日韓戦を制して日本代表が初優勝を飾った第2回プレミア12。また、準優勝の韓国と、アメリカとの3位決定戦を制したメキシコが、それぞれアジア/オセアニア(日本除く)地域とアメリカ大陸地域の順位トップを確保し、東京オリンピックへの出場権を獲得しました。今回は各代表チームについての総括をしてみたいと思います。
敢闘賞:メキシコ代表と台湾代表の飛躍
メキシコ代表と台湾代表。両国には、野球協会と自国のプロリーグの対立を乗り越え、今大会には良いチーム編成で臨むことが出来た、という共通点があります。そして、メキシコ代表はメキシカンリーグ(LMB)、台湾代表は中華職業棒球大聯盟(CPBL)という、歴としたプロリーグを抱えています。今大会のような『メジャーリーガー40人枠』の選手が参加できないような大会には、自国のプロリーグ(サマーリーグ)を持っているということは代表チームを編成する上で非常に大きなアドバンテージになります。
その結果、メキシコ代表は見事にオリンピック初出場を決めました。オリンピック出場権のかかった3位決定戦では、今大会あまり調子の良くなかったアメリカ代表と対戦。メキシコ代表は日韓以外には全て勝ってきましただけに、将来のメジャーリーガー候補だらけを集めたエリート集団のアメリカ代表に、最後の試合でオリンピックの椅子をかっさらわれるかなと思いきや、案の定9回表まで1点差でビハンド。そして、このまま悲願ならずかと思いきや、9回裏に元中日のマット・クラーク(DH/レオン・ブラボーズ)が起死回生のソロホームラン。更に、延長戦ではカルロス・ブスタマンテ(RP/モンクローバ・スティーラーズ)がタイブレーク後の1死満塁のピンチを無失点で切り抜け、10回裏のエフレン・ナバーロ(1B/阪神タイガース)が逆転のタイムリーヒット、五輪初出場を決めました。今大会ではファン・カストロ監督の積極的な早目の継投策が非常に奏功、勝利を重ねる中でチームの良い雰囲気も伝わってきました。東京オリンピックでは、選手登録人数が28人から24人に減るらしいので、今回と同じように積極的な継投策ができるのか注目です。さらに、カストロ監督は五輪だけでなくWBCでも代表チームを率いるって話もあるらしいので、侍ジャパンにとっては要注意ですね。
一方台湾代表は、CPBL所属の国内組の選手たちに加え、ウィークポイントだったピッチャー陣にNPBやMLB傘下の海外組を召集。特に、張奕(SP/オリックス・バッファローズ)と江 少慶(SP/クリーブランド・インディアンズ3A)の先発2枚と、彼らの後を担う陳冠宇(RP/千葉ロッテマリーンズ)の3人は、強豪国と渡り合う上での欠かせない選手たちでした。スーパーラウンドで韓国代表に勝利できたのも、今大会のベストナインに選ばれた張奕の無失点の好投があったからこそだと思います。(できれば、もう1枚軸となる先発投手のがいれば良かったのですが…。)その台湾代表は、来年4月に開催される最終予選が、東京オリンピック出場の最後のチャンスになります。
ジャイキリ担当のオーストラリア代表
そして、今大会のスパイスとなったのがオーストラリア代表です。戦前の予想では、韓国/カナダ/キューバと同組となったオープニングラウンドで敗退すると見ていましたが、格上カナダに勝利し、1勝3敗という逆三つ巴となり得失点の関係でギリギリ通過。スーパーラウンドでは1勝4敗で最下位でしたが、唯一の勝利はエリート集団アメリカ代表からでした。オーストラリア出身の選手は比較的ピッチャーの方がタレントが多く、豪州出身のメジャーリーガーもピッチャーの方が多い傾向にあります。なので、投手が踏ん張りロースコアのゲームに持ち込めれば、今回のようなアップセットを起こすだけの力を持っています。こちらもメキシコ代表同様に、ネルソン監督の積極的な継投策が光りました。
可もなく不可もなく
優勝した日本代表や準優勝の韓国代表は、戦力的には打倒な結果だと思います。韓国代表は日本と比べると選手層は薄く、先発陣は可も無く不可も無くな感じの成績でしたが、李映河/イ・ヨンハ(RP/斗山ベアーズ)、河載勲/ハ・ジェフン(RP/SKワイバーンズ)や曺尚佑/チョ・サンウ(CL/キウム・ヒーローズ)などのリリーフ陣が後ろを固め、チームを支えました。アメリカ代表は戦力的には十分かと思いましたが、終始勢いがありませんでした。
アメリカ代表は、チーム本塁打数が大会最多15本という強打の打線でしたが、1試合辺りの得点は4.0点と大会5番目でした。チーム併殺打数も大会最多の8個と、打線のつながりもイマイチでした。4位に終わったアメリカ代表は、東京オリンピックの出場権をかけて、3月開催予定のアメリカ大陸予選に回ります。
オープニングラウンド敗退国で言うと日本とも対戦したベネズエラ代表は、MLB傘下の3A,2Aクラスの選手やメキシカンリーガーの選手など、召集可能な範囲でベストな選手たちを集めまして、ベネズエラの野球連盟はリクルーティングをかなり頑張ったなぁと期待していましたが、台湾に敗れ僅かに届きませんでした。ただ、戦力的にはスーパーラウンドでも十分戦える力はあったと思います。また、カナダ代表もスーパーラウンドで戦える戦力はあったと思いますが、今年巨人を引退した守護神のスコット・マシソンが打たれてしまったので、これはもう仕方がありません。ベネズエラ代表,カナダ代表ともオープニングラウンド敗退とは言え僅差だったと思います。
もう少し頑張りま賞
ドミニカ共和国代表は、1Aクラスの若手有望株中心のチーム編成でした。アメリカ代表やメキシコ代表と相手が悪かったかなと思いますが、ダークホースとして期待が高かっただけにチーム編成と結果共にちょっと残念だったかなと思います。また、プエルトリコ代表は国内リーグの選手中心だったので、流石に戦力的にはかなり厳しかったなと言う印象です。欧州から唯一参戦のオランダ代表は、同大会にオリンピックの出場権が関係していなかったので、ウラディミール・バレンティン(LF/東京ヤクルトスワローズ)やリック・バンデンハーグ(SP/福岡ソフトバンクホークス)など、投打のトップ選手が参加しませんでした。最後のキューバ代表については…、もはや論表するのも可哀想な結果となりました。もはやキューバ国内組の強化・育成だけでは厳しいのかなぁと・・・。NPBや韓国プロ野球KBO組の亡命選手をもっとスムーズに代表チームに参加させるスキームが必要かと思います。例えば、レオニス・マーティン(OF/千葉ロッテマリーンズ)などは代表チームへの参加希望の意思を明確にしていますし、オネルキ・ガルシア(SP/阪神タイガース)やアリエル・ミランダ(SP/福岡ソフトバンクホークス)のように、亡命組にはウィークポイントである投手陣を補強できるタレントがいます。まだ、キューバ代表にはアメリカ大陸予選が残っていますので、諦めず頑張ってもらいたいと思います。
ランキング更新
今大会の結果の内、明らかににベストメンバー編成(WBCレベル)ではなかったアメリカ/ベネズエラ/ドミニカ共和国/ベネズエラが含まれないラウンド、つまりグループC(韓国ラウンド)と決勝戦の結果を、ランキング反映しました。
→長くなりましたので、大会総括その2に続きます。
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