本サイトで選手名鑑に記載しているスタッツについて解説します。ぶっちゃけ言うと、”解説”というよりかは、記載されている指標の値が大手サイトのものと違う所があるので、選手名鑑をご覧いただく前の”ご注意事項”という意図でございます。
【投手】
G :試合数
W-L-SV :勝敗、セーブ数
IP :投球回
ERA :防御率
FIP :被HR・与四死球・奪三振のみで投手を評価する指標
K% :奪三振/対戦打者数
BB% :与四球/対戦打者数
投手スタッツについては、少し補足が必要な指標はFIPにおける敬遠の扱いでしょうか。国際野球通にとっては”あるある”でしょうが、WBSCのスタッツなども見ても敬遠数(IBB)がきちんと記録されているケースは稀です。当サイトでは、Baseball-ReferenceのようにIBBが記録されている場合はFIP定数に盛り込んでいますが、WBSCのサイトのようにIBBが無い場合は敬遠数抜きにFIPを計算しています。
また、FIPの計算式は、定数部分を計算するのに、リーグ平均防御率かリーグ平均失点率が用いられますが、本サイトでは全社を採用しています。
WikipediaのFIP = {13×被HR+3×(与四死球-敬遠)-2×奪三振}/投球回+定数
定数=リーグ防御率 or リーグ失点率-{13×被HR+3×(与四死球-敬遠)-2×奪三振}/投球回+定数
【野手】
G :試合数
BA :打率
HR :本塁打数
RBI :打点
wOBA :1打席当たりの打撃による得点貢献
wRC+ :その打者の打撃による得点創出能力がリーグ平均(100)に対し何倍かを表す指標
wSB :リーグの平均的な走者と比べ盗塁での貢献度を得点化した指標
RRF : Range Factorの欠点を補正する形で開発した守備の評価指標
K% :奪三振/打席数
BB% :四球/打席数
解説が必要なのは野手のスタッツの方でしょう。
まず、wOBAです。wOBAは、計算に必要な四球、単打、二塁打、三塁打、本塁打等の項目に対し、得点期待値から計算される”係数”を算出する必要があるのですが、得点期待値自体が塁上の走者やアウトカウントの状況を集計する必要があり容易ではありません。そこで、当サイトではトム・タンゴ氏が考案したwOBA係数の近似値計算方法を採用致しました。正直言うと、この計算方法で算出したNPBのwOBA係数と、DELTAが算出されている係数との間には乖離がありまして、恐らくMLBとそれ以外のリーグでは得点環境に大きな違いがあるからだろうな、と薄々気づいているものの、他に良い解決策もないのでトム・タンゴ流に縋っている次第です。尚、この方法はセイバーメトリクスの有名サイトFangprahsで採用されているので、それを心の紋所とさせていただいております。
wOBA (NPB) = {0.69×(四球-敬遠)+0.73×死球+0.92×失策出塁+0.87×単打+1.29×二塁打+1.74×三塁打+2.07×本塁打}÷(打数 + 四球 – 敬遠 + 犠飛 + 死球)
※下線部の係数がトム・タンゴ流を採用で値は当サイト独自。尚、敬遠もないリーグによっては無い場合があり、失策出塁はもちろん計算に加味していません。
一番エクスキューズが多いのはwRC+です。当サイトのwRC+では、パークファクター補正は計算に含まれていません。理由はパークファクターの計算が大変だから。勿論パークファクターの得点に与える影響が大きい事は重々理解しているものの、それだけのスキルが無いため妥協しております。故に、MLBやNPB選手のwOBAやwRC+の値が、有名サイトのそれと違うのは、wOBA係数の計算方法の違いとパークファクター未考慮の影響が主な理由です。
wRAA = (wOBA - リーグ平均wOBA)/wOBAスケール×打席数
wRC = wRAA+(リーグ総得点/リーグ総打席数))×打席数
wRC+ =(PF補正後のwRC/打席数)/(リーグ総得点/リーグ総打席数)×100
※ 下線部、当サイトのwRC+はパークファクターで補正を入れていません。
最後の補足は、RRF(Relative Range Factor)についてです。守備指標については、日本でもUZR(Ultimate Zone Rating)などのセイバー系の守備指標が有名であり、MLBに至ってはUZRからトラッキングシステムで観測したOAA(Out Above Average)という守備指標に置き換わっている。RRFは、2006年にビル・ジェイムスによって開発された守備指標で、はっきり言って、OAAやUZRの方が優れた守備指標です。ただ、当サイトでは世界各国のセミプロやアマチュアの野球リーグを追いかけており、打球データがない中で選手の守備力を測るにはRRFを算出させていただいている、という背景になります。なので、RRFの値はぼんやりと参照していただければ幸いです。尚、UZRやOAAがあるはずのMLBやNPBにおいてもRRFを記載している事については、特に意図はありませんが、RRFもリーグの平均と比較する構造となっているため、どう変化したかぼんやり見ていただくのも良いのかなと思います。
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