今週末3/9(土),3/10(日)に日本代表”侍ジャパン”が対戦するメキシコ代表。メジャーリーグが昨年に続いてFA(フリーエージェント)の停滞によって、セルジオ・ロモやフェルナンド・サラスなどの有名メキシコ人メジャーリーガーも就職先がなかなか決まらない中で、彼らのメキシコ代表チーム入りも期待されましたが、結局メキシコ国内リーグ『Liga Mexicana de Béisbol(LMB)』を中心に代表選手が選ばれました。今回はそのメキシコ代表チームを特集していきたいと思います。
打高投低のメキシカンリーグ
メキシカンリーグは、アメリカのメジャーリーグとは独立したプロ野球リーグで、南北2つのリーグ/全16チームから構成されています。メジャーリーグからは3Aクラスに割り当てられていますが、実際の所レベル的には2Aクラスと言われています。日本のプロ野球からも、メキシカンリーグのトップ選手を助っ人外国人として獲得する機会が増えています。またその逆で、活躍の場を求めて久保康友、荒波翔(共に元横浜DeNA)のように日本人選手が移籍するケースも出てきました。メキシカンリーグ出身の外国人選手の日本での活躍度合いを考えると、決して侮れない相手だと分かると思います。今回の来日メンバーの中にも、つい最近まで日本の1軍でプレイしていた選手が多数含まれています。
ただし、このメキシカンリーグは明らかな”打高投低”リーグとして知られています。その理由にはいくつか説がありますが、有名なのは”標高の高さ”です。例えば、メキシコシティ・レッドデビルズの本拠地”フォロ・ソル”は標高2,300mに位置しています。標高の高さ故に、打球は簡単にホームランになってしまう程よく飛びます。なので、本拠地の標高が高いメキシコシティやプエブラ、ドゥランゴなどに所属している打者の打撃成績は、その分を差し引く必要があります。下のグラフは過去5年間のメキシカンリーグのチーム打率と、チームの本拠地の標高の関係をグラフにしたものです。標高の高いチームほど打率が高くなっているのが分かると思います。
データ元:チーム打率は「Baseball-Reference」より。標高は当サイト独自収集。
この標高差に加えて、メキシカンリーグの投手のレベルも打高投低の原因と言われています。才能あるメキシコ人投手が早い段階でメジャー球団と契約しアメリカに渡ってしまうため、メキシカンリーグには比較的レベルの落ちる投手が集まっているという話です。実際のところ、メキシコ人メジャーリーガーの多くは投手ですので、この説も間違いではなさそうです。そうすろと、メキシカンリーグの打撃成績は、『標高の高さ』と『メキシカンリーグの投手レベル』を差し引いてみなければなりません。
メキシカンリーグの成績をプロ野球の成績に変換する
と言うことで、メキシカンリーグでの打撃成績を日本のプロ野球成績に変換してみたいと思います。まず、過去プロ野球で活躍したメキシカンリーグ出身の外国人選手成績を集めます。彼らのメキシカンリーグでの成績を本拠地の標高を補正した成績に直します。更に、ソ補正後の成績と日本プロ野球での打撃成績を比較します。例えば打率の場合、補正後のメキシカンリーグ成績に対し、日本での成績は平均して約24%落ちます。(因みに三振率K%や四球率BB%などから成績を予想する方法もあって、そちらの方が精度は良さそうなのですが、今回は時間の関係上、打率ならば一律24%パフォーマンスが落ちるというざっくりとした計算をしています。)そうして計算していきますと、メキシカンリーグでの成績から標高補正+投手レベルの違いによって、かなり打率成績は下がることになります。
早速今回のメキシコ代表野手メンバーを、プロ野球での予想成績と一緒に見ていきましょう。尚、今回先発と控えは過去の代表歴や実績などから、当サイトの独断と偏見で選びました。
今回のメキシコ代表メンバーの中で、最も知名度がある野手が”ルイス・クルーズ”でしょう。元々NYヤンキースなどメジャーで5年間活躍し、その後千葉ロッテ、読売、東北楽天とプロ野球で4年間3球団を渡り歩きました。特に捕球してから送球までが速く、2015年にはゴールデングラブ賞を受賞しています。WBCには、第3回と第4回の2大会に出場した経験があり、正真正銘のメキシコ代表のトップ選手です。
2017年に広島カープに所属していたラミロ・ペーニャですが、広島では22試合の出場に留まりましたが、メジャーリーグには実に7年間で341試合に出場しました。セカンドやサードも守れるユーティリティプレイヤーで、人数の限られる国際大会には使い勝手のいい選手になります。パワーがあまり無いので、今回の起用は守備固めでしょうか。
WBCメキシコ代表を支える39歳のベテラン外野手。元はアメリカ人ですが、メキシコ人の奥さんと結婚しメキシコに帰化。
今季からオリックスに加入した新助っ人外国人選手。メキシカンリーグ以外からの選出はこの人だけ。昨季は3Aで本塁打と打点の2冠に輝き、更にリーグMVPまで獲得。バリバリのメジャーリーガーで今季から読売に加入したクリスチャン・ビヤヌエバ(3B/読売ジャイアンツ)が今回は代表を辞退したようなので、ビヤヌエバがいないチームではこのメネセスが一番警戒が必要な選手だと思います。
ロベルト・ペレスは、WBC代表に選ばれたことはないものの、2015年のプレミア12でメキシコ代表に選出された経験があります。
まとめです。各選手のプロ野球での予想成績(OPS)をプロ野球全体の平均と比較、グラフにまとめました。
全体としてはプロ野球平均よりやや落ちますが、今回の侍ジャパンは若手中心のメンバー構成です。侮れない所か普通に打たれることもあると思います。後は投手の比較ですが、それは次回。
以上、今回も当サイトをご覧頂きありがとうございました。
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