2019年メジャーリーグの開幕メンバー(25人枠+DL)の内、251名がアメリカ以外出身でMLB全体の28.5%が“外国人“という結果となりました。日本のプロ野球と違い、メジャーリーグにはいわゆる”外国人枠“がありません。ルール上の制約が無い分、外国人選手でも自らの能力や活躍がそのまま出場機会に反映されます。なので、日本や韓国など外国人枠のあるプロ野球リーグよりもMLBの方が、各選手の強み/弱みが分かり易くなっています。
また、野球という守備ポジションによって求められる能力がかなりはっきり分かれています。(最近は特に複数のポジションが守れるユーティリティプレイヤーの評価が高まってきていますが、各ポジションで求められる能力自体は明確に分かれており、だからこそ様々な要求に答えられるユーティリティーに価値があるのだと思います。)つまり、守備位置にはその選手の能力が表れている訳で、ある国出身のメジャーリーガーが特定のポジションに集中しているような場合は、その国の選手の強みや得意分野がどこか分析することができます。今回は2019年のMLB開幕ロースターの守備ポジションから、各国の能力的な強みや弱みを分析していきたいと思います。
1)日本
※選手のポジションは当サイト独自の判断です。
※UT(IF):内野を中心にしたユーティリティプレイヤー
UT(OF):外野中心のユーティリティプレイヤー
UTのみ:内外野両方守れるユーティリティプレイヤー
まずは日本出身のメジャーリーガーを見ていきましょう。最近の日本出身メジャーリーガーは、ほぼ100%投手です。少し前まではイチロー、松井秀喜など多くの日本人野手が海を渡りMLBで活躍しましたが、青木宣親(OF/東京ヤクルト)が国内復帰してから日本人野手は出てきていません。特に内野は鬼門で、中島宏之(IF/読売ジャイアンツ)、西岡剛(UT/BCL栃木ゴールデンブレーブス)がメジャーに定着できずに国内復帰した辺りから、日本人内野手のメジャー挑戦は途切れています。その背景にはイレギュラーバウンドの多い天然芝への対応が難しかったこともありますが、身体能力の高いドミニカ共和国やベネズエラ出身のラテン系選手の厚い壁に阻まれた、というのが一番の理由でしょう。また、日本では甲子園などトーナメントが多い影響で才能のある選手が先発投手に集中する傾向があります。
結果、打撃力こそ他の強豪国に劣るものの、相手打線を抑え込める投手陣がアドバンテージになっており、強豪国相手でもロースコアに持ち込むことが出来ています。
2)ドミニカ共和国
世界で最も外国人メジャーリーガーが多い国がドミニカ共和国です。ドミニカ共和国の人口が1,078万人で日本の10分の1以下なのにも関わらず、メジャーリーガーの数は約17倍と圧倒的な差があります。これだけ多くのメジャーリーガーを輩出しているのには、身体能力の高さがあってのことだと思います。(人種による体格差についてはこちらの記事もご参考)
まず野手を見ると、どのポジションにも多くのドミニカンメジャーリーガーがいるのですが、特にショートやサード、キャッチャー、ライトなど肩の強さが求められるポジションに選手が集まっているようです。パワーヒッターの多いイメージですが、意外とファーストやセカンド、レフトなどのパワーヒッターの多いポジションは、若干少な目です。
投手の方は、先発投手よりもリリーフピッチャーの方が多めです。リリーフピッチャーは投球回が短い分球速が求められます。スピードピッチャーの多いドミニカ共和国の投手には、適正としてリリーフの方が向いているケースが多いのだろうと思います。
3)ベネズエラ
ドミニカ共和国に続いてメジャーリーガーの多い国がベネズエラです。伝統的に名ショートを輩出してきた同国ですが、現在はセカンドやサードなど他の内野の人材も豊富です。特に内野を守れるユーティリティプレイヤーが多く、現代のメジャー野球では欠かせない存在になっています。昔はオマー・ビスケール(SS/元クリーブランド・インディアンズ)、今ならばホゼ・アルチューベ(2B/ヒューストン・アストロズ)など、体格は小柄ながらも運動能力の高い選手が多いようです。また、キャッチャーの多さが目立ちます。有名所では、サルバドール・ペレス(C/カンザスシティ・ロイヤルズ)、ウィルソン・コントレラス(C/シカゴ・カブス)、ウィルソン・ラモス(C/NYメッツ)などがいます。
投手の方は、先発投手もリリーフ投手もバランス良く人材がいます。先発ローテーションの1番手2番手クラスの投手は、カルロス・カラスコ(SP/クリーブランド・インディアンズ)やフェリックス・ヘルナンデス(SP/シアトル・マリナーズ)などあまり多くありませんが、ローテを支えられる実力者が多いようです。WBCの度に言われていますが、ベネズエラ代表にはバランスの良さを感じます。
4)キューバ
MLBにはキューバから亡命した野球選手が集まっています。キューバのメジャーリーガーは野手の方にタレントが集まっています。ホゼ・アブレイユ(1B/シカゴ・ホワイトソックス)、ヨエニス・セスペデス(LF/NYメッツ)、ヤシエル・プイグ(RF/シンシナティ・レッズ)など、強打のパワーヒッターが揃っています。
一方で、ピッチャーは人材が不足気味、特に先発投手が少ないです。国際大会でのキューバ代表の典型的なピッチャーは、スライダーピッチャーが多く、ボールを動かしゴロを打たせ、のらりくらりとイニングを消化するタイプが多いです。平均球速160kmのアロルディス・チャップマン(RP/NYヤンキース)のようなスピードピッチャーは、キューバ出身の投手としては例外的な存在です。野手に人材が偏っているせいなのか、育成の問題なのか定かではありませんが、キューバ代表のウィークポイントの1つとなっています。
長くなったので、続きは次回をご覧ください。
以上、今回も当サイトをご覧頂きありがとうございました。
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