナダ人は体格の大きな選手が多い分、アジリティよりもパワーが求められるポジションで競争した方が、自分たちの能力を活かすことが出来るのでしょう。


9)コロンビア

ベネズエラの隣国であるコロンビアも、特徴的に他の中南米諸国と似ていています。今季の開幕ロースターには含まれていませんが、ジオバニー・ウルシェラ(3B/NYヤンキース)、ディルソン・ヘレーラ(IF/NYメッツ)など、メジャー予備軍の多くが内野(セカンド、サード、ショート)を守れる選手です。この傾向は、コロンビアの隣国パナマも同様に見えます。


10)韓国

数年前に多くの韓国プロ野球出身野手がMLBに挑戦しましたが、現在当時の選手のほとんどが国内リーグKBOに戻ってしまいました。日本人メジャーリーガーのほとんどが先発ピッチャーであるのに対し、韓国出身のメジャーリーガーは投手に限らず野手にも通用している選手がいます。傾向としては、技巧派ピッチャーや好打者というよりも、パワーのある選手が多い印象ですが、ドミニカ共和国やキューバなどと特徴が重なるので、中々自分たちの得意分野がメジャーでは優位に働きにくいようです。


他にも、オーストラリア出身や台湾出身のメジャーリーガーはピッチャーが多いなど、MLBで生き残るため優位な分野での活躍が見られますが、この辺りで終わりにしたいと思います。


以上、今回も当サイトをご覧頂きありがとうございました。

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