【Premier12】戦力分析~ベネズエラ編~

【チーム状況】

ベネズエラは、経済危機による治安悪化で国自体が非常に深刻な状況に陥っています。当然スポーツにも大きな影響を及ぼしており、同国の国技と言われる野球もこれまでと違う現象が起きています。例えば、メジャーリーグ機構は経済制裁の一環で、今シーズンの同国ウィンターリーグにメジャーリーガーやマイナーリーガーが参加することを禁止しました。また、メジャーリーグ球団が同国に設立したアカデミーが全て閉鎖されるなど、トップ選手から底辺となるアマチュア層に至るまで野球が出来る環境が国外へと移ってきているのです。

ベネズエラ代表の選手は、母国で集まる機会を逸してしまった今、オリンピックへの出場権獲得を目指し台湾に集まります。今大会に集まったベネズエラ代表の野球選手の中にカルロス・リベロ(3B /レオン・ブラボーズ(メキシカンリーグ・元東京ヤクルト) )がいます。彼は昨年母国で起きた強盗殺人事件に遭遇し同僚のベネズエラ人選手を目の前で亡くしています。母国ではなく東アジアに集結した彼らが、今大会に対してどのような想いを抱いているのか、私などでは到底想像できるものではありません。ただ、1つ言えることは、ベネズエラが日本が対戦するオープニングラウンドの中で最も強い相手だということです。


【戦力/チーム編成】

あまり話題になっていませんが、今大会ベネズエラ代表は中々実力のあるメンバーを揃えてきました。日本が入っているオープニングラウンドGroup Bには、日本/台湾/ベネズエラ/プエルトリコという組合せになっていますが、3つの対戦国の中では、日本のプロ野球でもも何人かの選手が活躍している関係で、どうしても台湾がメディアの注目を集めがちです。ただ、台湾代表の選手構成は、台湾プロ野球CPBLの選手にNPB所属の選手が数名とマイナーリーガー数名が加わっただけでして、一方ベネズエラ代表は、ほぼ全員が2A~3Aのマイナーリーガーか、メキシカンリーグ所属の選手で占められています。リーグの格で言うば、ベネズエラ代表選手の方が高いレベルでプレイしています。日本に来る助っ人外国人選手も、だいたいマイナー3Aやメキシカンリーグ所属の選手が多い訳ですから、そのクラスでプレイしている選手と見れば、明らかに難敵であることは分かるかと思います。

投手で注目は先発陣。ヘンダーソン・アルバレス(SP/キンタナロー・タイガース(MEX) )はメジャー通算6年間で95試合、防御率3.82をマークしている元メジャーリーガーです。2013年にはWBCベネズエラ代表にも選ばれています。同じく先発のフェリックス・ドゥブロン(SP/サルティーヨ・サラペメーカーズ(MEX))は、4年間メジャーを経験し85試合先発を務めました。

野手では、アンドレス・ブランコ(IF/アトランタブレーブス3A)は、メジャーで10年536試合ユーティリティープレイヤーとして出場した経験があり、代表チームでも国際大会における重要な役割を担うことになりそうです。

日本球界と関係ある選手には、前述のリベロ選手以外にミゲル・ソコロビッチ(RP/オアハカ・ウォーリアーズ(MEX))は、2013年に広島カープでプレイ経験があります。


【展望】

日本以外の3カ国の立場からすれば、日本に負けても他の国も日本に負けれくれれば東京オリンピック出場権の争いに直接的な影響がありません。(もちろん、日本に勝てれば次のスーパーラウンドで大きなアドバンテージにはなりますが。)そう考えると、2位通過を目指すのが現実的な目標になります。H・アルバレスやF・ドゥブロンなどの元メジャーリーガーの先発投手は、台湾やプエルトリコ戦に当ててくるでしょう。特に中南米系の外国人選手が多くない台湾は、ベネズエラの2A3Aクラスの投手陣に苦戦するのではないかと思います。


【参考:今季成績】

0コメント

  • 1000 / 1000