【チーム状況】
今年ペルーのリマで行われたパンアメリカン競技大会。同大会を過去10連覇を達成したキューバ代表からすれば、6位と言う結果に終わった今年の大会は古豪キューバのプライドを大きく傷つけたことでしょう(参考:完敗のキューバ。コロンビアとニカラグアが東京五輪アメリカ予選進出)。読売ジャイアンツでもプレイしたこともあり、同国の英雄的存在であるフレデリック・セペダ(LF/グランマ)をメンバーから外したことがキューバ国内で議論を呼びました。しかし、大会前の海外遠征でアメリカやカナダの独立リーガーを相手に成績が良くなったセペダを外したことは、監督の判断として決して間違っていなかったと思いますが、チームが代表史上最悪の成績に終わった結果は何も弁明も出来ない事態に陥っています。そして、世論の声に押され39歳のベテラン野手は代表に復帰しました。
敗因は”早い回での先発投手の降板”です。昨年からメジャーで導入され話題になった『オープナー制』だとか『ブルペンデー』のような戦法が流行り、なかなかリテラシーが高い同国のメディアも、メジャーの最新戦法の導入を進めるような記事もみかけました。ただ、元々キューバ代表は国際試合において、ちょっとでも投手が打ちこまれそうな兆候があるとどんどん次の投手をつぎ込んでいく積極的な継投策が十八番でした。その内、相手打線が打ちあぐねるような打てそうで打てないピッチャーが表れ、イニングイーター的な活躍をするのが勝ちパターンでした。
キューバ野球連盟(FCB)は、代表チームや国内リーグの底上げのため、亡命した野球選手の国内リーグへの復帰や、更には代表チームへの復帰まで認めました。その第1号が元LAドジャースのエリスベル・アルエバルエナ(SS/マタンサス)ですが、連盟としては野手よりも投手に復帰して欲しかった、というのが本音だったのではないでしょうか。球速が速くなく、球種も少ない、選手層としては薄い投手陣の中で、積極的な継投策をどこまで思い切ってやり切れるかが、勝負の鍵となりそうです。
【戦力/チーム編成】
打線の中心は、キューバのNo.1打者 アルフレッド・デスパイネ(DH/福岡ソフトバンクホークス)になります。しかし、F・セペダを代表復帰させて以上、スタメンで使わない訳にも行かないでしょうから、もしセペダをDHで使うなら、デスパイネを外野で起用しないといけないのが辛い所です。ただ、交流戦ではレフト起用されるデスパイネですが、今シーズンに限っては守備指標UZRが、大きくマイナスにはなっていませんでした。デスパイネの前は、日本シリーズMVPのユリスベル・グラシアル(UT/福岡ソフトバンクホークス)になるでしょう。パンアメリカン大会では、海外組として活躍が期待されたものの逆に打線にブレーキを掛ける役になってしまいました。リベンジの想いは人一倍強いでしょう。
他にも、内野手では、ラウル・ゴンザレス(3B/シエゴ・デ・アビラ)、ヨルダニス・サモン(1B/ハバナ)、セサル・プリエト(2B/シエンフエゴス)の3人はパンアメリカン大会でも成績を残した選手です。特にプリエトは若手の有望株で、遊撃で高い守備力を誇るA・アルエバルエナとの守備は必見です。パンアメリカン大会では得意の打力を発揮出来なかった打てる捕手ヨスバニ・アラルコン(C/ラス・トゥナス)も、今大会での活躍を期する選手の一人ですが、日本で武者修行中のアリエル・マルティネス(C/中日ドラゴンズ)がマスクを被るならば、指名打者がセペダ、デスパイネ、アラルコンでDH渋滞を起こしてしまいます。キャッチャーの起用方法にも要注目です。
【展望】
キューバの属するグループCは、韓国/カナダ/オーストラリアと同組です。キューバは、韓国、カナダに次ぐ3番手という扱いになるでしょう。ただ、どの国も投手陣が盤石とは言えないので、どの国にもチャンスありといったところでしょうか。逆に4番手のオーストラリアが、投手力を武器にするチームであるので、他の3カ国でオーストラリアに足元をすくわれるチームが出てくるかもしれません。(意外とそれがキューバだったり・・・。)
【参考:今季成績】
※イバン・モイネロとライデル・マルティネスだけGO/AO(ゴロアウト/フライアウト率)ではなく、GB/FB(ゴロボール/フライボール率)で表示。
0コメント