【チーム状況】
直前のキューバとの強化試合は2-2の引き分け、オーストリアとは7-1の完勝と、まずまずの状態で大会入りしたホスト国の台湾代表。台湾プロ野球リーグCPBLは超がつく打高投低のリーグで、特に先発投手の成績上位は外国人投手が独占するなど、投手力不足に悩まされてきました(参考:『台湾代表の勝算は投手次第』)。今大会でも、決して投手力不足が解消されたとは言い切れませんが、日本のプロ野球やアメリカマイナーリーグからどうにかこうにか海外組の選手を召集することに成功し、戦えるだけの戦力を揃えることが出来ました。
【戦力/チーム編成】
台湾と同じく打高投低の国内リーグで、投手力不足に悩む国と言えばキューバ代表があげられます。亡命選手の代表復帰を推進し戦力の底上げを図ったキューバは、補強ポイントである投手で代表復帰する選手はいませんでした。それと比べると、海外組が多く加入した台湾代表は、良い具合で補強ポイントに適した編成が出来たと言えます。その結果、7月末に行われた国内選手中心で行われた強化試合に召集されたメンバーと比べると、先発投手陣はがらっと面子が変わっています。
先発投手では、台湾を代表する野球選手 陽岱鋼(OF/読売)の従兄弟で今シーズン1軍デビューした張奕(SP/オリックス・バッファローズ)、今季マイナー3Aクラスで9勝を挙げた江少慶(SPクリーブランド・インディアンズ3A)、昨年のアジア大会でアマチュアチーム所属ながら全選手プロの韓国代表を破った”韓国キラー”こと吳昇峰(SP/合作金庫(アマチュア) )など、様々なリーグの選手が揃いました。彼らの後ろには今季リリーフ中心に活躍した陳冠宇(RP/千葉ロッテ)なども控えています。
打線はパワーヒッターが揃っています。CPBL本塁打王の朱育賢(OF/Lamigoモンキーズ)、HR27本盗塁21個とパワー&スピードを兼ね備えた蘇智傑(OF/統一ライオンズ)、CPBL首位打者で林立(3B/Lamigoモンキーズ)などが要注目です。今シーズン台湾プロ野球界から日本プロ野球に挑戦した”大王”こと王柏融(OF/北海道日本ハムファイターズ)も代表入りしていますが、彼に続く勢いのある若手が揃っています。
【展望】
オープニングラウンドのグループBでは、日本、ベネズエラに続く3番手と見ています。ただ、ラグビーワールド杯での日本が活躍したように地元の応援というホームアドバンテージを得て、ベネズエラか日本のどちらかを破りスーパーラウンド進出と行きたい所でしょう。
東京オリンピック本戦に出場するには、今大会でアジア/オセアニアの中で最高位(日本は除く)の順位で終える必要があります。つまり、当面のライバルは韓国とオーストラリアなのですが、恐らくオーストラリアは戦力的にオープニングラウンドを勝ち抜くことが難しいでしょうから、最終的に台湾と韓国の一騎打ちになる可能性が高いです。対韓国という意味では、前述したオールプロの韓国代表を見事に抑え込んだ吳昇峰のように、対韓国を意識した編成も見られ、韓国戦は総力戦になると思われます。
日本が対戦するオープニングラウンドでは、中盤位まで接戦になる可能性が十分考えられます。しかし、相手の投手継投の中でコントロールを乱すピッチャーがどこかで必ず出てきますから、国際試合だからといって積極的に振り過ぎず、自滅を待つのも時として必要です。
【参考:今季成績】
※張奕と陳冠だけGO/AO(ゴロアウト/フライアウト率)ではなく、GB/FB(ゴロボール/フライボール率)で表示。
0コメント